あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

内田百閒著「続百鬼園随筆」を読んで

2019-09-14 16:09:19 | Weblog


照る日曇る日 第1293回


百閒の大ベストセラーの後編であるが、前篇とはだいぶ見劣りがする。
中には17歳や20歳頃の若書きも混じっているから当然のことだろう。
とはいえ幼くして死別した堀野君との交友と永別をえがいた「鶏蘇仏」は真情溢れる名品で、後年の百閒のニル・アドミラリ振りと比べるとその純情可憐が心を打つ。

私は以前日本文学報国会への入会を断固として拒否した百閒の蛮勇を褒め称えたことがあるが、それは彼の権力への傲岸不羈な反抗ゆえと解釈してのことだった。
しかしそもそも百閒は、根っからの自由主義者である。戦争や軍人の横暴を憎んでいたには違いないが、社会主義者や共産主義に共感していたとは思えない。

彼は戦前から長く陸軍大学の教授を務めていたし、陸軍の飛行機にも愛着を覚えていた。むしろ当時のインテリよりも軍隊への親近感があったのではないだろうか。
だから日本文学報国会に対するノンは、そういう社会的意識に基づく政治的?行為ではなく、後年の芸術院会員へのノンと同様、長いもの、面倒くさいものに巻かれたくないという、彼の師漱石譲りの「厠から出ない不如帰」の天の邪鬼精神」の発露であったと思うのである。

   逗子駅で横須賀駅で延々と電車が停まる停電ですとさ 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鎌倉百景その6 

2019-09-13 15:15:52 | Weblog


蝶人物見遊山記 第315回 & 鎌倉ちょっと不思議な物語414回&蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.321


図書館へいって毎日新聞の2カ月分のバックナンバーをざっと眺めてからお腹が減ったので、北鎌在住の写真家シドモトさんお勧めの山本餃子で餃子9個入りの餃子中定食千円を美味しく食す。

ここの餃子はニンニクが入っていないので好ましい。壁に山本さんのお祖母さんが描かれた絵が霜田恵美子とか私が小学校5年の時の絵を懐かしく思い出させてくれたので写真を撮らせてもらう。

山本餃子はもう8年も営業しているそうだが、私は店に入ったのははじめて。お店のうしろには旧佐藤病院の跡継ぎの病院がその巨大な要塞のような全貌を現している。ここが湘南鎌倉病院かそれに準ずる最新設備と優秀人材を備えていたら、私が中原中也が最期の息を引き取った病院という理由だけで健診などでお世話になっている清川病院などは潰れてしまうのではなかろうか?

閑話休題。病み上がりのからだをゆらゆらさせながら、八幡宮までやってくると、参道に大量の砂を巻いていた。15日からは大祭があってここを流鏑馬の馬が疾走するのでその準備をしているのだろう。

鎌倉国宝館では「特別展・国宝鶴岡八幡宮古神宝」(10月6日まで)というのをやっていた。本当は谷中の「Gallery 美の舎」で15日まで開催されている一条美由紀さんの個展へ行きたいのだが、諸般の事情でどしても無理そうなので、その代わり?というてはなんだが、思い切って足を運んだが、これが全く去年と同じ陳列だったので驚いた。どこの館にも学芸員がいるだろうが、ここほど楽ちんな職場もないだろう。

八幡宮が神奈川県から取り戻して改修した旧鎌美の「鎌倉文華館」をちょっと覗いてみたが、なんだか昔日の面影がまるでない。もともと美術館ために作られた建築物の美と輝きが失われているのだ。しかも入り口に置かれた子供の彫刻があまりにも稚拙なので嫌になって引き返した。

八幡宮のてっぺんで籤を引くとおおかた凶が出るのは、そのあとでもう一回別の所で籤を引かせ(ここは凶はない)て儲けようとする悪しき商魂だし、どうも鶴岡八幡宮は好きになれない。

