正式に7月末に営業を終え閉鎖されることになった三重県桑名駅前の商業ビル「桑栄メイト」。秋には解体され、ホテルビルが建つのだとか。桑栄メイトに残る飲食店等は全て営業を終えることになるが、ご高齢の方がやっていらっしゃる店も多く、廃業の道を選ぶ店も多い。桑名市民に親しまれたビルだけあって名残りを惜しむ客が日に日に増えている。中でも中部圏に唯一残る日本最古のハンバーガー・チェーン店「ドムドムハンバーガー」と餃子の「新味覚」は大行列。ある日曜に覗いてみたら終止行列が続き、「ドムドムバーガー」に至っては結局昼過ぎ早々にシャッターが下りてしまっていた。
自分の目当ては2軒の麺類食堂。片や「桔梗屋」も終止行列があり、並ぶのが好きでない自分はもう1軒の店「一力亭」に入ることに。こちら創業は明治8年(1875)と古い。元々からこの桑名駅前で商売していたのだとか。暖簾をくぐると外の喧騒とは変わってテーブル席には先客が4組程の落ち着いた雰囲気。調理場には男性が2人、給仕は年配女性が1人。親子だと思うがどうだろうか。腰掛けて卓上の品書きを眺める。とはいってもこちらに入る前から決め打ちだった「きしめん定食」を注文した。
東海圏でもある三重県北勢地方の麺類食堂には「みそかつ」や「きしめん」があるのは普通。特に名古屋の人はあまり周辺の食文化に頓着する人は多くない気がするが、大まかに言って東海地方は同系統の食文化圏にある。高低差の分かる地図を見るとよく理解できるが、キーワードはつまり”濃尾平野”だろう(と勝手に思っている)。
それはさておき、しばらくして「きしめん定食」が盆にのって登場。こちらの「きしめん定食」は、先頃惜しくも閉店してしまった大垣市の「鶴丸」や、岐阜市の「武蔵野本店」のようにだるま(あるいは提灯)型の容器に収まっている。こちらに絵柄は無く「鶴丸」と同様の提灯タイプ。容器は3段に分かれていて、蓋を取るとご飯とおかず、その下の段にはきしめんが入っている楽しい仕掛け。まずはきしめんを手繰っていく。水面には菜っ葉、かまぼこ、刻んだ揚げ、そして花鰹という定番の内容。刻みネギは別皿に盛られている。つゆの色は淡く、麺の食感は軟らかめ。こちら”手打ち”と称しているがきしめんもそうなのかな。ご飯の段には玉子焼きが2切れ、山菜、漬物、そして缶詰のみかんが盛られている。玉子焼きは甘めの味付け。これらをパクパクやりながら、ズズッときしめんを啜りつゆを飲む。内容は他店の定食と大して変わらないのに、この容器に入っているだけでなんだか楽しい。店は8km程西に新築移転するそうなので、次は新店で。(勘定は¥890)
※移転されました
↓ 「桑栄メイト(正式名称:桑栄ビル)」(昭和48年・1973・建造)◇。桑名駅の駅ビルも新築が終わり解体が決定。もうこれが見納めになるかな。(前回の訪問記事はこちら)
めん処 一力亭
三重県桑名市桑栄町2 桑栄メイト2F
( 三重 みえ 桑名 くわな いちりきてい 一力亭メイト店 麺類食堂 うどん そば 蕎麦 きしめん 中華そば ラーメン 老舗 そうえいメイト そうえいビル 閉店 廃業 )
この記事みてから気になってしかたありません。
桑名は縁がないのでわざわざ出かけなくてはなりません。
餃子食べたいです。
どの店も7月末で終わるのかは分かりませんが、(休日は)かなり行列があるので、もし行かれるのならお気をつけあれ。「新味覚」はいっそのこと本店のある四日市という手もありますよ。と言いつつもゲンゴロウさんはこのビル自体にグッとくると思いますけど(と煽ってみる・笑)。
ところでゲンゴロウさん、我々の岐阜「円相カド」の記事が今をときめく御大イナダシュンスケ氏のツイッターで取り上げられていてびっくりしましたね! 私はいつもこの方の明晰さと知識の深さに感心しながら覗いているツイッターだったので、そこに自分のブログの名前を見つけて転げ落ちそうになりました…(笑)。
ツィッターやらないし、イナダさんも知りませんが、理由がわかり安心しました。
えー!? スゴイッ!
私もツイッターは読む専門ですが、ああいう方の影響力って凄いもんなんですねー。
イナダ氏プロフィール(PRESIDENT Onlineより)
関東・東海圏を中心に和食店、ビストロ、インド料理など幅広いジャンルの飲食店25店舗(海外はベトナムにも出店)を経営する円相フードサービス専務。メニュー監修やレシピ開発を中心に、業態開発や店舗プロデュースを手掛ける。イナダシュンスケ名義で記事をグルメニュースに執筆することも。
著書:「人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本」「南インド料理店総料理長が教える だいたい15分!本格インドカレー」