レジェンド(葛西紀明)

今年の流行語大賞に「レジェンド」がノミネートされていました。残念ながら大賞にはなりませんでしたが、スキージャンプのソチ五輪銀メダル、葛西紀明選手のことを思い出したのでネタにします。葛西は今季も団体戦銀メダル、自らが持つW杯最年長優勝記録を更新するなど好調です。

葛西は19歳で迎えたアルベールビル五輪(1992年)が初出場で、その後もリレハンメル(1994年)、長野(1998年)、ソルトレイク(2002年)、トリノ(2006年)、バンクーバー(2010年)、ソチ(2014年)と実に7大会連続出場の実績を誇ります。

ソチ五輪ラージヒルで初めて個人戦の銀メダルを得ましたが、これだけの長い間日本のトップレベルを譲らなかったのはさすがです。ジャンプはなかなか客観的な視点で良し悪しが見分けにくいスポーツですが、元ジャンプ選手の原田雅彦氏によれば、葛西は空中姿勢の良さが売り物の選手とのことです。

ジャンプは踏み切りのタイミングが重要な競技で、ノーマルヒルで最適なタイミングは100分の3秒しかないです。これが助走速度の速いラージヒルになるともっと短いでしょうから、ラージヒルが得意な葛西はそれを捕らえる技術が確かなのでしょう。

葛西はソチ五輪で、日本選手団の主将に指名されました。選手団の主将はメダルを取れないという嫌なジンクスがありましたが、葛西が破ってくれて安心しました。葛西はソチ五輪の期間中、五輪の雰囲気を楽しむことを意識していて、開会式に参加したり、上村愛子や高梨沙羅の競技を見に行ったりしていました。

今までの6回の五輪では真面目にジャンプ練習に明け暮れていましたが、その間のメダルはリレハンメルの団体戦銀メダルだけでした。何かを変えなければ勝てないと感じた葛西は、五輪でしかできない独特な雰囲気を楽しむことを考えました。

その結果が銀メダルでしたが、本人はまだまだ意欲的で、金メダルを取ってレジェンドと言われたいと4年後の平昌五輪での現役続行を明言しています。葛西は20歳と42歳でほとんど運動能力が変わらないという驚異的な自己管理を徹底しており、45歳の金メダルもあるかもしれないと期待しています。