先日訪ねた某ビルディングの入り口にある吹き抜けのホール。
朝早くに着いてちょっとの間、朝の出社の様子を見ていました。
雇われているのであろう結構なお歳の警備のおじさんは入り口から職員が入ってくるのを見る度に大きな声で「お早うございます!」と挨拶の声を発します。
しかし警備のおじさんよりはずっと年下に違いない行き交う人たちはほとんど声を出すことがありません。
皆、(どうせ誰も聞いていないだろう)と思っているに違いありませんが、面白くなってどれくらいの割合で挨拶を返すものか見てみました。
すると、おじさんの「お早うございます」に対して会釈など何らかの反応を示すのが4割、そして小さな声で「お早うございます」と返すのが1割くらいでした。
皆、警備のおじさんの挨拶は業務の一環としてするように言われているだけのポーズだと思っているのでしょうか。
たとえそうだとしても、朝自分に向かって「お早うございます」と言ってくれることはありがたいことだ、という気持ちも持てないのでしょうか。
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春四月、小学校の入学式で新一年生がドキドキしながら毎日登校していることでしょう。
新しい一年生がまず初めに習うのは朝に大きな声で「お早うございます」と挨拶をすることではなかったでしょうか。
他人から「ちゃんと挨拶するんだよ」と言われて練習をした幼子は、やがて大人になって誰からも「挨拶をするように」と言われなければしないようになってしまったのでしょうか。
練習というのは本番にちゃんとやれるようにするためにするのにね。
さて、では自分自身は「お早うございます」と言われたときに本当にしっかりした声で挨拶を返していたでしょうか。
誰も見ていないであろうときの自分が本当の自分なのかもしれません。