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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

たくさんの思い出(あるいはひみつ)

2005-12-01 16:40:37 | 思い出の絵本

 今日から12月。寒いと感じる日が増えてきて、いよいよ冬なんだなあと
思います。
 12月といえば、クリスマス。クリスマス絵本の紹介も増えてきて、
私もなにか載せたいなあと思いつつも、11月の終わりから気になっている
絵本のことを、まず書こうと思います。 

 すこし前にRAMAママさんの「えほんのおと」で紹介されているのをみて、
とても懐かしくなりました。娘と、何度も何度も何度も読んだ本だったから。
そういえば、しばらくうちでは読んでなかったなあと思っていたら、
何日か前に「寝るときにこれ読んで」と、娘が棚からさがして持ってきました。


ひみつのひきだしあけた?

 

ひみつのひきだし あけた?

 あまんきみこ作 やまわきゆりこ絵

 

 

 お話の主人公は、チイばあちゃんと、とらねこのとらた。 2人暮らしのおうちです。

 ある木曜日、さくら色の毛糸が押入れの隅から出てきたので、チイばあちゃんは、
ベレー帽を編むことを思いつきます。とってもいいアイデアと思いながら、次にかぎ針を
探し始めますが、なかなか見つかりません。お昼寝中のとらたも、物音で起きてしまいます。

 ここまでのチイばあちゃんの行動、私はとても笑えません。毎回、私も色々「いいこと」を
思いついては、でも、あれがない、これが見当たらないと似たようなことしていますから。

 とらたがはなをぴくぴくさせて、古机の一番下の引き出しが怪しいと、かぎつけます。
ちゃんと見たけど、あそこにはなかったというチイばあちゃん。(こういうやり取りも身に覚えが)

   「おくの おくまで みたの?」
ととらたに念をおされ、
   「おくの おくが あるのかあ。 もう いちど みてみよう」
   とチイばあちゃんがひきだしをあけると・・・

   ひきだしは、ひっぱるだけ あいていく。
   するするする。するするする。      

そう、とても不思議な引き出しなんです。引き出しはどこまでもどこまでも、のびていきます。
壁に行き当たっても、まだその先があるみたい。チイばあちゃんは、大工道具を取り出して
「引き出しの通り道」を作ります。(とっても行動力があるおばあちゃんなんです)
小さな庭に出ても、まだ引き出しは
のび続け、その隣の広場でやっととまります。

 長く、長くのびた引き出しの中味ーそれはもうありとあらゆるものが、たくさん!
こんなに引き出してしまって、いったいどうやって机におさまるのだろう?
 その疑問は、広場で遊んでいた子供たちが、引き出しの中味に興味を持って集まって
きたことで、すべてがまるくおさまり、解決されます。「引き出しの通り道」も、無駄ではなく、
とてもよい利用方法が見つかるのです。


 
 机の引き出しだけでなく、たんすの中や食器棚、押入れや下駄箱などなど、いつでも
取り出しやすく、きちんど片付いているのは気持ちのいいものだし、使い易い。
実際の生活では常にそうでありたいと、思います。

 でも、それとは、ちがうところ・・・心の中のどこか一部分に、捨てられないたくさんの
思い出(あるいは、たくさんのひみつ)をごちゃごちゃでいいから、持っていたいなあと、
思います。
 ある日、ある時の思い出の品物、言葉のかけら、染み付いてはなれないメロディ、
覚えているぬくもり。そんなものや、ものとも呼べないもろもろがあまりにもきれいに
整理されているのも、それはそれでなんだかさびしい。
探しても、探しても見つからなくって、でも、この中にはきっと入っているって確信できる、
そんな引き出しを、持っていたいのです。

 さて、小3の私の娘。
最近、念願の「自分の机」を手に入れました。たいていの場合、小学校入学と同時に、
学習机を購入すると思いますが、ちょっとした理由で(家庭の事情?)購入を見合わせて
いました。「自分の机」が来てからの娘の様子、なんだか変わってきたのです。宿題や、
その他なにやらやっている時の後姿が、気のせいかしっかりして見えるんです。
 自分の持ち物を、自分だけが知っている場所に収めていく。自分の持ち物を自分自身で
管理していく。そういうことは、やはりとても大切なことなんだと、わかりました。

 彼女も、しだいに、自分だけの思い出、自分だけのひみつを、心の引き出しの中に
持ちはじめていくのでしょうね。(母と読んだ、数々の絵本の思い出も入っていると
いいなあ)

コメント (6)
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