んで小町通りの片隅の鏑木清記念美術館を訪ねて、「清方と弟子たち~受け継がれる美」という企画展(10月22日まで)をみたが、こんなん別に「企画」しなくても並べられるよね。国宝館に負けず劣らずの相変わらずのマンネリぶりだが、冒頭に展示された清方18歳の作品「栗をむく娘」の繊細な形象や優美な色彩感覚に驚嘆する。

いつも思うことだが、色彩に関しては他社に格段の遅れをとっているトヨタのデザイン担当者にこの清方コレクションを見せれば、彼らの超ダサイ名古屋脳が震動され、一皮剥けること間違いないだろう。

まあそんなことでしたが、おらっちはこれから横須賀の岸本歯科にでかけるずら。


 「原発をゼロにします」と言うてみよ純一郎の息子ならば 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鎌倉百景その5 

2019-09-12 21:28:42 | Weblog


蝶人物見遊山記 第314回 & 鎌倉ちょっと不思議な物語414回&蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.320


千葉県の南房総の停電が続き、当地でも大きな被害が出ているのに、図太い改憲野郎がなーーんも動かず小泉某なんかとにやけているので頭にくる。

昨日妻君と太刀洗まで歩いたら氾濫で道の両側の水の流れが急変し、朝夷奈峠の麓に樹木が倒れて登攀不能になっていた。わが最愛のウナシローなどが棲息する滑川沿いの遊歩道を閉鎖していた樹木は、昨日ようやく取り除かれたが、別方向の谷戸を歩いたら、知り合いの家の屋根が飛び、天園ハイキングコースの入り口は山からの土砂で埋もれていた。

我が家の停電は当日朝の7時には解消され、被害と言ってBSのつーらんどっとの録画がパーになったくらいだったが、近隣のあちこちでまだ停電ちうの地区があり、近所のおばさんは修道院の冷蔵庫の中身を全部自宅で預っていると仰っていた。

こうやって印字しているとまたぞろ腹が立って来て、なんで台風が安倍蚤糞の自宅を直撃しなかったのかと天を恨みたくなる。

のではあるが、きょうは幸い強烈な天日が振り注がないようなので、熱中症の予後を恐れつつバスに乗って芋川耳鼻科へいく。耳が遠くなったのだ。

ここは何十年振りかしら。前に行ったのは今の芋川医師の父上の時代だったと思う。
観光客で賑わう小町通りにありながら、なんの表示も出ていないのは好ましい。昔は私が鎌倉で一番好きな目耕堂書店があったビルの3階。その必要がある患者さんしか訪れないはずだが、同じフロアには人気のフクロウの店があるのでややうざったい。

早速聴力検査をしてもらった。「年相応に下がってきてはいるが、まだ補聴器などを使う必要はない」と断言されたのでうれしくなる。お父さんに似ていいお医者さんだ。ただし、右より左の聴力が劣るのは、子供の時に中耳炎なんかを患ったせいだ、という御託宣。私にはまるで記憶がないし、むしろ左の方が利き耳だと思っていたのでちと意外だった。

これで耳は合格だがまたしても左の奥の歯茎が痛んで、押せばうみも出てきて、それはちょいと甘いが、嫌な微熱がある。
あかんなあ。

駅前をうろついて観光案内所で今月の歩きガイドをもらったら、地図がついていない。別々に頒布しているというのでいつからと訊ねると、大分前からだという返事。私はだんだん浦島太郎になるつつあるらし。

表駅から裏駅に通じる地下道を潜っていると、最近の遺跡発掘情報と写真が陳列してあった。だいぶ以前に個人的に見せてもらった小町通りの巨大発掘の成果も垣間見ることができたのでこれは嬉しかった。(続く)


  猪八戒に忠誠誓うゴロツキがくわいけんくわけんと気勢を上げる 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フルトヴェングラー・オペラライヴ集CD全41枚組を聞いて 

