Pretty Vacant (MOJO Magazine) / Various Artists (2016)
英音楽誌「MOJO」の2015年12月号の付録CDは、副題が”Mojo Presents 15 Pre-Punk Nuggets”とある通り、パンク・ロックの祖ともいうべきバンドの貴重音源を集めたコンピレーション。タイトルはもちろんピストルズ(Sex Pistols)の名曲から。どうしてジャケ写真が若き日のシド(Sid Vicious)なのかは分からないが、70年代後半にシーンを席巻したパンクの連中が聴いていただろうバンドという位置づけでの抜擢だろうか。収録曲は以下の通り。
01 The Dictators - Master Race Rock
02 Flamin' Groovies - Slow Death
03 Mick Farren & The New Wave - Lost Johnny
04 The Count Bishops - I Need You
05 The 101'ers - Keys To Your Heart
06 New York Dolls - Who Are The Mystery Girls?
07 Pink Fairies - Do It
08 MC5 - Sister Anne
09 The Stooges - Cock In My Pocket
10 The Hollywood Brats - Sick On You
11 Hawkwind - Motorhead
12 Sonic's Rendezvous Band - Electrophonic Tonic
13 Death - Politicians In My Eyes
14 Electric Eels - Agitated
15 Crushed Butler - It's My Life
有名無名取り交ぜてあるが、この面子を見てピンと来る人はパンクの歴史に詳しいはず。70年代のオリジナル・パンク・ロッカーが強い影響を受けた英米のハード・ロックやグラム・ロック、パブ・ロック・バンドに加えて、彼らがバンドに合流する前に在籍していたバンドやなども含まれている。自分はまだ学生の頃、クラッシュ(The Clash)のジョー・ストラマー(Joe Strummer)が在籍していた05のChiswickから出ていたこの曲の中古シングルを結構な値段で購入したっけ。今ではあの頃が信じられないくらいレアな音源が簡単に安く手に入るんだもんなァ…(←ちょっと悔しい)。
どのバンドも性急なビートで歌、演奏共に荒っぽいが、この衝動に任せた粗雑さが後のパンクの原動力になっていく。パンクの歴史で重要なのは”ロックンロール・リヴァイヴァル”という側面もあったということ。こうして聴いていると音楽的にもパンクはある日突然沸いて出た訳ではなく、ちゃんと順序立てて進化(退化?・笑)していったことが分かる。
オークションにて購入(¥450)