Kobby loves 埼玉&レッズ

埼玉と浦和レッズを愛する管理者のブログです。

五木寛之「四季・布由子」

2009-11-10 18:53:18 | 雑記
このスポーツネタばかりの当ブログでは珍しい、本の記事です。五木寛之氏は、この小説の布由子ほか、四姉妹の物語を「四季・・・」のシリーズものにしているのですが、一番印象に残ったのがこの「四季・布由子」です。

主人公の布由子は、うつ病の持病を持ち、物語の最初の方では精神科の病院に入院している設定になっています。自殺企図の恐れがある理由で入院しているのですが、物語の序盤では精神を病んで苦しむ様子がリアルに描かれています。

そんなとき、あるラジオ番組に毎回のように投稿したことが彼女の人生を変えます。うまい文章でパーソナリティーの印象に留まった彼女は、ラジオにゲストで出演することになります。それが芸能プロダクションの社長の目に留まるという、奇跡が何度も起きる展開は現実にはあり得ないでしょう。

ただ、うつ病に苦しむ布由子に周りの人がかけた言葉はいくつか印象に残っています。「こういう病気にかかる人は、他の人より繊細で感受性が強いから、それを生かせたらいいね。」です。

この本が書かれた当時は、今ほどうつ病が社会問題にはなっていなかった頃です。今は会社でも休職者が出るのはどこの会社でも珍しくない話でしょうが、出し所のないストレスが次々と蓄積するリスクは誰にでも起こり得ることでしょう。

そんなとき、退院した布由子が、自分で生きていかなければならないと決意するのは、甘えも許される立場だけに心に響きます。ラジオのパーソナリティーは現実的には無理でも、人間は自分ができることを少しずつ出し合って社会を形成しているのですから、こういう病気を経験すると仕事がしたくなる気持ちはよく分かります。

またスポーツネタになってしまいますが、日本ハムの小谷野選手が打席に入る前に吐き気を訴える「パニック障害」の持病があるという話を聞きました。不安感がそういう心理状態を招くことに気づいた小谷野は、練習量を増やして少しでも不安を少なくすればいいと思い、練習で解決しました。

人は皆、何かを成し遂げたいと社会に出ていくのですから、こういう病気を抱えても、解決できる手段があるなら精一杯やろうと、なんでもない私でも思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする