時代設定は少し現代より前なのでしょうね。登場人物でスマートフォンを使っているのはいなくて、みんなガラケーだった。
今や「撮影中の」時代劇はほぼ絶滅しているのだからそういうことになる。それともパラレルワールドか。
監督の安田淳一が照明から衣装から技術部門で何役もこなしている。自主映画だからということになるのだろうけれど、画面はそれなりに厚みがある。
助監督役の沙倉ゆうのがまた現実のスタッフとしても助監督ほか何通りもの職能をこなしていて、エンドタイトルに何度も名前が出てくる。
沙倉がカメラに写らないところでカチンコを叩いているのはどんなものだろう。画と音のタイミングを合わせる必要があるのからカチンコ叩いているのではないの?
山口馬木也がタイムスリップしてきて間もなく黒船来航の140周年記念イベントのポスターを見るシーンがあるが、その140というアラビア数字を江戸時代の人間が読めるのは変。
ひとつのシーンでカメラのセットアップ(位置変え)をしないのもひっかかった。いちいちカット割りするところを描くわけにもいかないのだろうが、これは知っていてついた映画の嘘の範疇に入るのかもしれない。
後半の展開はかなりひやりとするところがある。実際にやったらシャレにならない。虚実皮膜を順番を変えて見せた。
決闘シーンで向かいあったまま長い間をとるのは「椿三十郎」か。
拡大公開して、三連休の中日にしてもずいぶん客が入っていた。