◆書籍紹介
・書籍名:基本の知恵 これだけは
・発行所:誠文堂新光社
・著者:「囲碁」編集部
・発売日:2008年1月31日
■内容紹介
囲碁は、単なるゲームの域を超えた奥深い「楽しみ」に満ちたものです。本書では、棋力向上につながる棋士の提言、そして古人・古中国の知恵を紹介します。
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書店に行くとまずは「囲碁」のコーナーに向かいます。いろいろ手に取って吟味しますが、本書は棋譜がまったく無いところが気に入りました。(?)
「第1章・棋士の提言」は75年~78年頃に「月刊・囲碁」誌上に連載された上達へのアドバイスを集約したもので、50人ほどの棋士の意見が載ってています。
内容的には常々、言い尽くされた助言が多く、あまり新鮮味は感じられない印象でした。
その中で心に残った一文を紹介します。
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「碁との一体感 増淵辰子」
負けるのがいやだから打たない、という人がいます。ですがそれでは碁の楽しみを自分から遠ざけ、才能の開発を自分から締め出すことになってしまうでしょう。勝敗にこだわらず、もっとリラックスして碁と向かい合ったらいかがでしょうか。
碁を勝負の面からだけ見ないで、真理を追究するというような気持で打たれた方が、かえって上達につながり、勝敗面でも好結果が現れるようです。
あの人に勝ちたいとか、早く初段になりたいとか、あまり身近かに決勝点を置きますと、こだわりが生じ、小さく固まってしまう恐れがあります。むしろ、碁を通じて自分を見詰め、その過程で碁との一体感を養っていく方が、大きく成長するための土壌を作ることになるのではないでしょうか。自分自身と碁を打つ姿勢を持ってほしいと思います。
増淵辰子(1904~1993)
東京都出身、本因坊秀哉門下。21年入段、53年引退して五段。
女流碁界の発展に尽力し、のち七段を贈られた。坂田栄男をはじめとし、門下多数