6月にワールドカップのことを2回書いたので、4強が出そろったところで簡単に総括。「蹴球世界杯②」では、4強の予測をしてる。準決勝の組み合わせは、一つは「ブラジル対ドイツ」だと書いたから当たってる。でもまあ、これは世界中でほとんどの人が当たっただろうから、特に自慢になることでもない。もう片方は「アルゼンチン対イタリア」では面白くないと書いてて、「イタリアかオランダがベスト4か」と書いてるので、半分当たったと言えないこともないけど、まさかイタリアが1次リーグ敗退とは考えもしなかったので、その点は予測のはずれ。
Dグループは、ウルグアイがシードで、ギリギリのところでシード枠を外れたイタリアとイングランドの優勝経験国が入った。そこにコスタリカが入った。事前の日本との練習試合を見ていても、コスタリカが1次リーグを突破するのは非常に難しいのではないかと誰もが思っただろう。第一試合でコスタリカがウルグアイに3対1で完勝しても、それはウルグアイが予選段階からの不調を引きずっているのではないかと考えた。イタリアは第一試合のイングランド戦に勝ったので、その勢いで1位突破すると考えたのは、まあ普通の判断である。ところがコスタリカがイタリアに勝ち、イングランドにも引き分けるという、まさかの1位突破。今大会最大の番狂わせ。これを当てた人は、世界に(熱狂的コスタリカ国民以外は)誰もいないだろう。そしてトーナメント1回戦にも勝って、ベスト8。これはすごい。もし、日本が2位突破していたら、このコスタリカと当たっていた。
「コスタリカ」(Costa Rica)という国にスポットが当たるのは、とてもうれしい。人口400万ほどの中米の小国だけど、非軍事(常備軍を持たない)、エコツーリズム、人権教育(軍隊を廃止し、軍事費を教育に回した)で有名な国である。別に反米ではなく親米政権だけど、人権外交を進め「国連平和大学」(平和、人権、環境保護などに関する専門教育を行う大学院大学の国連機関)を誘致している。いいことだけではないらしいけど、非軍事、環境保護、人権擁護では世界に知られていて、まるで今の日本の逆を行くような国ではないか。国名はスペイン語で「コスタ・リカ」(豊かな海岸)で、コロンブス(コロン)が上陸した時に先住民が金の装飾をしていたことから付いたという。英語で言えば「リッチ・コースト」、「コートジボワール」の「コート」(Côte=フランス語)と同じである。(コートジボワールは、アイヴォリー・コースト、象牙海岸の意味。)
ベスト4を掛けたオランダ戦も、PK戦まで行く戦いだった。支配率64%対36%、枠内シュート15本対3本、コーナーキック数に関しては何と11回対1回と、もう完全にオランダの試合である。それでも点を与えない。0対0を守りきる。そこでPK戦に向け、オランダはゴールキーパーのメンバー交代というかつて聞いたことのない戦術で、PK戦に勝つ。深夜か早朝で最近はリアルタイムでは全然見てないんだけど、こんな試合があるんだという感じである。それでも準々決勝ではブラジル、ドイツ、アルゼンチン、オランダと、一応格上というか、最新のFIFAランキングの上位国が勝っている。1回戦もリーグ戦1位突破国が勝っていて、割と順当な試合結果になっている。しかし、ランキングで言えば、ドイツが2位でブラジルが3位。ネイマールも負傷したブラジルは果たして決勝に進めるか。先の記事では「ネイマール対メッシが見たい」と書いたけど、もうそれは不可能になった。この4つのチームはどこが優勝してもおかしくはない。だけど、あえて言えば、グループリーグからの5試合をすべて1点差で勝ち切り、PK戦もないアルゼンチンにうまさがあるのかなとも思う。
日本チームのことを書く余裕がなくなってきた。アジア出場国が一勝もできなかった理由は判らないけど、中南米各国の好調ぶりは「地の利」というものだろう。そうすると、本国からもブラジルに入ってからも「移動時間の長さ」もあるのかもしれない。日本は半数が欧州チーム所属だから、ヨーロッパ→日本→アメリカ→ブラジル、そしてキャンプ地のイトゥから各試合都市までが長い。2年後にリオ五輪があるわけだから、日本のスポーツ関係者は、ちょうど日本の真裏、時差も季節も正反対の国で最大の力を発揮するにはどのようなトレーニングが必要なのか、緊急に研究するべきだろう。