2019-09-11 22:08:34 | Weblog


音楽千夜一夜 第433回



夏のはじめから終りまでフルヴェンのオペラをずっと聞いていたが、もはや昔のような感激とか感動はなく、はたして聞いて良かったのか良くなかったのか、と考え込んだりしている。

以前あれほど感激したバイロイト音楽祭の「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」で、スザンナやツェルニーナを歌っているイルムガルト・ゼーフリートは、時々高音部の音程をはずしてしまい、よせばよいのに必死で吊り上げようとする。フルトヴェングラーがよく平気で歌わせていたものだ。

それはともかく、このコレクションの柱は、もちろん1950年3月、ミラノ・スカラ座のオケを駆使してフラグスタートなどの名歌手をフューチャーしたワグナーの「指輪」であるが、これがいまいち、いまに、という出来栄えざんす。

序夜の「ラインの黄金」のダルな立ち上がりを引きづりつつも、さすがフルヴェン、「ワルキューレー」「ジークフリート」と日を追うごとに「らしさ」を加え、第3日の「神々の黄昏」では、轟々と地軸を揺るがす音楽が鳴りわたりはするのであるが、全体的にはむしろ3年後のローマ放響とのライヴの方が、フルヴェン・オーラ満載で軍配が上がる。

その遺憾を知るがゆえに、リベンジを図った老マエストロは、ミラノの仇をローマで晴らし、その翌年に死んだ。


 ソプラノの名歌手が外した最高音我らの耳はいたく傷つく 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

内田百閒著「百鬼園随筆」を読んで 

2019-09-10 22:11:19 | Weblog


照る日曇る日 第1292回

この本は新潮社の文庫本で読んだが、表表紙の百閒先生のイラストをなんと芥川龍之介が描いていて、まことにモダンでシュールでいかにも百閒な感じで、この一葉と川上弘美の解説だけでも一読の値打ちがあると思ったずら。

内容がまた無茶苦茶に百閒らしさ全開のモダンなシュールレアリズムで、怪奇譚あり逸話、夢物語あり、掌篇随想から超短編、中編小説まで、それこそ百閒の「なにもかも」が玩具箱のように奥の4帖半にでんぐり帰っている。

とりわけ異色なのは「百鬼園先生言行録」で、それぞれが前後にあまり関係のなさそうな短編がうすい連歌のような連珠でつながって、やっとこさっとこ物語のようなものを繋げていく。全6章建てなどと粋がってはいるが、とちょっと揺さぶればバラバラ事件になってしまうだろう。その証拠に続けて書いた3章立ての「百鬼園先生言行余録」なんかは二進も三進も行かなくなって自滅し果てている。

漱石の後を継ぐべき同輩の百閒と龍之介が、そろいも揃って短編の名人でありながら長篇を書けなかったのは、いったいどうしてだったのかしらん。

蛇足ながら百閒のような偏屈人が、陸軍大学や法政大学で独逸語の教鞭を執っているのは怪しむに足りないとしても、やたら飛行機に乗るのが好きだったのは意外である。(芥川も屋根の上に登るのは得意のようであった。)

私は、当時のインテリゲンチャンとして平均以上の収入を得ていたはずなのに、毎月毎月金がないといっては同僚、友人知己、しまいには新聞広告でみた高利貸の所まで足を運ぶ百閒を、いくら考えても理解できない私のであるが、その借金地獄のあり様を克明に書き記した「無恒債者無恒心」「地獄の門」「債鬼」、などを読んでいると、これを書くために借金を重ねたのではないかいな、という奇妙にねじくれた感想まで浮かんでくるから妙なものである。

陸軍の若手幹部を教育し、戦艦の出初式には出席するくせに日本文学報国会に入会せず、喉から手が出るような60万円の年金が黙って転がり込んでくるというのに、芸術院の会員になるのが嫌だと称して辞退してしまう内田百閒は、変な人だが好きな人だ。


