サイド対中央(6/16スイス対エクアドル)

最近、スイス代表選手をセリエAで良く見るので、ベルギーと同じように旬な新興勢力だろうというのが、朝5時半に起きてこの試合のビデオを見た理由です。ナポリコンビのダブルボランチのインラー(8番)とベーラミ(11番)、ユベントスの右SBリヒトシュタイナー(2番)、バイエルンのトップ下のシャキリ(23番)がいる、スイス史上でも強力なメンバーだと思います。

スイス代表監督はドルトムントをブンデス優勝に導いた名将ヒッツフェルトで、就任して6年目と戦術も浸透しています。FIFAランキング6位でシード国になりましたが、この試合を見る限りでは課題も目につきます。

それは1トップの人材難です。ドイツのニュルンベルクでプレーするドロミッチ(18番)を起用していましたが、ボールがほとんど入らずスピード型かポストプレーヤーかもわからないほどでした。フレイ引退後、次世代を担うと思われた若手のフォンランテンやデルディヨクはどこへ行ったという思いです。

それでも、インラーとベーラミのところにはボールが収まっていました。結局この試合のゴールはセットプレーとカウンターだけという、論理で語れない試合になりましたが、押しぎみに展開したスイスが、ロスタイムのゴールで2-1と勝利したのは必然と思います。

対するエクアドルは、南米予選を4位で通過していますが、標高2600mのホーム、キトで7勝1分の成績で、アウェイでは1勝しかしていません。欧州のルールなら絶対に予選を通らないチームですが、9チーム中4位まで通過の南米のレギュレーションが生み出した奇跡です。

それでも、南米予選を通った理由もこの試合に表れていて、サイドの右MF、Aバレンシア(16番)、左MFの7番、左SBのアジョビ(10番)がよくボールに絡みます。真ん中はスイスに支配されても、サイドに拠点を作る能力は高いです。あとは速いクロスボールを入れて、カイセド(11番)とEバレンシア(13番)の2トップが一回でも決めてくれれば、それを堅守で守り切ってホームゲームを確実に勝ってきたチームなのでしょう。

キトのホームゲームは、過去にウルグアイ戦の映像を見ましたが、世界に誇るタレント軍団のウルグアイが、明らかに動きが鈍いのが映像でわかるほどでした。エクアドルが平地でも勝てるチームになれるかは、AバレンシアがマンUに行ったように、これからの課題なのでしょう。

戦術変更が奏効(6/16アルゼンチン対ボスニア後半)

昨日はアルゼンチン対ボスニアの後半を見ていました。オウンゴールで先制したアルゼンチンですが、ボスニアの守備でメッシが消された前半を見て、良くないと見た監督がガゴ(5番)とイグアイン(9番)を投入して、いつもの3トップに戻してきました。

セリエAナポリで得点ランキング上位のイグアインがベンチスタートというアルゼンチンの選手層には驚きますが、3トップになったことで、ボスニアの4バックがイグアインを見る必要が生じ、次第にメッシが空いてきました。

また、中盤の守備も強化されました。アルゼンチンはメッシが守備をしない穴を強力なボランチでカバーするチームですが、ガゴが右、真ん中にマスケラーノ(14番)、左にディマリア(7番)と並ぶ守備が安定し始め、ボスニアにカウンターを許さなくなってきました。

ボスニアの運動量が落ちて、メッシへの1対2が作り切れなくなってきたタイミングで、メッシ得意の内へ入っていくカットインのドリブルからの左足シュートが決まり、アルゼンチンは2点のセーフティーリードを得ました。

中盤を厚くしてアルゼンチンに対抗しようとしたボスニアは、やむを得ずイビセビッチを入れて攻めに出ます。ジェコとイビセビッチは二人ともポストプレーヤーで、マンチェスターC、シュツットガルトと名門チームで1トップを張ります。

この二人をどうやって機能させるかは注目でしたが、この二人はポストプレーヤーにありがちな足の遅さや運動量の少なさはない選手です。事実、1点を返したゴールもイビセビッチがDFラインの裏に走って得ました。ただ、ちょっと反撃が遅すぎた感はあり、ジェコとイビセビッチでコンビプレーを見せる場面は目立ちませんでした。

結果だけ見ればアルゼンチンの順当勝ちですが、最初のオウンゴールがなければどうなっていたかわからない試合です。アルゼンチンが最初に試した5-3-2はお蔵入りではと予想しています。