ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Mad Dogs & Englishmen (Deluxe Edition) / Joe Cocker

2021年01月20日 | クラシック・ロック

Mad Dogs & Englishmen (Deluxe Edition) / Joe Cocker (2005)

1970年に2枚組で発売されたジョー・コッカー(Joe Cocker)の「Mad Dogs & Englishmen」。レオン・ラッセル(Leon Russell)がバンマスとなり、様々なアーティストが集合したパート・タイムのビッグ・バンドで、いわゆる”スワンプ”・ロックが好きな人には堪らないアーティストが揃った豪華なライヴ・アルバム(一部スタジオ録音)。こちらは2005年に発売されたデラックス・エディション2枚組で、オリジナル・アルバムを拡大し、曲順も変え、実際のコンサートの曲順を意識して再編集されたそう。リハーサル音源やスタジオ音源もボーナス・トラックとして4曲収録されている。80年代にCD化されたものは所有しているし、音源だけならこちらも所有していたが、安価だったので改めてフィジカルで購入してみた。

実際のツアー映像を記録した映画もあって、それは旧版DVDを買って観たけれど、解像度が悪い上にダラダラとした編集で今ひとつの印象しかない。それでもその時観たステージいっぱいに大人数が並んで演奏を繰り広げる光景を想像して、頭の中でコンサートを再構築して聴いてみる。最初はストーンズ(The Rolling Stones)の「Honky Tonk Women」。そのほかロックやソウルの名曲がこのバンドらしい賑やかなアレンジで料理されていき、ぴたりとハマっている。やはり何はなくともジョー・コッカーの熱唱に尽きる。映像で見ると本当にむさくるしいが(笑)、ややかすれた歌声を血管が切れそうになるくらい振り絞って歌う様がありありと頭に浮かんだ。リタ・クーリッジ(Rita Coolidge)やクラウディア・リニア(Claudia Lanier)らの歌やコーラスも挟んでバラエティに富んでいて、コッカーの歌を引き立てていて、”ごった煮”の旨さ(上手さ)が味わえる。もちろんこれをまとめ上げたレオン・ラッセルの手腕と才能あってのもの。

そもそもがジョー・コッカーを推す企画物だったこのバンドの成立には、デラニー&ボニー(Delaney and Bonnie)からの色々な経緯(つまり引き抜きによる急造寄せ集めバンド)があり、当時の評判はあまりよくなかったようだが、このロックとソウルの有機的で幸せな融合(ロックはよりソウルフルに、ソウルはよりロックっぽく)というスタイルが年月を経てより価値を増しているように思える。自分の好きなテデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)なんてもろにこの路線だもんなァ。「Space Captain」なんて彼らがカヴァーするようになってからより好きになった。しばしば”かさ増し”で冗漫になって自己評価が下がるデラックス・エディションには珍しいが、自分のこの系統の音楽への感心や収集が深まったせいか、初めてCDを買って聴いた頃よりもより楽しめた。

amazonにて購入(¥1,215)

  • Label : A&M
  • ASIN : B000B8I896
  • Disc : 2
コメント (2)
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