I Can See For Miles (MOJO Magazine) / Various Artists (2009)
このブログでは何度も紹介している英音楽誌の付録CD。当時、本当は定期購読したかったのだが、近くにタワレコも無く諦めていた。時々見付けてはCD単体、あるいは中古雑誌と一緒に購入している。今回購入したのはMOJO Magazineの2009年4月号付録。「I Can See For Miles」と名付けられたアメリカン・サイケデリックのコンピレーション盤。副題は”Lost Tracks From America's Psychedelic Underground”。タイトルはザ・フー(The Who)の名曲から(きっと)。当時からドラッグを連想させると言われていた曲だ。ジャケット・デザインは13th Floor Elevatorsが1966年に発表した「The Psychedelic Sounds of the 13th Floor Elevators」から(ジャケ写真下)。自分はついこの間このアルバムを購入したばかりだ。
このコンピに収録されている曲とアーティストは以下の通り。
01 First Crew To The Moon - The Sun Lights Up The Shadows Of Your Mind
02 The Mystery Trend - Johnny Was A Good Boy
03 Terry Manning - Guess Things Happen That Way
04 13th Floor Elevators - (I’ve Got) Levitation
05 The Red Crayola - Hurricane Fighter Plane
06 The Bubble Puppy - Days Of Our Time
07 The Balloon Farm - A Question Of Temperature
08 The Music Machine - The People In Me
09 The Chocolate Watch Band - Are You Gonna Be There (At The Love-In)
10 The Ashes - Let’s Take Our Love
11 Lost And Found - Don’t Fall Down
12 The Free Spirits - I’m Gonna Be Free
13 Golden Dawn - Starvation
14 Endle St. Cloud - Come Through
15 13th Floor Elevators - You Don’t Know (Live At The Avalon Ballroom, SF)
13th Floor ElevatorsとThe Red Crayolaは知っているが、あとは知らないバンドばかり。もちろん副題の如くアンダーグラウンドなアーティストばかりだからこうなるのは仕方がない。聴いてみるとチープな香りがプンプン。でもそれが楽しかったりする。サイケな雰囲気は抜群。きっと大して売れていない曲ばかりなんじゃないかな(未確認)。
アメリカのサイケ・ガレージ・バンドといったらレニー・ケイ(Lenny Kaye)が編纂し1972年にエレクトラから発売された「Nuggets」(写真下左)を抜きには語れない。イギリスのバンドばかり注目されていて、アメリカのバンドは完全に埋もれていた状況に一石を投じた功績は計り知れないし、このアルバム以降様々な形でアメリカのガレージ・バンドも発掘、注目され、それが70年代中期以降のニューヨーク・パンクのムーヴメントにも繋がっていく。MOJO誌自身も過去にイギリスのアーティストを対象とした同趣向の4枚組のボックスCD「Acid Drops, Spacedust & Flying Saucers」(2001)を発売していて(写真下右)、そちらには有名バンドも収録されていたが、秀逸な内容だった。
なのでこのCDはアメリカのアーティストを対象としたMOJO版「Nuggets」と言っていいだろう。この雑誌の凄いところはこんなディープな内容のコンピ盤を毎月のように付録として付けるところ。もちろん有能なブレーンや知識の蓄積がないと無理だし、あったところで(販促の面はあるにしろ)版権の壁を越えなければいけない。いったいどうしてそんなことが可能だったんだろう。
オークションにて購入(¥450)