今となってはなぜだったのか、そのときの気持ちが
思い出せないのですが。私が、娘のために買った最初の
クリスマスの絵本は、『ぐりとぐらのおきゃくさま』では
なく、この絵本だったのです。たしか、娘が3歳になる前の
クリスマスだったと思います。
『サンタのおもちゃ工場』
たむらしげる作
私の「絵本歴」は、娘の誕生後から始まっているので、
その時点で3年未満、知っている絵本もまだまだ少なかったし、
ゆっくり一人で、書店や図書館に居られる時間もあまり
なかった頃でした。なので、毎月購読していた福音館書店の
雑誌が、ほんとうに楽しみでした。
『こどものとも0.1.2』を購読しはじめてから、
ちょうど1年くらいたっていて、年齢的にはすこし早かった
けれど、『かたつむりタクシー』(1998年7月号)という作品
から、『年少版こどものとも』を買うようになりました。その
『かたつむりタクシー』の作者が、たむらしげるさんで、
その年少版を、親子ともども愛読していたので、そういう
「刷り込み」が『サンタのおもちゃ工場』に繋がったのかも
しれません。
お話は、ルネくんという男の子が、ロボットの運転する、
お迎えのロケットに乗って、サンタクロースの住む
「ほっきょく」へ行き、そこに「おもちゃ工場」を作る
お手伝いをするというものです。なぜ、ルネくんが
「選ばれて」手伝いに行くのかというと、とても雪だるま
づくりが上手だから。
ロボットと、しろくまと、ルネくんとで、たくさんの
雪だるまをつくり、それにサンタさんが呪文を唱えると、
その雪だるまたちは動き始めます。なぜそんなにたくさんの
雪だるまが必要かというと、彼らが「工場」を作り、そして、
その「工場」の中で、子供たちのためのプレゼントを作って
くれるからです。
雪だるまたちはみんな、黄色いマフラーに、黒い帽子を
かぶり、茶色のブーツ姿です。あるものは、設計図を書き、
あるグループはぬいぐるみを作り、DJとなって、雰囲気を
盛り上げるために「ジングルベル」のレコードをかける人
(雪だるま)もいます。
そっか、知らなかったけど、「ほっきょく」には期間限定
のそんな「工場」があったんだあ。サンタさんひとりだけでは
準備が大変だけど、お手伝いの人(雪だるまたち)がいれば、
だいじょうぶだよね。
素直に、そう思ってしまっていけない理由は、
どこにもありません。