prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アンダーワールド」

2003年12月09日 | 映画
この手のMTVの監督が撮るような“スタイリッシュ”なヴィジュアル志向の映画って、判を押したように同じ欠点が出るなあと思う。暗い画面がずっと続いて、吸血鬼族と狼男族が同じような黒い服を着ているものだからどっちがどっちだかわからなくなる。どっちにもスキンヘッドの黒人が混じっているのだからなおのこと。ストーリーはけっこう凝っているのだが、ストーリーテリングができていない。地下鉄がトンネルの途中でストップしているはずなのに、すぐ後ごうごうと駅を通り過ぎていったり、場面場面のヴィジュアルは凝っていても、作品全体のヴィジョンを掌握していない。ここいらない、切れる、というカットがかなりある。続編を作りたそう(事実できるらしい)なのも毎度のこと。

撮影がハンガリーでも行われているのは楽屋落ちみたい。撮影トニー・ピアース・ロバーツ(「日の名残り」)の腕は見事なもの。狼男への変身をCGでやっているのだが、動きの付け方は「ハウリング」の変身シーンのパターンから出ていない(後註・わざと真似したらしい。何か意味があるのか)。

ケイト・ベッキンセールは「パールハーバー」ではさっぱり印象がなかったが、ここではボンテージ風味が入ってけっこうきれいにセクシーに撮れている。いっつも同じ顰め面って気もするが。
(☆☆☆)


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