尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

コロナ、香港、ウィグルー中国の現在を考える

2022年05月28日 22時25分56秒 |  〃  (国際問題)
 2月末のロシア軍のウクライナ侵攻によって、多くの国際的な問題が忘れられたようになってしまった。もっともウクライナ報道も4月終わり頃から日本の報道も一段落したかの感じである。知床の観光船沈没事故山梨県のキャンプ場で行方不明になっていた女児(と後に証明された)骨の発見などが起きたことが大きいと思う。そんな中で、ウクライナ以外の国際問題への関心も忘れてはいけない。ここでは中国に関する問題を取り上げておきたい。

 新型コロナウイルスの問題は最近全然書いてない。どういう経過をたどるか、もはや僕には予測出来ない。自分だけに関しては、ワクチンとマスクでほぼ予防できる感じなので、他の人、他の国に関してあれこれ考える元気が無くなってきたのである。そんな時に、武漢の大流行を収束させた後は、ほぼコロナウイルスを押さえ込んでいたかに見えた中国でオミクロン株の流行が始まった。その結果、上海でロックダウンが始まり、外出できないほど厳重な措置が2ヶ月続いている。コロナ対策をどうするかは、それぞれの国で違いがあって構わないし、僕にはこの措置を正しいとか間違っているとか判断するだけの基準はない。
(続く上海のロックダウン)
 しかしながら、報道されている情報によれば、ほぼ外出できない暮らしが長く続いてるということで、やはり行き過ぎではないか。もちろん、日本でも2020年には強い措置が取られたが、買い物には行けた。仕事もテレワークが奨励されたけれど、その時でも全員が仕事に出てはいけないということではなかった。もしそのような強い措置を取るならば、当然「国家補償」という問題が出て来るだろう。一体、中国ではどうなっているんだろうか。あまりにも厳しい措置に、かえって栄養失調になったり体力が衰えたりするのではないか。ちゃんと探してないけど、悲鳴のような投稿が相次いでいると言う。

 そのような強権的やり方を見ていると、「自由選挙」があることの大切さがよく判ると思う。選挙があると思っていれば、政治の担当者はここまで強い措置は取れないのではないか。日本で2021年秋に菅義偉から岸田文雄に首相が替わったのは、もうすぐ衆院選があるという事情が大きかった。内閣が替わって果たしてどれだけ意味があったかとも思うが、それでも普通選挙が全然行われないのとは大きく違う。「選挙」といっても、誰もが立候補できて、自由に投票できるという社会でなくてはいけない。イランやロシアでも大統領選をやっているが、それは実質上は自由な選挙と言えないものだ。

 中国では今まで2022年秋の共産党大会を目標にして、「ゼロコロナ」を徹底してきた。今さらそれを変えることは出来ないと、オミクロン株も強硬に押さえ込もうというのだろうが、これは日本を含む諸外国の対応と全く違っている。その結果、かなり生産・流通に支障が出ていて、日本でも自動車工場が休業したり、家電製品が品薄になり始めたという。中国は広大な国土に医療施設も不足がち、高齢化も進んでいるという事情も判らないではないが、どこまでロックダウンを続けるんだとも思う。

 今まで確実視されてきた習近平三選にも暗雲が漂ってきたという観測まで聞かれる。それは言い過ぎだと思うけど、このままでは経済成長率への影響が大きくなりすぎる可能性がある。ウクライナ戦争でロシアを実質上支持していることと絡んで、今後内外の批判が大きくなるか。中国に関するニュースとしては、香港で11日に90歳の元枢機卿(カトリック)や歌手のデニス・ホーらが逮捕された。香港では8日に行政長官選挙が行われ、李家超(ジョン・リー)が選ばれた。間接選挙であり、結果は決まっていた。新長官の強硬方針ということだろうが、全く先行きの希望がない状態が続いている。
(陳日君元枢機卿)
 またウィグル問題では、ウイグル族収容所に関する中国内部の秘密文書が大々的に報道された。収容所の実態を物語る資料や写真が多数含まれていて、ホンモノとみられている。これらの文書で、強制労働や宗教の自由への厳しい制限強制的な出産制限や大規模投獄などが政府によって組織的に行われてきたことが証明された。その実態は今まで語られていた通りとも言えるが、内部文書で裏付けられたことに衝撃は大きい。当面解決へのメドが立たないのだが、注目していかなければいけない。
(ウィグル族への迫害を裏付ける文書)
 ところで「中国脅威論」をあおるだけでは何も解決しない。中国とは経済的に深く結びついていて、中国側から切れないほどもっと深くするべきだという意見もある。一方で政治的に左右される中国に過度に依存してはならないという意見も強い。日本では企業や大学での研究活動への予算投下が少ない。どんどん中国に「頭脳流出」するという観測もある。中国だからどうだという問題ではなく、日本があらゆる面で「正道」を歩むことこそ、中国に対する牽制にもなるだろう。
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