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ここで突然、思い出したのが、最近読んだ本です。
今回のミュージカルで私が主眼としたのは、家猫と野良猫の格差、
すなわち生まれつきのセレブと、生まれたときから貧困層に居る存在が
どうやったら「お互いに幸せになれるか?」と考えたかったのです。
でも、演じたり皆で討論するうちに、
「幸せってなんだ?」と思うようになりました。
この本の著者は、フランスの大学入学資格試験(バカロレア)を例にとり、
人間が人間たる所以は、「哲学を持ち、文化を享受する能力がある」ことだと。
P.26 フランスの大学入学資格試験の2013年度の理系の哲学の問題は、
① 政治に関心を持たずに道徳的にふるまうことはできるか?
② 労働は自意識を持つことを容認するのか?
③ ………………
P.27 この哲学の試験を導入したのはナポレオン、1808年のこと。
哲学を深く学ぶことによって、人はより自由に思考することができる、
そして自由な思考こそが人間をより自由な存在にする、との考えからです。
生まれつきの記憶力でも、ガリ勉の努力でも太刀打ちできない試験です。
普段からどれだけ、考える喜びを味わい、思考の楽しみを知っているか、
それが高等教育の原点にある。
こうした哲学教育が、文化国家として世界各国から一目置かれる、
フランスの土台となっているのです。
つまり、贅沢で刺激的な、お洒落な生活が出来なくても、
人間は十分に幸せになれるのだと……
実際、ミュージカルに登場するセレブの家猫達には、恋愛の自由もなく、
毎日決まりきった生活しかない。美味しいモノを満腹になるまで食べても、
苦しくなる一方で、退屈で仕方ない。
私が演じる「恋に恋する乙女猫・ズリエット」は、
生き甲斐ある暮らしには「燃えるような恋が必要よ!」と叫びます。
でも、それはシンデレラのように、時間制約のある恋愛で、
家猫たちは「夜には家の中で家族とすごすの。それが私の仕事よ」
「恋は諦めるの! あ~~~~!!」という悲鳴のようなカデンツアで終わります。
方や、貧困層の野良猫は「語り合う友達もいりゃ恋人も居る」
「気ままな暮らし、極楽だよ」と歌います。
もちろん、そのためには身体を鍛え、食料を獲得する知恵を持ち、
恋人を得るための魅力も必要です。
必要以上の富はいらず、質素(かつ上品)な住居や、美味しい食事と
文化的な生活…………
おぉ、まさに先日ご紹介した「フランス人なら10着しか……」の暮らしです。
いずれにしても、バカロレアはフランスの底力を感じる試験制度であり、国民性です。