北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

幕張ベイタウンの見学(その2)

2008-12-02 23:54:59 | 東京ウォーク
 幕張ベイタウンの続きです。

 打瀬(うたせ)小学校には敷地境界にフェンスがありません。変わりに公園を帯状に配置して緑あふれる校庭になっています。

 

 

M先生「この建物も建築学会賞を取りました。『学校もまちの一部である』という発想で中に通路もあるんですよ。今は一部のドアが閉められているようですが」
私「学校に不審者が入り込むという事件もあって、学校関係者はぴりぴりしそうですが」

「回りをご覧なさい、建物に囲まれているでしょう。たくさんの人の目から学校が見られているんです。そういうところは大丈夫です。大体フェンスがあったって本気で入ろうと思えば入れますからね」
「なるほど」

「この小学校は最初にすばらしい校長先生を配属してくれました。開校当時は毎日学校便りを近隣に配ってくれたりして、学校と地域の関係性を構築してくれました。おかげで、非常に優秀な生徒さんたちが集まってレベルの高い小学校になりました。そしてそのことが『子どもを通わせるんだったらここの学校だ』というので地域の価値をさらに上げました。成績の良い学校は地域の価値を上げる資産になりうるんです」

 以前掛川にいたときに、名古屋に自宅のあるお医者さんとお話をしましたが、家族で移住をしようかどうかの決断の鍵は、行く先に良い学校があるかどうかだ、という話題になりました。

 全国的に医療崩壊や医師不足が叫ばれて、「国はもっと予算をつけるべきだ」という声が高まっています。しかしお医者さんも家庭を持つ人間です。いくらお金を積まれるかどうかに関わらず、行きたい場所、行っても良い場所、行きたくない場所の別があります。

 そのときのポイントの一つが地域の学力なのだとしたら、教育にもまちづくりの資源としての新たな見方をしなくてはなりません。

 良い学校の回りにはそれを求めてより収入の高い人がきやすくなります。そのことが地域の質を上げて行くことにも繋がることでしょう。

    ※    ※    ※    ※

 いよいよロの字の住宅の方へ行きました。

 日本の集合住宅は基本的には多くの住戸が南に向いたつくりをしているので、ニの字型に配置をされます。

 最近はタワー型の超高層マンションなどで北向きの住戸も作られますが、値段が低かったりします。日本人には南向きで光を受ける生活がすばらしいというライフスタイル上の神話が生きているのです。

私「北向き住戸ができてしまって人気がないというようなことはなかったのですか」
M先生「それがなかったんですよ。南向きが良いのは神話の世界です。もちろんそれを好む人は多いのですが、北向きでも良い、北向きの方が良いというニーズだってちゃんとあるのです。例えば高級な家具や高級な絨毯をもっている人たちは直射日光でそれらが痛むのを極端にいやがります。日中は仕事が遅いので夜遅くに帰るから、北向きで安い方が良いという人だっています。万人に受けるいろいろなニーズがあっても良いのです」 

    ※    ※    ※    ※

 M先生がこの街区の一角にお持ちの部屋に案内されて、中庭なども見れました。植物なども実に立派に手入れがされていて素晴らしい雰囲気です。

 

私「こうしたまちづくりはどんどん周辺に広がっているのでしょうか」
M先生「そこが問題です。最初のうちはデザイナーグループが認めなければ建築をさせないシステムが機能していたのですが、後代になり人も代わり開発が周辺部に及んでくると、容積をもっと取って儲けたいという要望が強くなり始めて、高層のマンションが建ち始めました。質の高いまちづくりを継続するには行政と住民を含めた継続した取り組みが必要なので、今まさにそれをやろうとしていますがね」

 初期の先駆者たちが頑張って質の高いまちづくりを行っても、その周辺でその恩恵を貪ろうとする力学も働いてくるものです。自分たちは景観づくりにも貢献せずに、良質な景観の地域ブランドの恩恵を利用するのです。

 こうして日本の街並みは乱れて行くのですが、M先生はそもそも日本人がコンクリートで出来た集合住宅に住むという文化を持ってからまだ50年なのだとおっしゃいます。


M先生「かつて『住宅すごろく』という言葉がありました。独身時代の小さな賃貸アパートから始まって、結婚して子どもが生まれ育つに従って大きな住居に移ってゆき、最後は郊外の一戸建てが上がり、というわけです」
私「そうですね、今でもあるのではないでしょうか。やはり最後は郊外の一戸建てに住みたいという希望は多いと思います」

M先生「そうですね。そしてその頃は集合住宅なんて一時の仮住まいという認識でしかありませんでしたが、今や集合住宅が終の棲家になる時代になったのです。こういう住居環境で生活をするという文化がもう少し育たなくては。それには、南向き一辺倒の考え方の転換も必要になるかも知れませんよ」

    ※    ※    ※    ※

 幕張ベイタウンを見学してM先生と意見交換をしながら、これからの日本の住まいについて深く考えることが出来ました。

 だだっ広い郊外に展開した戸建て住宅は人口減少と共に衰退が予想されています。コンパクトシティとはよく言われますが、その実現の方向性について興味深い示唆を得ることが出来ました。

 日本人はどういう暮らしをすることになるのでしょうか。

【おまけ】
 中庭に配置されたこのコンクリートの建物は集会場なんだそう、へー!

 
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【番外編】国籍法に関するネット上のうねり

2008-12-02 23:31:52 | Weblog
 以前にも書いた、国籍法の改正(悪)案が衆議院を通過して、参議院で審議されようとしています。そしてこのことに、多くの国民が問題意識を持ち、ネット上で個人レベルが集まって集合知を形成し、反対を唱えています。

 一体どういうことが行われようとしているのか、についても、これまでの動きや何が問題なのかをまとめたサイトが登場しています。関心を持った人たちが情報を持ち寄ってつくりあげたまとめサイトです。

 「国籍法改正案まとめWIKI」 http://www19.atwiki.jp/kokuseki/

    ※    ※ 【中身の冒頭を引用】 ※    ※ 

■国籍法改正案って何?
今国会、可決予定の法案 現在、参議院で審議中

2008年6月の最高裁にて、現行法の国籍法3条1項が憲法14条の法の下の平等に反するとして違憲判決を下したことから端を発しています。

その結果、国籍法・改正案は
日本人男性に認知してもらうだけで、婚姻関係の無い外国人女性との間にできた子供に対しても、・・・ 本人たちがそうだと名乗れば誰にでも ・・・日本国籍を与えることができる。 (結婚要件の撤廃)

発展途上国を含む海外の人間 ” 誰でも日本人になれてしまう ”法律となってしまいました。

■問題点
 ・DNA鑑定等の科学的根拠が不要(DNA鑑定を設けていないの)で、日本国籍の取得が容易かつ無制限に可能。
 ・出生後に認知された「子供」にも国籍を付与される = 満19歳で認知 → 国籍取得も可能   【補足 子供の定義:父又は母が認知した子で二十歳未満のもの】
 ・罰則が20万円以下の罰金、懲役1年以下とかなり緩やかで、抑止効果は無きに等しい
 ・科学的根拠に基づく証明手段がなく、自己申告である認知と聞き取り調査のみなので虚偽の申請を見抜く確実な方法が無い
   → 実の子でない者を認知することは出来ないので、その場合の国籍申請は虚偽の申請にあたります。 しかし、実の子でないことを証明できる手段(DNA鑑定など)が義務付けられていない・・・ということは。


 結果:本改正案の悪用を防止することはかなり困難。

 人身売買・児童買春などの悪質な犯罪に利用される可能性が高い。

    ※    ※ 【以下略】 ※    ※

 ということで、日本国民一人一人が支え、その恩恵を受けている国籍という資格が危ういことになっていると多くの人が危機感をもっています。

 多くのネット住人たちもこのことに気がついてから、各方面へ反対運動を展開し、法案の採決も先延ばしが続いています。最近は少し野党の方にもこれでいいのか、という雰囲気も生まれつつあるようですが、まだどうなるかわかりません。

 一方マスコミはいまだにこのことに対してほとんど報道をしようとしていません。なぜなのでしょうね?