変えたいと誰も思わぬ憲法を変える変えるとおめくファシスト 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由律詩歌その46 

2019-09-09 16:13:06 | Weblog


ある晴れた日に 第579回


まにまにまに
まぬまぬまぬ
まねまねまね
まのまのまの
まはまはまは
まひまひまひ
まふまふまふ
まへまへまへ
まほまほまほ 
まままままま 
まみまみまみ 
まむまむまむ
まめまめまめ 
まもまもまも
まやまやまや 
まらまらまら
まりまりまり 
まるまるまる 
まれまれまれ
まろまろまろ
まわまわまわ
まんまんまん

やあやあやあ
やいやいやい
やうやうやう
やえやえやえ
やおやおやお
やかやかやか
やきやきやき

   大木が川をまたいで倒れきて今朝の散歩を厳しく拒む 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フナラリー・オコナー著・横山貞子訳「フナラリー・オコナー全短編上」を読んで

2019-09-08 14:01:15 | Weblog


照る日曇る日 第1291回


短編の名人による全作品集の上巻で、短編集「善人はなかなかいない」の全作と6つの初期作品を収めている。

再読するとやはり圧倒的に悪魔的な力で迫ってくるのは、「善人はなかなかいない」ともはや短編と言うより中編の「強制追放者」であった。

西に安倍蚤糞、東にトランプの出現以来、世界はこの2作品が発散する強烈な悪人力が支配する暗黒磁場に激突したことがよく理解される。そういう恐るべき先駆性をオコナー作品は備えていた。

  
一言で我を尽くせば変な人その変な人に妻は付き合う 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

家族の肖像~親子の対話その48 

2019-09-05 17:03:35 | Weblog


ある晴れた日に 第578回



インドネシア、飛行機乗っていくの?
そうよ。
インドネシア、インドネシア、ジャカルタ。

花盛りって、なに?
お花がいっぱいのことよ。

9トン、なに?
キュートン、キュートン、なに?
9トン、9トン、9トン、
あ9トンね。トンは重さよ。

蓮は水の中でしょ?
そうだよ。
水は湛えるの?
そうだね。池は水を湛えるよ。

満足って、なに?
良かった、良かった、よ。
余は満足じゃあ。余は満足じゃああ。

お母さん、ぼく、ラーメンマン、好きですお。
戦えラーメンマン! 逃げるなラーメンマン!
(何も言わずに逃げるコウ君)

