Signing Off / UB40 (1980)
ブリティッシュ・レゲエバンドUB40のファースト・アルバム。バンド名の由来はジャケットにもあるイギリスの失業者給付金申請書の名前から名付けられたそう。パンクの嵐が過ぎ、ニューウェーブ期の真っただ中に発表されたこの作品は、当時のイギリスの社会状況を反映していて、失業者であふれ、行き場の無かった若者の心情をパンクとは違った音楽スタイルで表現している。また、イギリスは移民問題を抱えており、特に中央アメリカやアジアから流入した黒人低所得者が社会的な問題にもなっていたので、同時にそういった地域の音楽も流入し、影響を与える事となった。このバンドも白人と黒人の混成バンドで、このアルバムの曲もかなりシリアスな題材を扱っている。
自分が彼らの音楽を初めて聴いたのはまだ学生の頃で、パンク、ニューウェーヴ、ネオ・スカという流れからだったと思う。アメリカに居た時にスーパーでカセットのベスト盤を買ったのが最初だったかな。そしてその後、このアルバムと同じデザインのスリーブに入ったシングルを買ったが、どの曲のカップリングだったかは思い出せない(棚のどこかにしまってあるはずだが…)。ただそのベスト盤にも入っていた打ち込みのドラムも多用するポップ路線の彼らには興味が持てず、全く聴かなくなってしまっていた。プリテンダーズ(Pretenders)のクリッシー・ハインド(Chrissie Hynde)とのデュエット・カヴァー「I Got You Babe」は良かったけど。そういえばこのアルバム・ジャケットにプリテンダーズとのツアーについての記述があった。デビュー当初から親交があったんだな。
このファーストは音楽的にはストレートでアナログなレゲエで、とても新人バンドとは思えない落ち着きのある演奏と、イギリスの若者ならではの鋭いメッセージが感じられる素晴しい出来だ。これはなんでもっと若い頃に買わなかったかなぁ…。ここまで完成度が高いとは思っていなかった。でもずっとこの路線でいったら音楽的には評価が高かっただろうが、後の成功はなかったかもしれないな。
そういえば成功していたかに見える彼らだが、何年か前にニュースでメンバーが次々と破産宣告をして話題になった。運営レーベルの営業不振からだそうだが意外な話でびっくりした覚えがある。
中古店にて購入(¥105)
- CD (1993/9/17)
- Disc: 1
- Format: CD, Import
- Label: Virgin Records Us