あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦2022年水無月蝶人映画劇場その2

2022-06-15 20:48:26 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2870~74

 

1)フランク・キャプラ監督の「群衆」

解雇寸前の新聞記者バーバラ・スタンウイックの脳内で生まれた、喰うに困ってクリスマスイヴに市庁舎から飛び降り自殺する架空の人物募集に応募したゲーリークーパーが、どういう風の浮き回しか、草の根運動の頂上に立って正義的策動に巻き込まれていく1941年の大力作。

 

2)バーナード・ローズ監督の「パガニーニ」

2013年の天才的ヴァイオリニストの嘘かほんとか分からない「伝記」映画。

実際に主演のデイヴィッド・ギャレットがストラデイバルウスを弾く。

 

3)フレッド・グリヴォワ監督の「15ミニッツ・ウォー」

ウクライナ出身のモデル&女優が主演する、アフリカのバスハイジャック事件の一部始終。

 

4)ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の「スペイン狂詩曲」

ピエール・ルイスの「女と人形」をドス・パソスの脚本、マレーネ・ディートリヒの主演で1935年に映画化。悪女に翻弄されるアホ馬鹿男の末路は哀れずら。

 

5)佐向大監督の「教悔師」

突然他界した大杉蓮が教悔師に扮してそれぞれに個性的な死刑囚の最後の日々に応接する姿を真に迫って活写する佐向選手の力量は名前に恥じず大したものだ。

この映画を見ていると、カンヌでなんたら賞をもらって欣喜雀躍している映画監督らの作品が能天気に見えてくるずら。

 

  アノオ、アノオと間投詞のみ聞こえ何も頭に残らない解説者 蝶人

 

 

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.124」

2022-06-14 19:56:02 | Weblog

主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.124」

 

西暦2022年水無月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第410回

 

  • 姪の成人式を祝う伯母のスピーチ

陽子ちゃん、成人式おめでとう。お父さん、お母さんもおめでとうございます。*1

 

おばさんはね、普通の姪が成人式を迎えた日の普通のおばさんよりはきょうずっとずっとうれしいんです。何故っていうとね、それはあなたも知ってのとおり、おばさんはあなたの名付け親だからです。*2

 

あなたのお母さんはね、長女であるあなたが誕生した時、会社の仕事を続けようか、それとも専業主婦にしようかといろいろ悩んでいました。躁鬱症じゃあないんだけど、そういうことって誰にもあるでしょう。

 

ふだんはとっても元気な人なのに、すっかり落ち込んでいたのよ。せっかくあなたがこの世に登場しようと意気込んでいたのに失礼しちゃうわね。それでやっとあなたが生まれて、さてどんな名前にしようかという段になってもやれ四柱推命がどうだの字画がどうだのって、いつまでたっても夫婦でぐちゃぐちゃいってたの。

 

役所に名前を登録する締め切りに遅れそうだったのよ。それで私はよせばいいのにおせっかい出して、こういったの。こういうことは単純明快にやったほうがいいよって。*3

 

作家の井上ひさしさんがたしかこんなことをいってたわ。間違ってたらごめんなさいね。つまり、なにかを表現する場合には、3つのポイントがあるんですって。1つは、複雑なことを簡単にする。2番目は、簡単にしたことを、深くする。3番目は、その深くしたことを、ついでだから面白くするんだって。

 

それでね、おばさんはあなたの命名にあたって、この三原則を応用したの。いま津森家にとっていちばん必要なことは、最高の明るさと元気さである。うじゃけた陰気虫とネクラをぶっ飛ばせ。あなたの誕生がそのきっかけになればいい、と思った訳。*4

 

その時、いきなり思いついたのが陽子という名前でした。太陽のように明るく、元気で、どんな困難にぶち当たっても決してめげない前向きな存在になって欲しい。20年前、そんな思いを込めてあなたの名前が誕生しました。

 

陽子ちゃん、これからも陽子らしくのびのび生きてください。おばちゃんはいつもあなたを見守っているわ。

 

  • アドバイス
    • 1姪の名付け親である伯母が、成人式で明かす命名にまつわる秘密である。
    • 2あまり深刻にならないで、20年前を振り返る伯母。姪は興味津々で話に引き込まれていく。
    • 3井上ひさし氏の三原則は、なぜか永六輔氏によってもPRされ有名。有名であるだけでなく、こうしたあいさつやスピーチを考える際にも参考になる。
    • 4三原則との関連はあまり論理的ではないが、当時津森家を覆っていた複雑なムードを陽子という単純明快な命名で一掃し、陽子が、太陽系の中心である太陽のような存在となって、津森家をよりいきいき楽しく発展させたい、というように解釈できる。

 

  そのときはやわらかなことばをつかうのよと美枝子さんがアドバイスしている 蝶人

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県立近代美術館・葉山で「朝倉摂展」をみて

2022-06-13 09:04:35 | Weblog

蝶人物見遊山記第346回

 

生誕100年を記念して昨日まで開催されていた本展。

なんの期待もせずに行ったのだが、思いがけず目の保養になる出しものもあって、それは例えば彼女が二十歳の年に描いた楽しく美しくカラフルな日本画だった。

 

恥ずかしながら、朝倉摂といえば舞台美術のスペシャリストと思っていたので、最初期は日本画家であったとは、ここで作品を見るまでは全く知らなかったのである。

 

同年代の少女の群像を大胆な構図で、(後続する後年の抽象的な重苦しい絵画とは180度違って)、なんの苦もなく楽しい絵に仕上げてしまっている。

 