お母さん、警報って、なに?
これから地震が来るとかの、お知らせよ。

満足って、なに?
良かった、良かったと思うことよ。
満足、満足、余は満足じゃあ。

お母さん、無条件って、なに?
条件なしに、よ。

お父さん、さまざまって、なに?
いろいろ、ってことだよ。

お父さん、めったに、って、なに?
千にひとつのことだよ。

お母さん、割引は、安くなることでしょ?
そうねえ。
割引、割引。

お母さん、悔しいって、なに?
「クヤシーイ」ってことよ。コウ君なんか悔しいことあるの?
ありませんよ。

お母さん、交通ルールって、なに?
信号をマモル!
そ、そうですお。

めったにって、なに
ほとんど、よ。

お父さん、特別扱いはダメでしょ?
それはダメだね。

疑っちゃあ困る、でしょ?
そうだね。
疑っちゃあ困る、疑っちゃあ困る。

お互いって、なに?
それぞれの人が、だよ。

知っているとも、よ。

お父さん、たくさん揺れるのは、京浜急行だよね。
そうだね。

お母さん、ほがらかって、なに?
いつもニコニコよ。

お父さん、「運ぶ」の英語は?
キャリーかな。
キャリー、キャリー、キャリー。

エラーは、失敗でしょ?
まあそうだね。

メッセージって、伝えることでしょ?
そうだね。

麻薬って、なに?
まあ、そのお、悪い薬だよ。

お母さん、いっさいって、なに?
全部よ。

あらコウ君、だめじゃない。チョコ全部食べたでしょ?
ごめんなさい。
1日に1個だけにしなさい。
ごめんなさい。

お母さん、ニラは餃子のときでしょ?
そうね。

お母さん、尊敬って、なに?
素晴らしいと思うことよ。

お母さん、ヤマモトヨウコ、印刷してね。
はい、分かりました。ちょっと待ってね。
ヤマモトヨウコ、ヤマモトヨウコ

お母さん、浄水場って、なに?
お水をきれいにするところよ。
浄水場、浄水場、浄水場。

お父さん、森は木が3つでしょう?
そうだね。確かに3つだねえ。

ぼく、プーサンです。
プーサン、こんにちは。

お父さん、静かに、の英語は?
ビー・クワイエトかな。
ぼく、静かにしますよ。
そうだね。

成積って、なに?
やった結果のことよ。

お母さん、魂ってなに?
心です。

ノリユキ君のお父さん、亡くなったの?
そうよ。

  光触寺川の袂で蠢く天然鰻ウナゴローとぞ名付けたり 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

島田雅彦著「君が異端だった頃」を読んで 改訂版

2019-09-04 20:21:48 | Weblog


照る日曇る日 第1290回




念願の童貞喪失から絶世の美女妻vsブロンド娘との断崖絶壁三角関係まで、驚くべきプライバシー暴露相次ぐ、文壇ピカイチの秀才イケメンによる半生記ずら。

驚異的な記憶力を駆動してこの世に生まれおちてから1992年の「彼岸先生」刊行当時くらいまでの「詩と真実」のあれやこれやを、時系列を追って嘘偽りなく書きつらねた私小説、この人世にしてこの作家あり、である。

「私小説はウソツキが正直者になれるほとんど唯一のジャンルであり、私を主語にするのがテレ臭いので、「君」を語り手にした」、と作者は解説するが、それにしてもよくも思い切ったもの。

おかげで我らは作家のプライバシー覗きと小説よりも感動的な青春譜、いわゆるひとつの人世物語のドラマツルギーを、ふたつながら一挙に楽しむことができるのである。

蛇足ながら、わざわざ奥付に「本書はフィクションです」と付記する必要はなかったのではないだろうか。

  
激痛で2夜寝られぬ妻の眼の痛みよ去れと我も祈りき 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第72回

2019-09-03 11:44:39 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.319


慰安婦問題、元徴用工訴訟がこじれたので安倍蚤糞は輸出規制で圧力をかければ韓国は折れてくるとたかをくくったが、これがとんでもない政経味噌糞一体化の外交失策で、しかもその調停に乗り出したトランプに、基地代5倍増の大枚をむしり取られる羽目に陥ったずら。8/1

馬鹿殿がなにを勘違いしたのか、猛暑にトチ狂って大本営発表を下しているが、ホワイト国をブラック国に塗り替える隣国敵視政策は、国際平和と人民の友好福利に何も齎さないだろう。8/2

私の大嫌いな人物は数多いが、音楽は3つだけ。ジョージ・M・コーハンが作曲してジェームズ・ギャグニーが「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」で唄った「オーヴァー・ゼア」とプロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」の中の「行進曲」と「君が代」。8/3

この国にはもはや表現の自由なんてないことを証明した「あいちトリエンナーレ」。表現の自由を守るためには、もはや口先でお題目を唱えるだけではダメで、山本太郎を凌駕する命懸けで闘い取らなければならないということが明らかになった。8/4

憲法第9条と日米軍事同盟の共存がこの国の平和にとって大事だと阿呆莫迦新聞が社説で抜かしていたが、猛暑で頭がおかしくなったのではないか。水と油、月とスッポン、不倶戴天の敵同士が、どうしてニコポン状態で並び立つのだろうね。8/5

