ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

錦秋御園座歌舞伎 「鐘ヶ岬」「歌舞伎のみかた」「連獅子」@名古屋・御園座

2020年10月13日 | 歌舞伎・文楽

錦秋御園座歌舞伎 「鐘ヶ岬」「歌舞伎のみかた」「連獅子」(10月10日・御園座)

約1年振りになる歌舞伎鑑賞。やっと興行が再開されて御園座では最初の歌舞伎になるのかな。夜の部だったが、今回は初めて高齢の母と一緒に行くのですぐ近くのホテルの部屋も取っておいた。母も最近あまり距離を歩けなくなってきたので、疲れたらすぐに戻って休める部屋があるとこちらも安心。当たり前だが自分は市内で宿泊するなんて初めてかな。歌舞伎が終わったら存分に呑みに行けるからいいや(笑)。チェックインして御園座まで歩く。この日は台風直撃の予報で心配したが雨も止んだし風も全くなく、無事に観られることに。演目は短めで幕間も1回しかないけれど、お約束なので隣接する「御園小町」で軽食と酒の小瓶も入手。2人で御園座へ。

御園座は2階席もゆったりとしているのでそれでも良かったが、高齢の母と出掛ける機会もそうないだろうと1階席(写真下)を入手。発売から随分経ってから入手したにも関わらず席は随分と残っていた様子だった。コロナ禍で客席は半分に間引いてあるし、そもそも業績の良くないらしい御園座だからなかなか大変だろうナ…。入口では更に住所・氏名・電話番号を記入させられ、検温して入場。

一幕目の「鐘ヶ岬」は菊之助の1人舞踊。音羽屋といえば有名な演目「京鹿子娘道成寺」があるが、この娘道成寺を地唄(上方を中心とした三味線音楽)にしたのが「鐘ヶ岬」なのだそうだ。極力出演者が少ない形での上演を意識しているのかもしれない。すっぽんから登場した清姫は、艶やかな中にも随所で幼さを感じさせる舞をみせる。二幕目は尾上右近による歌舞伎解説。歌舞伎の舞台や音楽、それにまつわる事柄を優しく丁寧に説明していく。今までにも同趣向の催しを見たことがあるが、こういうのは何度見ても楽しいもの。こういうのをもっと若いうちに見ていたら、きっともっと歌舞伎を見る機会が増えていたはずだ。短い幕間を挟んでの三幕目は「連獅子」。能舞台を模した松羽目の舞台で演じられる。菊之助が親獅子の精、萬太郎が仔獅子の精。途中滑稽な修行僧のやりとりを挟んで、2人がこれぞ歌舞伎といった豪快な”毛振り”を見せる。母は仔獅子として端正な舞を見せていた萬太郎がいたく気に入ったようだ(笑)。

こうして観劇を終えると舞踏中心という事もあり、菊之助のあの口跡を味わう機会が無かったし、公演時間が幕間を挟んでも2時間と個人的にはやや物足りなさが残る。それでもこうして公演の実績を積み重ねていくことはこれからの為にも重要だろうし、裏方を含めた継承すべき文化を途切れさせてはいけないので、ここは演じる側も観る側も模索しながらしばし我慢というところだろうナ。それでもやっと歌舞伎を観ることが出来て嬉しかったし、母も久しぶりに劇場に足を運んでそれなりに楽しんだようだ。という訳で、芝居がはねた後はハレの気分のまま老母を明治創業の酒場へ連れ出すことに。

 


 

一、鐘ヶ岬(かねがみさき)

  清姫     尾上 菊之助

 

二、解説 歌舞伎のみかた

  尾上 右近

 

三、河竹黙阿弥作  連獅子(れんじし)

  狂言師右近後に親獅子の精     尾上 菊之助
  狂言師左近後に仔獅子の精     中村 萬太郎

  法華の僧蓮念     尾上 菊次
  浄土の僧遍念     尾上 右近

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