Hesitation Marks / Nine Inch Nails (2013)
ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)予想通りの復活作品。もう少し後だと思っていたので思ったよりも早い復活だった。2009年に活動停止して以来の新作で、ジャケットを見ても分かるように1994年の名作「The Downward Spiral」でアートワークを担当したラッセル・ミルズ(Russell Mills)が再度アートワークを担当。トレント(Trent Reznor)曰く、「不穏なもの」の表現との事。彼の過去の音楽やアートワークから不穏なものを感じない人はいないと思うが(笑)、改めてやる気になってんだなと感心。
アルバム発売よりも先に来日公演(フジ・ロック・フェスティバル)が実現した事もあるし、またもやのアルバム発売前全曲視聴(ダウンロード)可や、大盤振る舞いでライヴのプロショット映像を公開しまくっているので、新鮮味というかドキドキ感は薄れたが、やはり聴きだすと止まらないNIN世界。齢を重ねたトレントがどんな音世界を作り出すのか興味津々だっただけに、今のところヘビー・ローテーション出来ているので、自分としてはしっくりきている証拠。なんでこんなまわりくどい言い方かというと、正直このところの彼の作品はピンと来ていなくて(もちろん全部購入してはいるんだが)「Ghosts」、映画音楽や奥方とのユニットなんかはヴォリュームこそあれど、全然楽しめていない。もちろんそういった音楽的要素は彼にとって重要だが、自分としてはあくまでもフィジカルな音楽があって楽しめる類のものなので、そればっかりだとやはり面白くない。「The Girl With The Dragon Tattoo」なんて3枚組だけれど通して2回位しか聴いていない(笑)。それでもそういった作品を商業ベースで成功させてしまうのはさすがだとは思うが。
ナイン・インチ・ネイルズはグループだと思っている人が多いようだが、完全にトレント・レズナー個人の創造物で、このアルバムでも今までと同様の製作過程であれば、付き合いの長いロビン・フィンク(Robin Finck)は別として、コロコロ変わるバック・メンバーが根幹のクリエイティヴ部分に深く関与はしていないはずだ。むしろプロデューサー陣が深く関わるのが彼のやり方だ。
シンプルな打ち込みを多用しているのでファースト・アルバムを彷彿とさせる、なんて評があったが、あれは80年代のエレクトリック・ポップに大きく影響を受けていたインダストリアル・ミュージック初期の音像であるだけに意図的な物ではなかったのでは。むしろ今回のアルバムは音数を極力絞って、わざとそうした音像を作りだしているので、へヴィーなディストーション・サウンドに頼らないで「不穏」な音を作りだそうと試みたのだろう。フジロックには参戦出来なかったが、単独での来日をぜひ実現してもらって、「copy of a」から始まる今回のあの秀逸なステージ・セットを体感してみたい。
ちなみに様々なフォーマットで発売されているが、すべてジャケが違い、自分の購入したこの2枚組は2枚目に、
find my way (oneohtrix point never mix)
all time low (todd rundgren remix)
while i'm still here (breyer p-orridge'howler'remix)
が収録されている。
amazonにて購入(¥1,878)
- CD (2013/9/3)
- Disc: 2
- Format: Import
- Label: Sony