こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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こんなところだろう・・・鎌倉世界文化遺産「不登録」

2013年05月01日 | 鎌倉暮らし
富士山が世界文化遺産に登録されることになった。ゴミ問題を乗り越えての登録とてもうれしい。この先も、永遠なる富士として、噴火を起こすことなく、日本人の心の象徴であって欲しい。

一方で、私の住む鎌倉は「不登録」となった。

納得のいく結果だ。今の鎌倉なんて、こんなものだろう、と思う。

奇しくも一昨日の記事のコメントに書いたのだけど、鎌倉の関係者には鎌倉を守ろうという意識がどれほどあるのかと首をかしげたくなる人が多すぎる。
とくに、市長、市議会、市役所そしてJR東日本。
歴代の市長は鎌倉の乱開発を阻止できないままで、今や鎌倉の山々は手つかずの自然というよりは、これから開発を待つばかりの山林にしか過ぎない。
大規模マンションの建設ラッシュも相変わらず。
つい、先日市議会議員選挙があったけど、鎌倉の環境保全に真剣に取り組んでいるような候補者がどれほどいただろうか。選挙公報を読んでも通りいっぺんのことばかり。新聞取材に「朝、駅で立っていることで、熱心にみられることが何より大事」と答えているわれわれ有権者を馬鹿にしている候補者もいたようだ。
市役所にしても、穴ぼこだらけで、歩行者がいつひかれてもおかしくないような道路を放置しているのをみれば、一事が万事同じようなものなのは想像に難くない。
JR東日本にしても駅の改修は行っているものの、出口は相変わらず一つで、いったい混雑緩和の意志はあるのかと思う。



ICOMOS(International Council on Monuments and Sites)の人でなくても、こんな街が世界遺産にふさわしいとは全く思わない。
武家の古都といっても、住民にその意識が無ければ全く意味がない。
武家の文化と言うものが住んでいるものにどれほどあるのかと思う。そういう、武家の文化の香る街であれば、誰もが世界遺産であるにふさわしいと思うだろう。
だが、住んでいるものの意識は低い。

駅前のたたずまいは、決して美しいとはいえない。皇居の回りのように看板類を撤去する位の覚悟はないのだろうか。
駅の周囲は禁煙といっているのに、朝晩の通勤時には必ず誰かしらタバコを吸っている。千代田区など都心の区政を見習う頭は無いのだろうかと、いつも疑問に思う。
民度の低い街に世界遺産の称号は似合わない。結局のところ、だれも世界遺産になることなど願ってなどいないのだろうと思う。

私は、鎌倉が世界遺産に登録されることで、乱開発に歯止めのかかることを願っている。
だが、世界遺産に登録されなかったことで、残念ながら鎌倉の乱開発は進む一方だろう。
代替わりで、まとまった土地は細分化され、緑豊かな邸宅街はやがて大規模マンションと、小規模の一戸建てによって置き換えられ、小説『ビブリア古書堂の事件手帖』に出てくる情景も、遠い昔のものとなってしまうに違いない。

個人的には私の税金の相当部分が緑と街並みの保護を中心とした環境保全に使われても仕方ないと考えている。

悲しいけれど、今の鎌倉を取り巻く環境はとても貧しく、寒々しい。


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富士山、世界文化遺産登録へ 鎌倉は「不登録」
朝日新聞2013年4月30日(火)23:41
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に、「富士山」(山梨、静岡両県)が登録される見通しとなった。世界遺産委員会の諮問機関が勧告した。共に登録を目指している「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)は、日本が単独で世界遺産に推薦したものでは初の「不登録」の勧告で明暗が分かれた。6月16日からカンボジアのプノンペンで開かれる世界遺産委員会で最終的に決まる。
 フランス・パリの世界遺産センターが30日(現地時間)、文化遺産候補を審査する諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)の勧告内容を日本政府に伝えた。イコモスは遺産候補について「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階で評価する。
 「富士山」はかつて、地形や生態系で評価される自然遺産での登録を目指したが、ゴミ問題の影響もあって国内で候補地を選ぶ段階で「落選」。古くから信仰の対象だったことや、葛飾北斎の浮世絵など日本独特の芸術文化を育んだとして、文化遺産に切り替えて、登録を狙った。
 イコモスは勧告に先立って、登録名称の変更や25の構成資産から三保松原を除外することを日本政府に要請。理由は明示しなかった。政府は名称を「富士山」から「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」へ変更し、三保松原の除外は拒否した。イコモスは勧告でも、三保松原を除いての登録が適当とした。
 「鎌倉」は、既に文化遺産に登録されている法隆寺や姫路城と一緒に1992年、国内の候補地リストの「暫定一覧表」に最も早く掲載されたものの一つ。鶴岡八幡宮や円覚寺など21の社寺・史跡による10資産で構成する。6月の世界遺産委員会で「不登録」と決議されると再推薦はできなくなるため、政府が推薦を取り下げる可能性もある。
 イコモスの勧告を受けて近藤誠一文化庁長官は「『富士山』が、世界遺産としてふさわしい旨の評価を受けられたことは、大変喜ばしい。『鎌倉』の評価については、大変残念。関係者で分析を行った上で、対応を検討してまいりたい」との談話を発表した。
 現在の世界遺産の総数は962件。そのうち文化遺産は745件だ。(藤井裕介)     ◇ 世界遺産 1972年、人類の宝を守ることを目的にユネスコ総会で条約が採択され、始まった。日本は92年に条約を批准。日本では、文化遺産として「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良県)など12件、自然遺産に「屋久島」(鹿児島県)など4件が登録されている。「富士山」「鎌倉」のほか「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)を文化遺産としてユネスコに推薦している。
「顕著で普遍的な価値」があるとして世界遺産に登録されると、景観や環境の保全が義務づけられ、周辺の開発も制限される。観光客が増える効果もあるが、遺産の保存への影響も指摘されている。