少しぐらい疲れていても、仕事に行く。休んだら、助けてくれる仲間にしわ寄せが行く。そう思うとしっかりしなくてはと思う。
そんなに自分を追い詰めたら却って体に良くないとわかっているけれど、仕方ない。
私など、まだ同僚がいるだけいい。
日本の多くの医療施設は病理医が一人しかいないところが多い。”一人病理医”だ。
代わってくれる人がいないから、休めない。なにより、すぐに相談できる病理医がいない。よほど迷う症例は知り合いの病理医に相談するだろうが、大抵は自分で解決することを迫られる。
”大丈夫だろう”と思った症例であっても、そこに見落としがないとは限らない。難しい症例だったりしたら、複数の病理医で診断しても100%の診断はない。
これまでに、どれだけ見落としがあっただろうと考えると不安になるが、数千、数万の診断症例を見直すことはいまさらできない。
AIが発達して、first screeningをおこなってくれるようになったら病理医の負担も少しは減るように思うのだけど、最初のうちはAIが間違いを起こしていないかが心配になる。結局いつまでたっても、病理医の心配は尽きない。
最善の方法は病理医を増やすことなのだけど、このさき、10年、20年、は腕のいい病理医を確保することは困難な時期が続くだろう。結局のところ、標本の向こうにいる患者さんのために前を向いて診断精度をあげることに努力するしかない。
やっつけ仕事はしない