私も一応、素人ミュージカル劇団を率いて、何度か舞台を踏んでいるので、
「あがる」ことへの恐怖は常にありました。
そのことについて、この本の著者・小松さんは素敵な解釈をしています。
p.89 あがるということは、”舞台を大切に考えている人間なら当然のこと”。
いい加減ではなく、自分に高いハードルを課しているからあがるんです。
そして繊細な気持ちがあるから。
既に「練習しつくして、何百回も上演」してきていれば、あがらないのでは?
とも思っていましたが、常に向上心とチャレンジを続けていれば失敗の可能性は
充分にありますから、やはり心配すると思います。
大スターの越路吹雪さんも、幕開け前は常に舞台の袖で震えていた、という
記事を読んだことがあります。
p.95 ダンサーであれば、美しさが一定の水準に達しているのは当たり前なわけで、
そこから超えて自分の個性なり面白さを追求していかなければならない。
それには、良い観客を持つということが肝心。
「可愛い!」「きれい!」と拍手してくれるだけの観客ではなく、
厳しい目でジャッジしてくれる辛口の観客。意識的にそういう観客に
見てもらうようにして、常に客観的な評価を得られるようにしておくことが
自分の踊りの質をより高めることにつながるのです。