注目すべきは、彼女が1日1枚描き続けていたという「スケッチ・ブック」で、そのどれをとってもその正確なデッサン力と見事な色彩感覚に感嘆させられるのであるが、特に1951年に佐藤忠良を正面から鉛筆で描いた1枚は素晴らしく、若き日の彫刻家の面影がものの見事にとらえられている。

 

会場には彼女が長い生涯の最後まで手掛けた舞台美術の貴重な映像記録や模型もあますところなく展示されており、その水を得た魚のごとき活動のエッセンスをうかがい知ることもでいたのだった。

 

   我が民を救うと称して外つ国を攻めるは戦の常套手段 蝶人

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ガタロー☆印マン作「おおきなかぶー」を読んで

2022-06-12 09:40:47 | Weblog

照る日曇る日第1750回

 

おじいさんが畑に埋まった大きなカブをひっこぬこうとするのだが、なかなか抜けないので次々に助っ人が登場してえんやらえんやらぐあんばる、というシンプルな筋立て。

 

さりながら「笑本おかしばなし」という副題が付いているだけあって、並みの絵本を笑い飛ばすような大胆不敵なコピーとえげつないデザインが、この絵本を超ユニークなものにしている。

 

世の中お上品な絵本が氾濫しているので、良い子のみんなは大喜びするかもしれないが、親御さんは買おうか買うまいかと1時間ほど迷うことだろう。

 

 「アルファ・ロメオに乗る奴だけは許せない」と中古フォードのナカノ君 蝶人

 

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西暦2022年水無月蝶人映画劇場

2022-06-11 08:54:16 | Weblog

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2865~69

 

1)森永健一郎監督の「星のフラメンコ」

西郷輝彦が母を探して台湾をさすらう1966年の日活映画だが、不思議な懐かしさがある。

 

2)コンプトン・ベネット監督の「第七のヴェール」

ジェイムス・メイソンとアン・トッドが主演する1945年の音楽サスペンス恋愛映画だが、ふん、どこが面白いんだか。

 

3)園子温監督の「紀子の食卓」

「自殺サークル」の予告編的作品だというのだが、登場人物の女の子が延々と訳の分からんことを喋りまくる超退屈な駄作ずら。

 

4)園子温監督の「自殺サークル」

集団自殺をテーマにした2002年の問題作だが、思わせぶりなだけで竜頭蛇尾な映画ずら。

 

5)マイケル・メイズ監督の「ブラインド 朗読する女」

水と油だった夫婦の間に盲人の作家が割り込んできて、結局は落ち着くところに落ち着く御話。

 

 けふもまたAIがニュースを読んでいるアナウンサーなぞ不要で不急 蝶人

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.123」

2022-06-10 13:42:35 | Weblog

西暦2022年水無月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第409回

 

  • 孫の七五三を祝う祖母のスピーチ

健ちゃん、七五三おめでとう。*1

 

七五三といってもいまどきの若い人はなんのことやら分からないかも知れないけど、昔から女の子は3歳と7歳、男の子は5歳の時の11月15日に晴れ着を着て、神社にお参りするのが七五三です。

 

地方によって、男の子は3歳と5歳でお祝いするところもあるようね。*2

 

でも、うちは5歳になった健ちゃんを、ここ十二所神社でお祝いすることにしました。この神社はね、明治維新も間近に控えた文久2年に近所の12戸の農家が協力してつくったそうです。終戦までは十二所部落の氏神さまとして各隣組が順番に担当してお祭りをしました。*3

 

祭礼は、毎年九月8日から10日にかけて行われ、おばあちゃんも娘の時からお赤飯を炊いたり、お餅を丸めたり、境内のお掃除をしたりして近所のお友だちといっしょにお手伝いをしたものです。

 

そんなおばあちゃんにとっても格別思い出深い十二所神社で毎日遊ばせてもらいながら健ちゃんは元気に育って、今日5歳になりました。ありがとう、十二所神社さん。*4

 

おばあちゃんは、健ちゃんが、本殿の柱のしたに巣食っている蟻地獄を捕まえたり、アブラゼミの幼虫をとって帰ってお家で成虫に孵化させたり、楠の葉っぱにとまっているアオスジアゲハを捕まえたり、アオダイショウをマフラーのように首に巻いて楽しそうに散歩したりしているのをよく知っていますよ。*5

 

お父さんから伺ったんだけど、この間は、ヤモリとイモリを間違えたそうですね。ヤモリは爬虫類、イモリはサンショウウオの一種ブレクお腹が赤い両生類なんだけど、格好はよく似てるからなかなか区別がつかないわね。

 

健ちゃんが、ヤモリを入れたばけつにお水を注ぎ込んだものだから、ヤモリが苦しくなってもがいているところにお父さんが会社から帰ってきたからよかったけど、あのままだとヤモリもやばかったわね。でもすごくいい勉強をしたわね。*6

 

一番心配をしたのは、去年のお祭りの夜でした。どういう物のはずみだか、神社の階段のたもとにあった灯篭のてっぺんの飾り石が健ちゃんの左足の上に落っこちてきて、健ちゃんが怪我をしたときは、みんな心配しました。

 

でもこうして元気になって相変わらず遊びまくっている健ちゃんを見ているのがおばあちゃんは一等うれしいの。

 

 

  • アドバイス
    • 1おばあさんが目に入れても痛くないほど可愛がっている孫が七五三を迎えた。最近は七五三という儀式についてよく知らない人もあるだろうと、おばあさんは丁寧な解説から始めた。
    • 2さあ、何から話そうか。きょうみんなに語りたい楽しい思い出は、それこそ何ダースもあるだろう。
    • 3おばあさんの娘時代の懐かしい思い出に、最近の孫の活躍が自然にオーバーラップするのである。
    • 4おばあさんは、孫の動静を愛情をもって、じつに細かく観察していることが分かる。
    • 5三世代の家族が仲良く暮らしているさまをほうふつさせるほほえましいスピーチである。
    • 6最後はきちんとしたオチをつけないで終わるが、孫に対するおばあさんの愛情が聴くものに伝わってくるようだ。

 

   ×と描きたるマスクをかけて「六四」の追悼公園へ行きたる君はも 蝶人

 

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家族の肖像~親子の対話その79

2022-06-09 13:19:21 | Weblog

ある晴れた日に 第685回

 

さいたま新都心って、新しい駅ですお。知ってた?