試合そのものは、コートジボワールに逆転されたことにつきる。計算すればわかるけど、仮にギリシャ戦に勝っていても1次リーグは突破できない。もっとも、試合結果が変われば、どの国もモチベーションに変化があるから、仮定の議論は意味がないけど。いろんな人がいろんなことを言うだろうけど、僕にはよく判らないし、内情にもあまり関心はない。客観的に見て、日本の力は「アジア枠が3以上あれば出場はできるだろうけど、1次リーグを突破できるかどうかは微妙なところ」といったあたりだと思う。今回だって突破してもおかしくはない。だから残念と言えば残念とも言えるけど、優勝できるなんて思ってた人はいないだろう。組み合わせに恵まれれば、ベスト8に行けないとも言えない、といったあたりが最高である。まあ、全敗も十分にありえたけど、一つ引き分けた。ギリシャの「引き分けねらい」を崩せなかった。日本は最後がコロンビアだから勝てないだろうと踏めば、ギリシャは最後のコートジボワール戦に勝てば突破なので、日本戦は引き分けでいい。あの守りを固めたチーム相手に一点も入れることは難しい。PKを取りに行く以外にはなかったと思う。
今後どうするか、「想定と違った時に柔軟に対応できる力」とか言って、そういうものを学校でも育てるべきだという人もいるけど、そんなことが今の日本の教育行政の中で出来るわけがない。そりゃ、まあできればその方がいいけど、誰もそんな教育に変えようも思ってない。マスコミもいろいろ言うけど、読売は今でもジャイアンツ、朝日も毎日も甲子園がウリで販促しようと思ってるんだから、学校教育では野球が大事、炎天下に連投して潰れてもいい、学校のためだという姿勢が変わるとは思えない。部活動を社会体育に移行するなんて言うのも「お題目」だけで、予算もないのに不可能だと皆思ってるだろう。教員の事実上の超過勤務に押し付けたままだと思う。
ザッケローニ監督は、日本に向いているようでいて、最後の最後にナショナルチームを率いたことがない経験不足が出た感じは否めない。大久保をサプライズ選出して、ザンビア戦で最後に投入して当たったあたりまでは、案外「マジック」が効いてるのかなという気もしたんだけど。でも、僕はこの4年間、スポーツが単なるスポーツ以上に大きな意味を持った時代に、ザッケローニのように「前生は日本人」などという人が監督で良かったんじゃないかと思っている。「地震と原発事故の国では家族が心配する」などという人だっていたと思うが、選手と一緒に募金で街頭にも出るような人だったから、「3・11後」の日本でサッカーが意味を持てたんではないか。などと僕は思っているんだけど。
Dグループは、ウルグアイがシードで、ギリギリのところでシード枠を外れたイタリアとイングランドの優勝経験国が入った。そこにコスタリカが入った。事前の日本との練習試合を見ていても、コスタリカが1次リーグを突破するのは非常に難しいのではないかと誰もが思っただろう。第一試合でコスタリカがウルグアイに3対1で完勝しても、それはウルグアイが予選段階からの不調を引きずっているのではないかと考えた。イタリアは第一試合のイングランド戦に勝ったので、その勢いで1位突破すると考えたのは、まあ普通の判断である。ところがコスタリカがイタリアに勝ち、イングランドにも引き分けるという、まさかの1位突破。今大会最大の番狂わせ。これを当てた人は、世界に(熱狂的コスタリカ国民以外は)誰もいないだろう。そしてトーナメント1回戦にも勝って、ベスト8。これはすごい。もし、日本が2位突破していたら、このコスタリカと当たっていた。
「コスタリカ」(Costa Rica)という国にスポットが当たるのは、とてもうれしい。人口400万ほどの中米の小国だけど、非軍事(常備軍を持たない)、エコツーリズム、人権教育(軍隊を廃止し、軍事費を教育に回した)で有名な国である。別に反米ではなく親米政権だけど、人権外交を進め「国連平和大学」(平和、人権、環境保護などに関する専門教育を行う大学院大学の国連機関)を誘致している。いいことだけではないらしいけど、非軍事、環境保護、人権擁護では世界に知られていて、まるで今の日本の逆を行くような国ではないか。国名はスペイン語で「コスタ・リカ」(豊かな海岸)で、コロンブス(コロン)が上陸した時に先住民が金の装飾をしていたことから付いたという。英語で言えば「リッチ・コースト」、「コートジボワール」の「コート」(Côte=フランス語)と同じである。(コートジボワールは、アイヴォリー・コースト、象牙海岸の意味。)
ベスト4を掛けたオランダ戦も、PK戦まで行く戦いだった。支配率64%対36%、枠内シュート15本対3本、コーナーキック数に関しては何と11回対1回と、もう完全にオランダの試合である。それでも点を与えない。0対0を守りきる。そこでPK戦に向け、オランダはゴールキーパーのメンバー交代というかつて聞いたことのない戦術で、PK戦に勝つ。深夜か早朝で最近はリアルタイムでは全然見てないんだけど、こんな試合があるんだという感じである。それでも準々決勝ではブラジル、ドイツ、アルゼンチン、オランダと、一応格上というか、最新のFIFAランキングの上位国が勝っている。1回戦もリーグ戦1位突破国が勝っていて、割と順当な試合結果になっている。しかし、ランキングで言えば、ドイツが2位でブラジルが3位。ネイマールも負傷したブラジルは果たして決勝に進めるか。先の記事では「ネイマール対メッシが見たい」と書いたけど、もうそれは不可能になった。この4つのチームはどこが優勝してもおかしくはない。だけど、あえて言えば、グループリーグからの5試合をすべて1点差で勝ち切り、PK戦もないアルゼンチンにうまさがあるのかなとも思う。
日本チームのことを書く余裕がなくなってきた。アジア出場国が一勝もできなかった理由は判らないけど、中南米各国の好調ぶりは「地の利」というものだろう。そうすると、本国からもブラジルに入ってからも「移動時間の長さ」もあるのかもしれない。日本は半数が欧州チーム所属だから、ヨーロッパ→日本→アメリカ→ブラジル、そしてキャンプ地のイトゥから各試合都市までが長い。2年後にリオ五輪があるわけだから、日本のスポーツ関係者は、ちょうど日本の真裏、時差も季節も正反対の国で最大の力を発揮するにはどのようなトレーニングが必要なのか、緊急に研究するべきだろう。
試合そのものは、コートジボワールに逆転されたことにつきる。計算すればわかるけど、仮にギリシャ戦に勝っていても1次リーグは突破できない。もっとも、試合結果が変われば、どの国もモチベーションに変化があるから、仮定の議論は意味がないけど。いろんな人がいろんなことを言うだろうけど、僕にはよく判らないし、内情にもあまり関心はない。客観的に見て、日本の力は「アジア枠が3以上あれば出場はできるだろうけど、1次リーグを突破できるかどうかは微妙なところ」といったあたりだと思う。今回だって突破してもおかしくはない。だから残念と言えば残念とも言えるけど、優勝できるなんて思ってた人はいないだろう。組み合わせに恵まれれば、ベスト8に行けないとも言えない、といったあたりが最高である。まあ、全敗も十分にありえたけど、一つ引き分けた。ギリシャの「引き分けねらい」を崩せなかった。日本は最後がコロンビアだから勝てないだろうと踏めば、ギリシャは最後のコートジボワール戦に勝てば突破なので、日本戦は引き分けでいい。あの守りを固めたチーム相手に一点も入れることは難しい。PKを取りに行く以外にはなかったと思う。
今後どうするか、「想定と違った時に柔軟に対応できる力」とか言って、そういうものを学校でも育てるべきだという人もいるけど、そんなことが今の日本の教育行政の中で出来るわけがない。そりゃ、まあできればその方がいいけど、誰もそんな教育に変えようも思ってない。マスコミもいろいろ言うけど、読売は今でもジャイアンツ、朝日も毎日も甲子園がウリで販促しようと思ってるんだから、学校教育では野球が大事、炎天下に連投して潰れてもいい、学校のためだという姿勢が変わるとは思えない。部活動を社会体育に移行するなんて言うのも「お題目」だけで、予算もないのに不可能だと皆思ってるだろう。教員の事実上の超過勤務に押し付けたままだと思う。
ザッケローニ監督は、日本に向いているようでいて、最後の最後にナショナルチームを率いたことがない経験不足が出た感じは否めない。大久保をサプライズ選出して、ザンビア戦で最後に投入して当たったあたりまでは、案外「マジック」が効いてるのかなという気もしたんだけど。でも、僕はこの4年間、スポーツが単なるスポーツ以上に大きな意味を持った時代に、ザッケローニのように「前生は日本人」などという人が監督で良かったんじゃないかと思っている。「地震と原発事故の国では家族が心配する」などという人だっていたと思うが、選手と一緒に募金で街頭にも出るような人だったから、「3・11後」の日本でサッカーが意味を持てたんではないか。などと僕は思っているんだけど。