全英オープンで弱冠20歳の渋野日向子選手がいきなり優勝。上から下まで右も左も腐り切った崩壊寸前の世の中で、これは文句なしのグッドニュースだな。8/6

相変わらずの米中貿易・通貨戦争。この糞暑いのに御苦労なこった。どうせやるなら、お互いにクタバルまで、テッテ的にやり続けてほしいずら。8/7

小泉元首相の息子と「オモテナシ」の女が、首相官邸で婚約発表!? おめでたいというよりは、なんだかキナクサくてケタクソの悪い話だねえ。ま、おらっちにはてんでかかわりのない話ずら。8/8

しかし考えてみれば、なんで極私的な婚約を政府の公邸で発表するんだろうね。官房長官は彼を新閣僚に迎えたがっているようだが、これからは、我ら地べたを這うような民草とは別世界のこおゆうセレブ共が、一層はぶりよく世の中ギュウじっていくのかしら。8/9

安倍蚤糞に限りなく忖度して森友の捜査を放棄し、佐川や財務省の犯罪に目を瞑る大阪地検特捜部は、司法の責任を果たさない税金泥棒かつ無用の長物であり、いまや民衆の敵と化した。8/10

安倍蚤糞独裁体制になってから日米、日ロ、日朝関係はますます腐敗堕落悪化の道を辿っているが、わけても日韓関係はもはや完全なデッドロックに自らが乗り上げてしまった。この危機を打開するためにも、ポスト安倍政権の登板が必要である。8/11

エンゼルスの大谷だけがクローズアップされているがいま大リーグで一番面白いのはナリーグ中地区のカブス、ブリュワーズ、カージナルスの3つ巴のデッドヒート。大谷よりもダル、田沢が所属し65歳の名監督ジョー・マドン率いるシカゴ・カブスの試合を中継してもらいたい。812

森鴎外のいくつかの作品は読んだが、まだ全集は読破していないので、晩年作から初期作品までを遡って読むのを楽しみに安置してあるのだが、全部を読み切ったら寿命が尽きてしまうのではないかと思って、ついつい手をつけないでいるずら。8/13

自由な思想も民主主義も徹底的に圧殺する中華帝国への併吞を本能的に拒否して戦っている香港の若き民草に連帯の意を表明したい。8/14

「米国人は天安門事件を覚えている」と、ボルトン米大統領補佐官。政治家の政策的な発言に過ぎないが、、おらっちも覚えているぞ。8/15

公凶放送が小生に無断で放映中止した「グッドワイフ」の最後までをアマゾンで視聴する。相次いで韓国・日本などで模倣版が誕生したが、これすべて総合プロデューサー、リドリー・スコットの企画・構成力の賜物。続編の「グッドファイト」も面白い。こういうのがプロの仕事だ。8/16

300万人以上の自国民が死に、多くの外国人を殺傷した15年戦争の責任を天皇すら取らず、猿でもする反省すらしないこの国の政治家と民草たちは、次なる戦争にまっしぐらに向かっている。8/17

来年夏のこんな酷暑のさなかに東京五輪を強行すれば、選手はもとより多くの観客が死んだり病院に担ぎ込まれたりするだろうな。分かっているのか森、慎太郎、小池、安倍蚤糞その他大勢のバカ野郎ども。8/18

たまにバスや電車に乗ると、上着を羽織らないと到底我慢できないくらいの異常な低温に設定しているのだが、いったいどういうつもりなのだろう? なんとか辛抱して車両から出た時の高温のギャップが物凄いから、おらっちのか弱い肉体は、二重のダメージを被る。8/19

自分が「下剋上」の軍部を統御できる唯一無二の最高権力者であることを熟知しながら、戦後一かけらの戦争責任も取らず、戦争に対する「反省」すらも、吉田茂の妨害で表明できなかったとほざく上御一人は、だから「人間的!」かよ。8/20

謎の失踪事件。昨日はその大半の時間をエクセルの住所録作りにあてたのだが、今朝パソコンを開くと、その貴重な文書は跡形もなかった。どうやら最後に保存をかけるのを忘れていたらしい。やれやれ。8/21