知ってたよ。

 

お父さん、おばあちゃん、まえ寝られなかったんですお。

そうだったんだあ。

 

お詫びって、なに?

ごめんなさい、よ。

 

本日限りって、なに?

今日だけ、よ。

 

大家さんて、なに?

借りたい人に、おうちを貸してあげるひとよ。

 

新横浜、新しい横浜でしょ?

そうだね。

 

ぼく、クロサカ戦先生とカケガワ先生、両方好きだお。

お父さんも。

 

日暮里・シャジンライナー好きですお。

シャジン、シャジン? コウ君それは舎人と読むんだよ。

トネリライナー、トネリライナー。

 

お父さん、「頭使え」と怒られたんですよ。

誰に?

ヤマダ先生に。

そうか、お父さんがそのヤマダをやっつけてやる!

 

お母さんは?

いま外でお掃除。お父さんじゃ駄目なの?

駄目ですお。

じゃあちょっと待ってね。電話切るなよ。

分かりましたあ。

 

大きいおばあちゃん、園部で生まれたの?

そうだよ。

ソノベ、ソノべ、ソノベ。

 

お父さん、リコちゃんのビデオ観たいですお。

よーし、いまセットするね。

 

ぼく、緒方拳と竹中直人好きですお。

お父さんも。

お母さんは、緒方拳が好き。

 

ぼく、トシヒコ君だお。

こんにちは、トシヒコ君。

 

十二所神社、オクラあったよ。

いつ?

昔。

どこに?

畑に。

 

コウ君、お父さんと一緒にゆっくり死んでいこうね。

分かりましたあ。

 

お父さん、腰痛かったら?

コウ君、腰痛いの?

痛くないお。腰痛かったらサロンパスですお。

そうだね。

 

お母さん、ヒコクニンって、なに?

悪いことをしたかも、っていう人よ。

ヒコクニン、ヒコクニン、ヒコクニン

 

お父さん、お母さん、どこ?

おばあちゃんチだよ。

 

お父さん。

なに?

大好きですよ。

コウ君、なにか悪いことした?

しませんお。

 

お葬式、拍手しちゃだめ?

駄目だよ

お葬式、静かにしようね。

そうだね。

 

お母さん、なんでリコちゃん泣いたの?

きっと悲しかったからよ。

 

 

  右肩の痛みは写真に現れず「後遺障害無し」との判定 蝶人

 

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村上春樹著「ノルウェイの森 上下」を読んで

2022-06-08 10:27:19 | Weblog

照る日曇る日第1749回

 

本書あるいは村上春樹を語る時、忘れてはいけないのは彼の小説の中身よりも、むしろその個性的でユニークな文体である。

 

この文体は、人によっては「やれやれ、またか」とウンザリさせるように村上調の手垢にまみれ、今では何の変哲もない陳腐でありふれた語り口となってしまった感があるが、にもかかわらず多くの識者が証言するように、彼が偏愛するフィッツジェラルド、ヴォネガット、ブローティガンなどアメリカの新しい作家から影響を受け、その翻訳を手がける中で、あの軽妙でユーモアとウイットに富む語り口を自家薬籠中のものにしていったのである。

 

因みに、最近の彼の翻訳を一瞥してみよう。

 

「そして一人の娘が、二番目に好意を持っている男性に向かって、もう一人の男の話をするとき、それはつまり彼女が恋をしているということなのだ」(スコット・フィッツジェラルドの小説「最後の大君」より)

 

さほど特別な言い回しではないけれど、ありふれた恋をありふれたものに堕さないための創意工夫がひめやかに洩らされている点で、村上選手自身の文体と見分けがつかないほど知的でデリケートな表現といえるだろう。

 

我々読者は、古くは平安時代の紀貫之の「土左日記」、明治の二葉亭四迷の「浮雲」、新しくは橋本治の「桃尻娘」、俵万智の「サラダ記念日」、嵐山光三郎の「昭和軽薄体」など、どんな時代にも他の作家とはひと味もふた味も異なる味わいの文体を求めてきた。

 

そして村上春樹の新型米国文学を骨肉化した融通無碍な語りは、若き日の江藤淳の鞭のように鋭くしなる散文と並んで、かつて本邦の新感覚文体の最先端をさながら陽気な尺取り虫のように乱歩迷走していた事実を忘れてはならない。

 

  ウクライナてふ主題をしゃぶり尽くし変奏の限りを尽くす世界のマスコミ 蝶人

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村上春樹著「ノルウェイの森 下」を読んで

2022-06-07 15:58:11 | Weblog

照る日曇る日第1748回

はじめに述べたように、本書の根っこはビルダングスロマン風な恋物語なのであるが、その実体は「100%の恋愛小説」ではなく「50%は恋愛、残りの50%が性交小説」であったことが大うけしたのである。

 

若い男女の性器の挿入やフェラチオなどの性的交渉を物凄く即物的に描写している箇所は、文学的にどうこういうよりも、当時の「ポパイ」や「ホットドッグ」のノリを純文学に取り入れただけの話で、それ以上でも以下でもない。

 

