尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

徳島県の祖谷(いや)温泉、ケーブルカーで下りる露天風呂ー日本の温泉⑰

2022年05月22日 22時07分57秒 |  〃 (日本の山・日本の温泉)
 中国地方は比較的温泉が少ないが、山陰には素晴らしい温泉があり、岡山県北部には「美作三湯」もある。しかし、まだ行く機会がないので、次の四国に飛びたい。ここでは徳島県の祖谷(いや)温泉が素晴らしい。もちろん大きな温泉としては、愛媛県の道後温泉があり、道後温泉本館は日本で最も素晴らしい外湯だと思うけど、秘湯系を取り上げているので除外。今や琴平や足摺岬も温泉になったけれど、源泉掛け流しの温泉を本格的に味わえるのは、祖谷(いや)温泉だけ。
(露天風呂)
 ここは1965年に見つかって、1972年から温泉ホテルが開業したという。割と新しい温泉で、なかなか知られなかったが、段々「温泉好きなら一度は行きたい」という評判が聞こえてきた。何しろ露天風呂までケーブルカーで下りていくというのが、そんなところがあるんだと驚いた。実際にケーブルカーに乗った時は、ちょっと感慨深かった。はるばる来たなあと思う。源泉は39.3度の単純硫黄温泉で、これ以上低かったら加温しないといけない。この温度でも、お風呂としては低い。逆に言えば、いくらでも入っていられる。もちろん立派な内湯もあるし、食事も素晴らしかった。でも、やっぱり祖谷温泉の魅力は絶景露天だろう。
(ケーブルカーで行く)
 ここへ行ったのは、石鎚山剣山に続けて登った年のこと。愛媛県側から行ったが、何しろすさまじい国道で、すれ違い出来ないぐらい狭い。そこに時々向こうから大型トラックがやって来るから恐怖である。そしてたどり着くと、その辺りの奥深い谷も凄い。日本三大秘境というらしい。他は宮崎県の椎葉、岐阜県の白川郷というが、どっちも行ってるけど祖谷渓の山深き様子は一番スゴイのではないか。谷がどんどん深くなり、山の上の方にも家が見える。どんな暮らしだろうと想像するが、僕の想像を絶している。ところで、なんで「祖谷」を「いや」と読むのだろう。今回検索してみたが、見つからなかった。
(祖谷温泉)
 近くには他にも温泉旅館がある。「新祖谷温泉」は逆にケーブルカーで上る「天空露天風呂」がウリだが、こっちは源泉が低いので加温せざるを得ない。ここも泊まったのだが、温泉という一点に絞れば、まずは祖谷温泉になる。ところで、新祖谷温泉は「かずら橋」という名前を旅館に付けている。重要民俗文化財に指定されている吊り橋「かずら橋」が近くにあるからだ。日本のあちこちに観光用の吊り橋がある。関東地方だと常陸太田の竜神大吊橋とか、塩原温泉のもみじ谷大吊橋など。揺れるから怖いけど、まあ落ちることはないだろう。それに対して、こっちのかずら橋は怖さが半端ない。何しろ底がスカスカなのである。名物だから一度は行こうかとお金を払ったので、諦めるのはシャクだから何とか渡ったんだけど、ここは二度行かなくてもいいな。
(祖谷のかずら橋)
 四国の森と言えば、大江健三郎の故郷であり、大江文学によく出てくる。愛媛から徳島へ向かう時は、大江健三郎の生地辺りも通っていったのだが、なるほどこの深い森はスゴイと痛感した。この感じは行かないと感じられない。高知県には行けなかったので残念。高度的にはあまり高くないので忘れがちだが、四国山地の山深さは一度は見ておきたいところだ。
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