Hate For Sale / The Pretenders (2020)
発売されたばかりのプリテンダーズ(The Pretenders)の新譜。これの前にクリッシー(Chrissie Hynde)が出したジャズ・ヴォーカル・アルバム「Valve Bone Woe」のレヴューもまだだけれど、こちらを先に。コロナ禍で発売が遅れていたが、ロック・ダウン中もギタリストのJames Walbourneと組んでディランのカヴァーを演る動画シリーズ「Dylan Lockdown Series」(→フィジカルで発売して欲しいくらいの素晴らしい出来!)を発表したりと精力的に活動するクリッシー姉(婆)さん(何と御年69歳!)。もうジャケからして不敵な感じだが、のっけからプリテンダーズらしい疾走感のあるロックン・ロール。前述のアルバムから落ち着いた方向にでも行くのかと思っていたら、完全に初期のプリテンダーズ節が復活でファンには嬉しい出来上がりだ。
やり直しから入る冒頭の曲なんて、ファースト・アルバムの雰囲気と変わらないし、昔からのファンなら聴き覚えのあるギターの音色やフレーズ、得意のレゲエ調の曲を織り交ぜての”らしさ”満開。懐メロっぽく聴こえないのはもちろん自分のえこひいきもあるだろうが、単純に”カッコイイ”と思える快感。こういうオーソドックスなスタイルのロック・アルバムって本当に少なくなったもんなァ。アルバム全体で30分強っていう尺も〇。ブラック・キーズ(The Black Keys )のダン(Dan Auerbach)と組んだバンド名義の前作「Alone」も悪くなかったが、オリジナル・ドラマーのマーティン(Martin Chambers)が復活して、ここ近年組んだメンバーを再編といった感じの面子で演ったこちらの方に軍配が上がるんじゃないか。彼女の歌い方は正直わざとらしい節回しもあるので苦手な人も居るかもしれないが、自分はあの鋭い眼差しとドスの効いたヴォーカル、不敵な態度から、一転してスイートな歌を歌うギャップが堪らなく好き。会心作。
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- Label : Bmg Rights Managemen
- ASIN : B085RTM81M
- Disc : 1
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