小説の展開手法としては、この「恋愛+ポルノ」を主軸に、枝葉に当たる様々なエピソードを接ぎ木しながら、物語を苦労しながら前に進めて、なんとかかんとかゴールにたどり着くが、実は主人公のワタナベ君を除く主要な登場人物の造形や、プロット全体の完成度はあまり高くない。

 

とても重要な2人のヒロインよりも、寮のヤリマン東大生の先輩や、癌で死にゆく同級生の父親のほうが、あざやかな存在感を示すのは不思議だ。

 

なお、かなり露悪的に描かれているヤリマン東大生の性癖などに、この作家の男根主義を見出して、フェミニズムの観点から叩くことは誰にもできるが、それには1960年代の終わりから70年代のはじめにかけての私も含めた一般男性の時代遅れのジェンダー意識も考慮しなければ公平とはいえないだろう。

 

  君知るやマイナカードとは人間に装着させるマイクロチップ 蝶人

 

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村上春樹著「ノルウェイの森 上」を読んで

2022-06-06 10:13:56 | Weblog

照る日曇る日第1747回

 

一読してこの小説、何となく島崎藤村の「若菜集」とか伊藤佐千夫の「野菊の如き君なりき」に似通うものがあるような気がした。要するに本質は初々しい恋愛小説、青春のビルダングス・ロマンなのである。

 

道中で主人公が詠み続けている本が、トーマス・マン選手の「「魔の山」であることも、ある意味で故無しとしない。

 

主人公の「ワタナベ君」は、(いつもそうであるように)、綺麗で頭の良い女性にもて、(いつもそうであるように)、相思相愛のラブラブ状態に突入するのであるが、(いつもそうであるように)、前途に様々な障害が出現し、お互いがお互いを傷つけたり、突然訳もなく、読者にきちんとした説明をすることもなく死んでしまったりするのであるが、結句それらの傷と痛みがワタナベ君を大きく成長させ、未熟な若者をそれなりに立派な大人に悟達せしめるのである。

 

そんな面白くもおかしくもない(少しはおかしいところもあるが)小説が、なんで空前のベストセラーになったかというと、「ノルウェイの森」というビートルズの曲みたいだが、実は何の関係もない‘お洒落なタイトル’のせいなのであった。

 

なお主人公(と作者)が大学時代に利用した「和敬塾」は実際に早稲田大学の近くにあるが、超安価ではあってもなんとなく胡散臭い学生寮で、よほどの苦学生か右翼でなければ誰一人利用しない代物だったが、そんな施設に小説の主人公はともかく、村上選手自身が何年も入っていたことの方が不思議である。

 

  そのかみはぶらつくだけのブラタモリ今では地学講習会となり果てる 蝶人

 

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「夢は第2の人世である」あるいは「夢は五臓六腑の疲れである」第112回 

2022-06-05 09:00:13 | Weblog

西暦2022年如月蝶人酔生夢死幾百夜

 

三連沼に棲むオオウナギが、村人たちを襲ったので、おらっちは、長靴で沼の中に入っていって、オオウナギの大きな顔を、ズタズタに引き裂いたので、彼奴は、村役場のビルのエスカレーターに乗って、逃亡したようだ。2/1

 

オルハインと少年は、昨夜から一緒に過ごしていたんだが、面倒くさいので、昼間も一緒に過ごすことになってしまった。2/2

 

久し振りに銀座電通主催の新年会に出たのだが、相変わらず専務のフルカワちゃんが三色ホースを持ち出して、「鼠退治だあ!」と喚きながら、3色の汚水を撒き散らすので、フロアはたちまち水浸しになってしまった。2/2

 

昔むかし、田舎の森の中の巨大な岩壁の下に、広大な空間が発見されたが、そこは、とても音響効果が優れていることが、分かった。2/3

 

そして今、そこは町内で唯一、というか全国随一のコンサートホールとして生まれ変わり、第一発見者であるおらっちは、そのホールの支配人に選ばれたので、ブレンデルとマリナー指揮アカデミ―室内管を呼んで、モザールの協奏曲全集を再録音したのよ。2/4

 

コンミューン最後の日に、同志たちが一人また一人と墓地で処刑される姿を悲涙を呑みつつ胸に畳んでから、半年間寝床を共にした男女(♂♀)と別れ、深い森の中を一晩中歩き続けて露でぐっしょり濡れた体で村に入ると、村人たちが朝餉を準備する物音に交じってヤマガラの囀りが聞こえてきたので、なにやら生きる力が湧いてきたようだった。2/5

 

若い頃、戯れに天井からぶら下った巨大な三角形を燃やして、危うく、大火事にしてしまうところだったずら。2/6

 

どこかで鳴くアブラゼミの声が響き渡る両国駅。そこからは、遠く白い三角形をした富士山の山頂が望まれたが、おらっちは、その長い長いプラットフォームの反対側のその先を、どんどんどんどん進んで行った。2/7

 

おらっちはなぜだかお大尽だったので、立派な神輿のような乗り物にのせられ、4人の苦力に担がれて急な坂を登り、カブトムシやクワガタが群がっている栗林を過ぎて、高い高い山の中に入っていく。

 

おらっちは病気なのか、それともどこかを怪我しているのか? 胸に手を当てて考えてみたがさっぱり分からない。山のてっぺんを過ぎた神輿は、今度は急なヒヨドリ坂をいっさんに下っていくようだ。

 

山の麓には小さな村があり、村の真ん中の道に沿って一軒の古本屋があり、物珍しいので神輿から降りて中に這入ってみると、中世の古文書と江戸時代の黄表紙ばかりが整然と並んでいるので、店主に挨拶もしないで飛び出すと、完全武装した数人の米軍の兵士がぶらぶら歩いていた。2/7

 