謎の失踪事件その2。妻は、夕刊を私に直接手渡ししたと確言するのだが、私にはまったくその記憶がなく、雨除けのビニール袋に包まれていたというその新聞も、いくら家探ししても、ついに出てこなかった。8/22

8月19日のNHK-FM「クラシックリクエスト」の北九州公開収録で、ピアニストの高橋アキさんが、エリック・サティの「最後から2番目の思想」を弾きながら朗読されるのを聞いて驚いた。旋律に合わせて歌うのなら普通だが、どうしてこういう芸当ができるのだろうか。8/23

「約束を破ったのは韓国」などというが、その約束を交わした前政権を全面否定して登場した文政権に対して、理解や対話ではなく、トランプ仕込みの攻撃をみずから仕掛けた安倍蚤糞に、問題解決の意思と能力が皆無であることだけは明らかである。8/25

愛用のデスクトップがぶっ壊れたので、仕方なくレノボの一体型のPCを発注す。こないだのテレビはハイセンス、こちらのレノボも中国製である。ネットではスパムソフトが入っているから危険だという人もいるようだが。8/26

前は中国、今度は韓国。この国の単細胞な民草は、安倍蚤糞が仮想的をこさえると、すぐにムキになって、さながらさかりのついた阿呆犬のようにワンワン吠えまくる。戦争中の「鬼畜米英」とまったく変わっていない。8/27

前は右だったが、今度はまた左下の奥歯の歯茎が腫れて、どうにもこうにも困ったものだ。久しぶりに岸本歯科のお世話にならないと、どうしようもないずら。8/28

ホーキング博士を扱った映画「博士と彼女のセオリー」は後味のいい映画だった。エリック・ロメールも、ウデイ・アレンも寅さんもいつも後味がいい。映画と同じように、後味のいい芝居や演奏会、展覧会、小説も珍重されるが、後味のいい政治家と芸能人は滅多にいない。8/29

バイロイト音楽祭の「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」で、スザンナやツェルニーナを歌っているイルムガルト・ゼーフリートは、時々高音部の音程をはずしてしまい、よせばよいのに必死で吊り上げようとする。フルトヴェングラーがよく平気で歌わせていたものだ。8/30

昨日の夜中までかかってパソコンにオフィスをインストールすることができました。いろいろ助けてくださった皆様に厚くお礼申しあげます。それにしてもこの最新式のウインドウズ10は不便この上ない。MS社は顧客の利便を犠牲にして、自社の延命と金儲けに狂奔しているようだ。8/31


  主より長生きできると気がついてイヒヒと笑う私の茶碗 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なにゆえに第67回~西暦2019年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2019-09-02 14:09:37 | Weblog


