Panic Attack / ユニコーン (1988)
ユニコーンの1988年発表のセカンド・アルバム。ユニコーンが凡百のバンドと違う才能と面白さを表し始め、奥田民生のヴォーカルがひと味違う事を認識させるに至った記念碑的なアルバム。このアルバムから音楽的キーマンではないかと思う(まだ正式メンバーではなかったが)阿部義晴と笹路正徳が参加して、当時のバンド・ブームのうちのひとつのバンドから大きく飛躍した、というか違う道を歩み始めたと言っていい。
実はこのアルバムはリアル・タイムで聴いていない。当時のバンド・ブームは面白いムーブメントだとは思っていたが、渦中のバンドのほとんどは見た目と奇抜さから入っているバンドでちょっと冷やかな視点で見ていた。少し上の世代の音楽(YMOとかRCとかフリクションとか)を聴いていた世代なのでとてもアルバムを買うまでには至らず…。このあとで好きになります。
久々に聴いてみたこのアルバム。もちろんメンバーが若いし、デビューしてまだ2年位なので現在の老成した(笑)バンドと比べても意味はないが、彼らの本質というのはすでにほぼ完成していると思う。1や3で見せる奥田らしいヴォーカル、8はまさにユニコーンならではの世界。アルバム全体の完成度はまだまだだと思うがどこを切っても面白い。
自分が思うユニコーンの特長は歌詞でいうと「視点の面白さ」、音楽でいうと「混成感」。様々なストーリーを思い浮かばせる主人公(1人じゃない)はだらしのない市井の人だったり、恋に悩む若者だったり、(まだはっきりとは出てこないが)普通の会社員だったりするが、どれもなるほどと思う位まるっきりの本音を吐露しているのに、それまでにはなかった視点からの歌詞だし、音楽は80年代のロック・ポップスからの影響(特に音作り)はもちろんだけれど、ハードな音からアコースティックな音まで他のバンドと比べて振り幅が大きい。ここのあたりはプロデューサー(笹路氏)の影響じゃないかと思うのだが違うかな。
ブックオフにて購入(¥200)