眼前に宇宙戦争が迫ってきた。宇宙人の地球攻撃には各家庭で対応して下さいと阿呆莫迦政府がいう。「地下に潜ったら」と町内会長がいうので、おらっちはトラクター借りてきて、地面に防空壕を掘り、一家でその中に閉じこもることにしたのよ。2/8

 

教会が作っているカボチャやキュウリやナス、トマトを提供することになり、牧師夫人が「どうご自由にお持ちください」というた時には、モジモジしていた貧民たちだったが、彼女が姿を消すや否や、我勝ちに獲物に殺到し、獰猛な男どもは、女子供が持つ野菜を無理矢理ひったくるのだった。2/9

 

おらっち、殺人公社の専属スナイパーなんやけど、「殺傷対象が反社会的存在なら、勝手に判断して殺してもよろしい」と上司がいうんやけど、「自由に殺してもええ」と言われれば言われるほど、引き金を引けんようになっていくんや。2/10

 

北欧某国のデザイナーⅩ氏は、デザイン後進国のこの国で、ふぁっちょんから車、文房具、ビルジングまで、デザインと名のつくもののすべてを、超高値で引きうけて、荒稼ぎして来たのだが、最近ようやくメッキと化けの皮が、剥がれてきたようだ。2/11

 

韓国の山奥の珍しい景色をビシバシ写真に撮っていると、突然画面の右から左に、長い葬列が延びてきた。きっと、どこかの貴人の葬式なのだろう。2/12

 

キタカマのケンチョウジの北側は低山なのだが、なぜだか池の向こうが砂浜になり、そこからいきなり海になっている。おらっちはその海を見渡す厳島神社もどきの「立って半畳み、寝て1畳」の陋屋に住んでいたのだが、いつのまにか男好きのする女が棲みついてしまった。2/13

 

よく見ればまだ若い女なので、さぞや夜には、性欲的オーラを寝屋に発散しているのだろうが、なんせこちとらは、生まれながらのインポテンツなので、彼女がおらっちに跨って挑発しても、隆起の兆しはなかったのだが、最近は「もしかすると」という感じになってきたかも。2/13

 

会社の新しい上司が、社長のドラ息子になったのだが、こいつが嫌な野郎で、もうイヤデイヤデ仕方がない。出来るだけ話をしないよう、顔も見ないようにしているのだがあ。2/14

 

椿姫が亡くなったので、おらっちは彼女の遺言どおり、広大な庭の真ん中に本の紅白の椿の木を植えたのだが、今ではそれが亭々と茂る大樹となって、大空に聳え立っている。2/15

 

イシガキ医師は余の主治医であり、なおかつガンで余命半年の宣告を自らに下しながらも、10時間に及んだ余の右肩ガン手術を成功させ、予言どおり半年後に命終された。216

 

映画のラストで、主人公を海底深く沈めてしまうか否かについて激しく迷った監督のおらっちだったが、ここで美貌のヒロインを殺してしまえば、本作の印象は強化されても、続編の依頼が来なくなってしまうことを懼れて、やっぱ生かすことにしちゃったのよ。2/17

 

おらっちはケータイで、その都度「しんたんソフト」を駆使して、要所要所を微分積分したが、しばらくすると、その後にはなんにも残っていなかった。2/18

 

ここは大英博物館の地下だと思うのだが、なんとだだっ広い墓場に似たうすら寒い空間なんだろう。おらっちの仕事は、ここをなんとか無理やりにでも「活性化」させることなんだけど、ちょっと難しいなあ。2/19

 

わいらあワイラー監督の戦争映画を手伝っているのだが、彼は連合軍内部の因果応報を描くシーンを、みなカットしてしまったので、ついつい疑惑の暗雲が湧いてきたのよ。2/20

 

夜中にずきずき頭が痛むのだが、これが一体夢の中の頭痛なのか、それとも実際の頭痛なのかが分からず、朝になれば分かるだろう、と思っていたのだが、起きてみると頭痛はなかったずら。2/21

 

由緒ある大寺の床下で古布団にくるまって寝ていたら、真夜中に住職がやって来て「何か困っていることがあるのか?」と聞くので、「最近前向きに生きられないのです」と答えると、「そういう時には家ごと歩けばいいのじゃ」という。気がつけばおらっちは、大寺の地面毎前進していた。2/22

 

おらっちは新聞社に入って、あこがれの記者になったのだが、上司がいう公正公平な記事というやつが、何年経っても書けないので、擱筆、退職して郷里に帰ったのよ。2/23

 

最難関の洋裁学校を首席で卒業するために、私は毎朝早起きして、イの一番にミシンを磨き、イの一番に仕立てに必要な着分の生地を、全生徒の机の上に並べたのだった。2/24

 

「でもあんた、怪我はしたけど、死ななくてほんとに良かった。持って生まれた強運の星のお陰よ。ノーブルなサラブレッドはいつまでも走り続けるのよ」、とか言われると、おらっちも、だんだんその気になってくるのだった。2/24

 

あったかい宮殿でふんぞり返って「キエフを目指せ!ゼレンスキーの首を獲れ!」、などど矢継ぎ早に命令を下されたロシア軍兵士たちは、極寒の地で阿呆らしくなり、全員が戦車や戦闘機から降りて、投降したのよ。2/24

 

コロナ患者対応で、きりきり舞い。疲労困憊して、、金欠病の町医者たちに、おらっちが、金の延棒を呉れてやると、彼らは、たちまち、らんらんと目を輝かせ、勇気百倍、燃える闘魂、元気溌剌、になるのだった。2/25

 

そこであたいがしゃしゃり出て、「さあさ修学旅行帰りの皆さん、長旅でさぞやお疲れでしょう。でもこの我が家の特製麦茶を一口飲めば、ああら不思議、疲れなんてどっかに吹き飛んでしまう。さあ、1口いかが?」と2/26