ある晴れた日に 第577回
 

なにゆえに米軍基地代5倍増そんなら直ちに安保廃棄だ

なにゆえに韓国に対してはムキになるトランプはんにはやられっぱなしなので

なにゆえにアメ公の前で罵り合う手前のケツは手前で拭くんだ

なにゆえに「ガソリンまいて火をつける」そう脅かせば何でも出来る

なにゆえに8月になれば暑くなる雨降り続きのこないだ懐かし

なにゆえに下劣なヨタを吐き散らすツイッター社はトランプを追放せよ

なにゆえに「心中天網島」を買い漏らしたあまりに暑くてボウとしていた

なにゆえに下品な顔が増えてきたテレビが映す下種な顔顔

なにゆえに森友捜査を放棄する大阪地検を解体せよ

なにゆえに午後3時半に赤旗が出るせっかく由比ヶ浜で泳いでいるのに

なにゆえに近距離ミサイルはOKなのか勝手に決めるなトランプ&キム

なにゆえに東京五輪を強行するこんな暑さでは大勢死ぬぞ

なにゆえに鎌倉霊園は燃え盛るクリスチャンの祈りの炸裂

なにゆえに洗濯物を出し入れする台風10号のご機嫌伺い

なにゆえに公人ぞろぞろ靖国に行くひそかに参れ私人として

なにゆえに「グッド・ファイト」はトランプと戦うCBSの度量の深さよ

なにゆえに8月はかくも暑い2月の寒さを忘れさせるべく

なにゆえに「とろーり練乳三昧」がどこにもない日本一美味しいアイスなのに

なにゆえにピーター・フォンダは死に急ぐ姉のジェーンは生きているのに

なにゆえに「再軍備せよ」とほざきおる戦争責任を取らざりし男が

なにゆえにその約束を果たせないとても大事なその約束を

なにゆえに「グリーンランドを譲れ」と抜かす世が世ならば戦争だぞ

なにゆえにあくまで韓国と敵対す対話を忘れた安倍蚤糞

なにゆえに5年でパソコンは壊れてしまう余りに早い機械の寿命

なにゆえに朝も早から息子の電話「石原さとみの録画をしてね」

なにゆえに街頭演説で罵倒できないアテナイ市民にはなれないな

なにゆえにオフィスをインストールできないPCにDVDがついてないから

なにゆえに今年の巨人はぶっちぎる高橋と原の大きな違い

なにゆえに年金制度を危険に晒す足らない金は軍事費を削れ

なにゆえに鐘をじゃんじゃん鳴らすのか「のど自慢」に審査員なし 


 極東のアジアの果ての島国の誰も知らない市井の老人 蝶人
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西暦2019年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2019-09-01 13:11:47 | Weblog


ある晴れた日に 第576回


雨降れどナガサキアゲハは柑橘の葉にぶら下り一粒の卵産む

8月の3日の朝に蝉がいう人みな無為に過ごすべからず

「この女優さんは8×10でビシッと撮りましょ」と篠山紀信氏のたまう

エンゼルスは泥沼7連敗なれど大谷の2塁打のみ大きく報じる

押せばすぐ青に変わる信号は歩行者にはいいが車は迷惑

そういえば昔は何にでも掛けていた今でもあるのか味の素

今日の次に明日という日が来ることをみんな勝手に信じているなり

琉球よヤマトンチームを打ち破れプロバスケットの準決勝で

この夕べ不如帰鳴くを待ちおれば嫉み妬んで騒ぐ眉画鳥

この頃はさっき浮かんだ歌の葉をしばらくするとさっぱり忘れる

大震災も8年目となれば冷たくて国も人も助けてはくれない

わが息子障害者なれど恐らくは障害者とは思っておるまい

売れぬ絵をたんと描いてもそれでよし生きてしあればそれでよろしい

妹も池江璃花子も負けるなよ夏の終わりの抗がん闘争

長すぎるエンドクレジットの只中で突然始まる別の音楽

敵なるか味方なるかと窺いつつ惑いつつ我を見据えるアオダイショウの眼

犯人も犯人でないわたくしも追っているのよ監視カメラは 

横浜で博打場を開きたい女賭博師のよからぬたくらみ

風雪に耐えて嵐を呼ぶ男都知事選にて大爆発か

一命をマッカーサーに救われて「再軍備せよ」と抜かす天皇

天皇の戦争責任について誰一人触れぬ8.15

モノなどを考えること自体が面倒で考えたふりして「どちらともいえない」

トルストイの本の名前と覚えしが「戦争と平和」は今のことなり

殺されず殺しもせずに戦から戻ってくるのは奇跡に近い

表現の自由を守るっちゅうことは命を賭けんと出来へんちゅうこと

西瓜ほどおいしい果物はないいずれは君にも分かるでしょう

8月の終わりの日に思い出すサトウハチローの「その日は8月31日」

文月尽と詠めばそのとき文月尽く 

つくつくと法師鳴くなり母悼み

猛き者ますます武張る葉月哉


       活活とクマゼミ鳴きて葉月尽
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする