認知症基本法案が先の国会で成立しました。
施行日は「公布の日から一年以内」ということでまだですが、早晩施行されて認知症に着目した施策が展開されてゆくことでしょう。
2月から通った介護のスクールでは、認知症高齢者の介護を行う上では「その人のできないことや低下する能力に注目するのではなく、残された能力や意欲に着目すること」が大切だ、と教えられました。
しかしこういうことを習わないと、「(以前はできたのに)今はあれもこれもできないんだよ」という愚痴や不満めいた気持ちになってしまいます。
先日実家を訪ねたときに母が「うちのお父さんに二階の納戸から夏用の賭け布団を持ってきて、と言ってもトンチンカンでさあ、二階には行くけどもう何を持ってくるのかわからないんだよ」とこぼしていました。
そういう意味では認知機能がかなり低下してきていると思われるのですが、それが日常生活にはさほどの障害となって現れてはいません。
「うちのお父さんは徘徊をしたり、怒りっぽくならないのが助かるわ」
介護認定を受けても、ケアマネージャーとの会話は違和感なくできるので介護度は要支援1のレベルです。
母親が毎日の食事と掃除や洗濯の家事をなんとかやれているので、父の症状が日常生活にほとんど影響を及ぼしていないのです。
しかし母も「だんだん家事が辛くなってきた」と言います。
ここから先は運命に従うしかありませんね。
◆
認知症基本法の目的は「認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進する」ことです。
認知症の人の特徴の一つは「病識」がないこと、つまり自分が認知症だという事が理解できないことがよくあります。
しかしそれは病気ではなく、老化に伴う症状の一つです。
なので大事なのは介護者や家族を含め、認知症に対する周りの理解だと言えます。
認知症とはどのようなもので、どう対処したら良いのか。
地域に頼る拠点の整備も必要です。
そうしたことが一歩一歩進んで、正しい理解が進むことを願います。