 

知恩院前のバスに向かって呼びかけると、超ミニスカートの女生徒が、「あたしの目尻の皺を見て、まるで郷里のお母さんだと思って、一斉に駆け寄って来て、原価ほとんど無料の番茶が、バンバン売れちゃうの」と、商売の秘訣を語ってくれたずら。2/27

 

とうとう戦争になった。時代物の旧型長谷川戦車を駆使したおらっちは、3台の敵戦車を破壊したけれど、あっと言う間に殲滅されちゃったずら。2/28

 

 

  6時間では足らない9時間ならばほぼ語り尽くせると息子いう 蝶人

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家族の肖像~親子の対話その78

2022-06-04 12:33:22 | Weblog

ある晴れた日に 第684回

 

さいたま新都心って、新しい駅ですお。知ってた?

知ってたよ。

 

お父さん、おばあちゃん、まえ寝られなかったんですお。

そうだったんだあ。

 

お詫びって、なに?

ごめんなさい、よ。

 

本日限りって、なに?

今日だけ、よ。

 

大家さんて、なに?

借りたい人に、おうちを貸してあげるひとよ。

 

新横浜、新しい横浜でしょ?

そうだね。

 

ぼく、クロサカ戦先生とカケガワ先生、両方好きだお。

お父さんも。

 

日暮里・シャジンライナー好きですお。

シャジン、シャジン? コウ君それは舎人と読むんだよ。

トネリライナー、トネリライナー。

 

お父さん、「頭使え」と怒られたんですよ。

誰に?

ヤマダ先生に。

そうか、お父さんがそのヤマダをやっつけてやる!

 

お母さんは?

いま外でお掃除。お父さんじゃ駄目なの?

駄目ですお。

じゃあちょっと待ってね。電話切るなよ。

分かりましたあ。

 

大きいおばあちゃん、園部で生まれたの?

そうだよ。

ソノベ、ソノべ、ソノベ。

 

お父さん、リコちゃんのビデオ観たいですお。

よーし、いまセットするね。

 

ぼく、緒方拳と竹中直人好きですお。

お父さんも。

お母さんは、緒方拳が好き。

 

ぼく、トシヒコ君だお。

こんにちは、トシヒコ君。

 

十二所神社、オクラあったよ。

いつ?

昔。

どこに?

畑に。

 

コウ君、お父さんと一緒にゆっくり死んでいこうね。

分かりましたあ。

 

お父さん、腰痛かったら?

コウ君、腰痛いの?

痛くないお。腰痛かったらサロンパスですお。

そうだね。

 

お母さん、ヒコクニンって、なに?

悪いことをしたかも、っていう人よ。

ヒコクニン、ヒコクニン、ヒコクニン

 

お父さん、お母さん、どこ?

おばあちゃんチだよ。

 

お父さん。

なに?

大好きですよ。

コウ君、なにか悪いことした?

しませんお。

 

お葬式、拍手しちゃだめ?

駄目だよ

お葬式、静かにしようね。

そうだね。

 

お母さん、なんでリコちゃん泣いたの?

きっと悲しかったからよ。

 

 

ジーンズ越しに勃起した陰茎を見せつけてロバート・プラント「オーシャン」をシャウトす 蝶人

 

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すべての言葉は通り過ぎてゆく第104回

2022-06-03 09:50:06 | Weblog

西暦2022年皐月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第402回

 

 

ガンや重病に侵され、目前の死を直視している人々にとっては、世界のどこかの戦争や、この国の水難事故や、急激な円安と諸物価値上がりや、莫迦な左翼の壊滅などは、もはやどうでもよい話と映るだろう。5/1

 

「末期の目」で、自分とまわりを見つめ直したら、世界観が一変するだろうな。5/2

 

そんなに憲法を変えたいなら、まずは第1章からだ。5/3

 

「武器を携行せずにすむ生活など、およそ考えもつかぬほど、野蛮な国民」。彼らは平和よりも死の方がよいと思っている。他の国民は戦争よりも死の方がよいと考える。byパスカル「パンセ」。5/4

 

日本国憲法の危機。それは9条の前提である「前文」の危機ではないだろうか。かつて「前文」が想定していた現状認識が、その後の国際情勢と国民、政府双方の内部変化によって、大きく揺らいでいるようだ。5/5

 

「前文」は「日本国民は、(中略)政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意する」とあるが、既に政府は惨禍を起こす準備を開始しており、国民自身の決意自体も徐々に揺らぎ始めているようだ。5/6

 

正義の戦であれ、不義の戦であれ、そもそも戦さ自体が絶対的な悪なのだから、これを自らが惹き起こしてはいけないし、まして他人の戦に巻き込まれてはいけない。それが絶対平和主義をモットーとする永世中立の思想である。5/7

 

筑波学院とかいう大学職員のウクライナ問題「解説」があまりに酷いので、その代わりになんと本来は憲法違反で非合法の自衛隊情報員がしゃしゃり出て、もっともらしい御託を並べているのだが、とても専門家とは思えないレベルの噺なのだった。5/8

 

「殺られたら、殺り返せ」。戦さの原因は、結局これに尽きる。人間がどうにかして復讐の連鎖を超克しない限り、戦争は、いつでも、どこでも、何回でも、繰り返されるだろう。おのおのがた、手に手を取って、いざいざ恩讐の彼方へ!5/9

 

全国28府県で1万8千人の重度障害者が入所施設を求めて待機していると公凶放送がいうとったが、すぐに補正予算から支出して対応せよ。5/9

 

プーチンは歴史的にわが領土だからウクライナに侵攻したと言うたが、ニッポンチャチャチャも、胸を張って北方4島に「特別軍事作戦」をする権利がある、と言うてくれとる訳だ。5/10

 

「パターソン」という映画の終わり頃に、大阪からやって来たという「詩イノチ」のダサい商社マンが「あなたも詩を書くのですか?」と訊ねる。パターソンが照れくさいので「ノオ」と答えると、男が「エヘン」と空咳をするのだが、その空咳が好きだ。5/11

 

詩も歌も、心の奥底から湧き上がって来る思いの丈を書きとどめるものであり、いくら心の表層に浮遊し、点在している言葉をかき集めて編集加工しても、それは所詮は虚しい人工物にすぎない。5/12

 

公凶放送の「天気予報のオネイさん」の中で、おらっちが一等好きなのは、夜明け前から傘をさして登場する近藤奈央ちゃん。平野有海ちゃんも良かったけど、産休に入ってしまったのは残念ずら。5/13

 

大谷のホームランや二刀流しか眼中にない日本人は知らないだろうが、彼が所属する勝率6割3分3厘のロサンジェルス・エンジェルスは、つい先日、激しく追いあげてきた勝率6割5分6厘のヒューストン・アストロズに0.5差で抜かれ、とうとう首位を明け渡した。5/14

 

「沖縄本土復帰50年」というが、在日米軍基地の7割を沖縄に押し続けてきたのは、米国ではなく、他ならぬヤマトンチュウ政府とその背後に存在する民草そのものであることを、改めて認識しなければならない。5/15

 

世界を2分する国際的な紛争ついて、米欧、中露のいずれにも強く傾斜しないインドという国の、賢明というべきか、狡猾というべきかよく分からんが、てめえの国益にだけは忠実な政治外交政策を、ニッポン茶茶茶なんかはよく研究すべきだ。5/16

東京のど真ん中の空虚な中心地に、嘉手納基地とフクシマ原発を移転して据え付ければ、この国の政治も少しは変わるのではないだろうか。5/17

 

喰うや喰わずの民草を搾取して、核ミサイル開発に血道をあげていた金正恩が、突如「開国以来の大動乱!」と喚いて、柳の葉っぱの煎じ薬でコロナウイルスを退治しようとしている。バーロー!ザけんじゃないよ。5/18

 

「詩というのは、感動をこめた言語と言ったらいいでしょう。リズムを整えた言葉です。詩はそれ自体で完全な小さな世界です。独立して存在します。すぐれた詩は、詩人の全生命を表現するものです。詩人とはなにかを教えてくれます。」ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ・沢崎順之助訳「パターソン」5/19

 

ほら、誰もが夢見ていた、いつでも、どこでも、好きなだけ、戦争が出来る、目も頭もクラクラするような、素敵な時代が、とうとうやってきたのだ、ぞお。5/20

 

パイレーツの4番に座っても、海賊にもなれず、打率1割6分5厘と、てんで打てない筒香選手。もう大リーグは無理だから、諦めて横浜大洋に戻ってこい。5/21

 

いまFMの「名演奏ライブラリー」でイタリアのソプラノ、レナータ・デバルディ特集をやっている。高音から低音までビロードのようになめらかな美音を出せる名歌手とは思うのだが、いかんせん最高音が出せないために、いつも無理矢理引っ張り上げるのが痛々しいずら。5/22

 

戦後の多くの日本人は、ハリウッド映画などでディープキスを目撃するまでは、ガラス越しの接吻がキスだと思っていたのよ。5/23

 

おととい初めてのホタルが3、4匹。きのう妻君が突然の激痛。きょう「死に水を取る」という言葉に惹かれます。5/24

 

散歩中のおくさんが「おたくの前の道路に、大きな蛇がいたわよ」と教えてくれたので、慌てて玄関前の水甕の中のメダカを確認したが、幸い8匹とも無事で良かったずら。5/25

 

結局立憲は自壊し、維新はもちろん、連合も国民も雪崩を打って与党に靡き、野党で残ったのは社民、共産、れいわ新撰組だけか。戦前より酷いファシズム国家じゃのう。5/26

 

「私はそういうタイプの人間なのよ。マッチ箱のわきについているザラザラしたやつみたいな存在なのよ。要するに。でもいいのよ。それでべつに。そういうの私とくに嫌いなわけじゃないもの。私、二流のマッチ棒よりは一流のマッチ箱の方が好きよ。」村上春樹「ノルウェイの森」より5/27

 

「ロシアよ、おまえはそもどこへ飛んで行くのか?答えてくれ。だが答えはない。鈴の音は絶妙の響きをふりまき、かき乱された空気は轟々と鳴って嵐を呼ぶ。地上のあらゆるものを尻目に疾走するその雄姿に、他の国民や国家は思わず道を譲って脇のほうからながし目でこれを見やるばかりで。」ゴーゴリ「死せる魂」中村融訳5/28

 

「あのね、セックス・シーンになるとね、まわりの人がみんなゴクンって唾を呑みこむ音が聞こえるの」と緑は言った。「そのゴクンっていう音が大好きなの、私。とても可愛くって」村上春樹「ノルウェイの森」より5/29

 

絶不調の大谷が珍しくホームランを連発しても、投壊で5連敗を喫し、絶好調の首位アストロズに3・5ゲーム差をつけられてしまったエンゼルス。大丈夫かいな?5/30

 

自公維新国民が大同団結した「令和大政翼賛会」の遣りたい放題に任せておいたら、国が滅びて、その死にかけの駄賃に、おめえさんも亡き者になるッちゅうことが、まだ分からねえのかよ。5/31

 

   地球より重かったはずの人命も円安により15億円 蝶人

 

