1945年、つまり第二次大戦中に作られた上、ジョン・ウェイン主演なのだから、どれくらい日本をヒドく描いているか「期待」して見たら、果たせるかなヒドいもの。エドワード・G・ロビンソンの図体をでかくしたような男が出てきて、これが日本軍将校だときた。髪の毛が黒いだけではないか。(そういえば、本物のロビンソンは「天晴れウォング」で中国人役やってたな)
あとみんな釣り目のあいまいな笑顔がぺこぺこおじぎばかりしている。
日本軍がしきりと女の声で「降伏」を呼びかける放送をするというのも、変な感じ。
一番の被害者であるフィリピン人の描き方が、実におためごかし。圧制者をはねのけて「自由」を求めよってか。同じことをイラクでもやっているのかい。
監督はエドワード・ドミトリク。戦後すぐ赤狩りにひっかかって「転向」した人と思ってみると、このアメリカに対する信頼ぶりが皮肉に見える。
変なカラーだなあ、と思ってみていたら、白黒なのをデジタル技術でカラ-化したもの。新興のBS放送のBSトゥエルビによる放映。まことにスキマ的な番組。
戦時中なのにも関わらず、相当量の火薬を使った戦闘シーンを撮っている。ロケもフィリピンでやっているらしい。
初めにモニカ・ベルッチありき、の映画。
あまりに美人過ぎてまわりを男女問わずイヤでも全部まきこんで運命を狂わせるなんて役やってサマになるなんて人は、あまりいない。好みはともかく、適役には違いない。
荒唐無稽に見えてけっこうありそうな展開。がりがりの色気も何もない隣の翻訳家の女がいきなりいきなり色気たっぷりになるあたり、笑ってしまう。
もっとも、いろいろぶっとんだ感じに展開させたあげく、困って元に鞘に納まって終わりという結末のつけ方は物足りない。
(☆☆☆)
なんだかチンタラした、なんにも目新しいところのないアクションもの。ヒーローに(他のキャラも)キャラクターらしいキャラクターがないのは困りもの。
もっとも、ハリウッド映画としてはこれくらいチャチなランクでも、同じ時間帯にやっていた日本映画としては最も贅沢に作られた「マルタイの女」とザッピングして画面を比べて、こっちの方が画面のヌケがいいのだから、複雑な気分。
先日亡くなったロイ・シャイダーがおそろしくぞんざいな扱いの出番なのがイヤな気分。
ところで、映画の出来とは関係ない話だが、先日テレビ東京でちょっと見た007で、地上波デジタルだと英語音声で明らかにステレオ音声になっていたのが、日本テレビ系のこれではモノラル。そうと決まっているのかね。確かめてみないと。
(☆☆★★)