 そこでネットで繋がった人たちは面白い試みを始めました。時事問題を扱うテレビ番組のなかには、「今国民は何を問題だと思っているか?」というネットアンケートをするコーナーを持っているものがあります。

 番組の中でそれを紹介するのですが、そこの一番にこの問題を挙げよう、という運動です。

 番組の取り上げて欲しい問題応募のコーナーに、国籍法改悪反対を書き込んだら同時に、世話人のブログに「今書き込みましたよ」とコメントを載せるのです。

 世話人のブログに書き込みを登録した人の人数は確実に応募をしているはずなので、番組の中でこの問題を取り上げた人数がどのように発表されるのかをみんなが注目しています。

 一番になれば取り上げざるを得ないでしょうし、ランクに入っていないと言うことであれば数字を操作したことが疑われます。もしかしたら臨時にそのコーナーをカットするかも知れませんね。

 この動きに対して各テレビ局がどのような対応をするのかを注視して、その対応はまたネット上をにぎわすことでしょう。

 今週の各番組を多くのネット住民が注目しています。

 マスコミ対ネットは戦いの様相を呈してきました。取り扱いをひとつ誤るとマスコミ側にも禍根を残すかも知れません。

 私自身はこうした動きを集合知の行く末の一つとして興味深くウォッチしています。

 マスコミの報じない水面下でネットを舞台としたおおきなうねりが生じつつあるようです。

 「実に興味深い…」(ガリレオby福山雅治風に) 
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【おまけ】「何で俺が払うんだ発言」へのぶらさがり一問一答

2008-12-02 02:25:09 | Weblog
 ネットを見ていたら先の「なんで俺が払うんだ発言」に関する麻生総理へのぶらさがり一問一答がみつかりました。

 本当はなんて言ったのか知りたかったのですがやっと見つけました。なかなか探せないもんだなあ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081127/stt0811271400001-n3.htm

    ※    ※ 【以下引用】 ※    ※
【諮問会議発言に関して】 
 経済財政諮問会議の議事録が公開され、首相の(「何もしない人の医療費をなぜ私が払うのか」という)発言に対し与野党から批判がでているが。

 「どの話? それは、その前の部分と前後の部分を切って、話つくっておられるんですな。【その話が今、病の床におられる方の気分を害したのなら、その点はおわびします。】趣旨はいわゆる予防というのをぜんぜん考えていない、今の制度はいかがなものかと。健康管理をする人としない人、予防に注意する人としない人、きちんとしている人していない人、すごい差があるわけで、君もふしだらな生活していると、将来考えた方がいいよ」

 「予防の方をきちんとすべきというのが主旨です。そこのところだけ切りとられて、そこだけ読まれて、いかがなものか。そこだけ読まれて気分を害したのなら、あやまりますが。いきなり追突されて脊髄(せきずい)を損傷とか、先天的なものとか、人によっていろいろ状況が違いますが、同じような状況でも、同窓会であうと、えらい差がでるのは、予防や健康管理している人で、ずいぶん差がある。予防にもっと力をいれることによって、医療費全体を抑制できる。その一部だけ、オタクの新聞にでたんだろうね」

    ※    ※  (引用終わり)  ※    ※

 テレビでは【 】書きの部分しか写されていなかったようでした。「首相が陳謝した」という見出しだけが踊るのかと。

 こういう発言は、探せば見つかるんだけど大概は探してまで見ようとはしませんからね。

 真実はソース(原典)にしかない時代になってしまったかな。
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