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なにゆえに第99回~西暦2022年皐月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2022-06-02 12:49:48 | Weblog

ある晴れた日に 第683回

 

なにゆえに今日行進をしないのかメーデーは5月1日なるぞ

 

なにゆえに岸田はそこそこ支持される安倍と菅が酷過ぎたから

 

なにゆえに大木家に日の丸が出ている本日は憲法記念日

 

なにゆえに角野は降りた小曽根にガーシュウィンを弾かせるために

 

なにゆえに歌舞音曲に出づらくなった頻尿頻尿股頻尿

 

なにゆえに戦は続く止める理由が双方にない

 

なにゆえに奥村晃作の短歌は素敵なの「取り付く島」がいつもあるから

 

なにゆえにトリストラム・シャンディが出てこない書斎のどこかにあるはずなのに

 

なにゆえにエンゼルスはぐあんばったアストロズが猛追してる

 

なにゆえにUrological Clinicなんてトボケるの泌尿器科だとちと恥ずかしい

 

なにゆえに「トリトン晴のオーケストラ」は刺激的指揮者なしの「第9」だから

 

なにゆえに大谷の好投に応えない打つべき時に打てない打線

 

なにゆえに映画「ボストン市庁舎」を諦めた頻尿にはキツイぜ4時間半

 

なにゆえに妻は夜中に何度も起きる雨からメダカを守るために

 

なにゆえに組織の中では物が言えない組織すなわち政治体制

 

なにゆえに我らは神を思う余りに我らが愚かなので

 

なにゆえに維新国民連合と戦わない無能で無力の立憲インポ党

 

なにゆえに「1日1番」としか答えないそんな阿呆莫迦力士ばかりだ

 

なにゆえにニュースをAIが読みあげる気持ちが悪いすぐやめてけれ

 

なにゆえにあの手この手で押しつけるマイナカードは奴隷の手札

 

なにゆえにカンヌに出張ってチャプリンを語る余計な御世話だゼレンスキー

 

なにゆえに突如筒香が打ち出す昨日「大リーグなんかやめろ」と言うたから?

 

なにゆえにバイデンEUべったりになる主体性ゼロの国ニッポン

 

なにゆえに台湾有事に加担するそれでは日本が巻き込まれるではないか

 

なにゆえに軍事費なんかを増加する全部削って福祉に回せ

 

なにゆえに保険証をマイナに切り替える保険証があればマイナは要らない

 

なにゆえにウクライナ支援に血道を上げるミャンマー、香港を視野に入れずに

 

なにゆえに人は毎日じたばたするのか死ぬべき己を見たくないから

 

なにゆえにユニクロのパンツはすぐ緩む値段はそこそこ安いのだけれど

 

なにゆえにスワローズを応援するヤクルトなんか飲んだことないのに

 

なにゆえに「ロシアは負ける」とほざいてる東部ウクライナは全滅寸前

 

   頻尿の度がますます進むので歌舞音曲の2時間に堪えず 蝶人

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西暦2022年皐月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2022-06-01 15:32:12 | Weblog

 

 

ある晴れた日に 第682回

 

海老蔵はいつ団十郎になれるだろう芸も人も下がる一方

 

75の妻が湧かせる菖蒲湯に55歳の障害児が入る

 

安倍菅があまりにも酷かったので相対的に岸田の受けが良くなったのさ

 

バリケード取り払われしあの日よりわが人世に青空の日なし

 

空爆で激しく燃えるウクライナこれからは地下シェルターの家

 

信号で停車する都度エンジンを律儀に止めるバス運転手

 

「ちょっと来い、ちょっと来い」と呼ぶコジュケイ君の方こそこっちへ来いよ

 

「芥川賞」の怨みつらみを「紫綬褒章」で一挙に晴らす島田雅彦 

 

大谷と鈴木と筒香みな4番なれど全員無安打なりき

 

真夜中の1時に家を出て朝5時からの放送に備えるアナウンサー

 

若き日のプーチンに似た兵隊が女も子供もみなみなどんどん殺す

 

耕君がどんどん早起きになるせいで1日がとても長くなるのよ

 

悪辣で非道な北条一族は源家、御家人皆々滅ぼす

 

頼朝が人殺すさまを見聞きした北条一族遮二無二殺す

 

その罪を憎みて人は憎むなと孔子はいえど例外もある 

 

プーチンが人の命をもてあそぶマリウポリ線鉄所の女や子供の

 

騎手などはとっくの昔にいないのに天皇賞シルヴァーソニックの激走

 

トカトントン トカトカトントン トカトントン 朝から晩まで トカトントン

 

我が民を救うと称してとつ国を攻めるは戦の常套手段

 

「オシッコを取って来なさい」と言われます泌尿器科に来た全員が

 

「がい」と書き「碍」と書いても同じこと障ぐあい児者の障害変わらず

 

若葉色花緑青に松葉色に碧を率いて5月は旅する

 

言葉から詩を立ち上げるのは間違いで心の奥から立ち上がるもの

 

自らは血を汚さない戦ゆえ尤もらしく云々している

 

「こころ旅」を見る度に気になることは小野正平より5人のスタッフ

 

短歌なんて演歌みたいで詠みたくないと言う谷川俊太郎にも一理はあるね

 

「諸君、テッテ的に語り合おうじゃないか!」と言うた松田世紀夫懐かし

 

欧米の洗練されたミサイルでロシア軍を押し戻すウクライナ軍

 

プーチンなんか撃たれればいいと怨んでるマウリポリ線鉄所から出たおばさん

 

もし今度家を新築するならば地下シェルター付きのがいいな

 

ものみなが遠ざかりつつ皐月尽

 

  大谷の本塁打も捕られて6連敗首位とは5差の哀れな天使 蝶人

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