私が帰宅すると、妻によくそう言われる。
とくに私の機嫌が悪そうだったり、疲れていそうだったりするときよく言われる。
そんなとき、私はきまって「別に」とか「特に」とかそっけなく言って返す。
もっとひどい時は「仕事だけ」とか「いいことなんて何もないよ」などとも言う。
それでも妻は「今日はなにかいいことあった?」と尋ねてくる。
その都度、いい加減そんなこと聞くのはやめたらいいのにと思いながら、あー、とかうんとか応えていた。
給料日だったり、何か大きな仕事を終わらせた・・・例えば、昨年専門書を出版したような時にはそのことを言って返すが、それ以外は特にない。
実際、”いいこと”なんてそうそうあるものではない。
宝くじが毎日あたり続けるわけではない。
つい先日までそう思っていた。
でも、この前、何かの拍子に、私の日々の暮らしの中には”いいこと”が溢れていることに気がついた。
・一日、事故にあうこともなく、病気にかかるでもなく、元気に過ごすことができた。
家族も皆元気だった。
コロもナイトも元気だった。
・同僚と仲違いすることなく、協力して仕事をすることができた。
・コメディカルの人と協力して仕事ができた。
お掃除の女性と挨拶を交わすことができた。
・遠くの仕事仲間とメールのやり取りをすることができた。
友人と電話で話すことができた。
・新しい出会いがあって、知り合いが一人増えた。
・朝焼けが綺麗だった。
刻々と起こる一つ一つのことが素晴らしいことで、”いいこと”だ。
そんな”いいこと”を当たり前のこと、なんでもないこととして流してはいけない。
疲れた時、今日、いいことは何があっただろう?
そうやって振り返ってみたら、一見辛そうでも実はいいことで満ち溢れている。
もしも、そんなことなかった、というのであったら、昨日のことでもいいだろう。
生きていることに感謝し、さらにそれに多くの幸せなこと、すなわち”いいこと”が付いているとやっと気がついた。
どんなにどんなに辛い時であっても、そこにはなにかいいことが必ずある。
たとえ絶望の淵にあっても、そこであきらめてはいけない。
そんな時でも助けてくれる人はいるし、助けを求めることのできる人はいる。
今日はこんなにいいことがあった