ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

S. F. Sorrow / The Pretty Things

2021年10月31日 | クラシック・ロック

S. F. Sorrow / The Pretty Things (1968)

ブリティッシュ・ビート・グループのひとつプリティ・シングス(The Pretty Things)。ストーンズ(The Rolling Stones)やビートルズ(The Beatles)と比べると知名度は低いが、重要なバンドのひとつ。何を隠そうメンバーのディック・テイラー(Dick Taylor)はストーンズの前身バンドのメンバーだったし、初期のヒット曲はデイヴィッド・ボウイ(David Bowie)もカヴァーしている。そんなプリティ・シングスだが、60年代半ばも過ぎるとだんだん音楽スタイルに変化が出て、この1968年発売の4枚目のアルバム「S. F. Sorrow」ではロック初とも称される”ロック・オペラ”を展開している。ロック・オペラと言えば1969年に発表されたザ・フー(The Who)の「Tommy」が最も有名だろう。発表時期はザ・フーよりも早かったのにプロモーションの不備で後塵を拝したような形になったことで、”二番煎じ”だの”コピー”だの、云われなきレッテルを貼られ、評論や売れ行きにも影響したのだと後年メンバーが語っていた。

アルバムのコンセプトは大まかに言って”S.F.ソロウ”という名の登場人物の孤独な生涯を追ったもの。何でも歌によってストーリーを語らせるのではないらしい。「トミー」でもそうだったがロック・オペラって曲毎に断片的になってしまうからか、ストーリーやらコンセプトやらを理解するのはとても難しい。「トミー」は映画を見たってそんな感じだった。故に英語にネイティヴな人でも好きでないという人は(評論家を含めて)意外と多い。でも自分のように音楽として好きなら問題ない。ビート・グループの彼らしか知らないと別バンドと勘違いしそうな複雑な展開を見せる曲、繊細な曲が並ぶ。音からもビートルズの中期~Sgt. Peppers期を連想させ、かなり大きい影響を受けていたことが分かる。あまりその筋では語られない気がするが、”サイケデリック”と言ってもいいかも。調べていて初めて知ったのだが、レコーディングはあのアビー・ロード・スタジオで行われていて、隣のスタジオにはビートルズが居たなんて話も。メロトロンを使ったりしているので、ひょっとして同じ物を…? 

オークションにて購入(¥574)

  • Label ‏ : ‎ Edsel
  • ASIN ‏ : ‎ B0000245TE
  • Disc ‏ : ‎ 1

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