こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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医学用語という壁、とくに病理用語

2013年05月10日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
現在一緒に仕事をしているレジデント君。病理医である。
彼がいうのに、「病理で使う言葉って、難しいですよね。”花冠”とか、最初意味わかりませんでしたから」
というので、私も「観兵式配列、って、軍事パレードにでも見ない限りわからないよね」と答えた。

そもそも、医学用語自体が難しい。
医学教育を受けたことのない人でも胃や心臓、脳であればイメージも湧くが、胆嚢、副腎、脳下垂体とかなってくるとなんだかわからなくなる。さらに、医学部で教育を受けなければ、それらの細かい働き、とくに協調的な作業についてまではなかなかわからない。
医学教育を受けた人間と、そうでない人の間にある障壁の一つが医学用語だと思う。解剖学的な用語だけでもたくさんあるうえ、診断法や治療法などにも様々な名称がある。

そのなかでも、病理で使う用語というのは難しい。
病理医と臨床医の間の壁として存在しているように見える。

なぜ難しいのか考えてみた。
すると気がついたのは、病理で使う用語というのはすべての領域に通じる標準語のようなもので、定義があるからということ。
腫瘍とか炎症とか、そういったものには定義があって、それら定義を持った用語を組み合わせて診断を行う。だから、それらの定義を正しく知って、正しく使わないといけない。
自分で使っていて、心配になることもままある。
だから、“花冠”にしても“観兵配列”にしても形と意味を正しく知った上で使わないといけない。せめて、普段よく使う今風の言葉に置き換えていく必要があると思うのだが、難しいだろう。

ある臨床系の研究会で病理所見の解説を行ったら、質疑応答の時に、「いつも思うんだけど、こういう(病理所見の説明)時、病理の先生に難しい言葉を並べられて、わからなくなっちゃうんですが、もう少しわかりやすくなりませんかね」と言われたことがあった。

よく、専門用語ばかり並べて患者さんを煙に撒く臨床医がいるというのを一瞬思い出したが、相手は医者である。そのときは、適当に返事をしておいたが、意見を述べるのであれば、それなりに勉強しておいて欲しい。

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