prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「花のあと」

2010年04月12日 | 映画
藤沢周平原作だから、お話はしっかりしているし、美術や衣装もよくできている。
主演の北川景子は女性剣士という下手するとゲテになりかねない(女剣戟、って見世物がありましたからね)ところも格調を崩さずにこなし、上級武士の娘らしい端正な作法もしっかり見せているのだが、全体にちょっとづつ微妙に作りが弱い。

冒頭の花のアップは何度も繰り返しすぎているし、随所にはさまれる風景も、昔、双葉十三郎が昭和三十年あたりの日本映画が何かというとあまり意味のない叙情的な情景カットをはさみこむ癖を「波打病」とからかっていたのがまだ続いているみたい。
そのちょっとづつが積み重なると、結構たるくなるから、こわい。
(☆☆☆★)


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花のあと - goo 映画

「パレード」

2010年04月04日 | 映画
人物紹介が不経済で、設定(バカみたいに単純)が決まるまでいやに時間がかかる。人間関係の希薄さが大前提でしかも結論だとして、希薄なままで長編はもたないよ。

オチからして不定形な設定でいいには違いないが、それで二時間近く使うこたぁねえだろう。舞台劇的スタイルで描かれている分、不経済なのが目立つ。
(☆☆☆)


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パレード - goo 映画

「NINE」

2010年04月02日 | 映画
人物設定でいうと、オリジナルの「8 1/2」の重要なキャラクターである脚本家(男)が抜けている。主人公グイドが作ろうとしている映画に対するインテリ代表としての批判者といった立場なのだが、それが抜けたことでもっぱら女たちとの葛藤オンリーになって、女優陣の豪華さはなるほど目を奪うけれど、自分との観念的な格闘といった面は薄れた。

舞台だったら、ひとつの空間が過去でもあり現在でもあり、現実でもあり幻想でもありといった混交した表現がやりやすいし、フェリーニの原作映画は何といってもあらゆる要素を呑みこむ演出のヴォリュームが圧倒的なのだが、ここではもっぱらそれぞれの要素をカットバックでつなぐ方法をとっている。わかりやすいけれど、水と油を混ぜて振ったような印象は否めない。

ダニエル・デイ・ルイスは女たちに甘えっぱなしのダメ男ぶりの一方で、芸術家としてはなるほどまわりが天才というだけあると思わせる。今回はそれほど厚塗りの名演をしていないけれど、この人自身が天才だしね。
(☆☆☆★)


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NINE - goo 映画

「ラスト・ブラッド」

2010年04月01日 | 映画
日本のアニメ「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の実写版リメーク。といっても、 アニメ版のストーリーは途中までで、あとは主人公サヤの出自に関わる話になる。あまり意外性のある話ではないが。

チョン・ギヒョンがセーラー服で日本刀を振り回すという、キッチェな図柄が好きな人一定数いるのでしょうね。血しぶきドバドバなのはいいけれど、CG丸出しというのはどんなものか。
日劇にその撮影に使われた実物というセーラー服が展示されていた(わかりにくいけれど、写真参照)けれど、かなり小さいサイズ。

小雪のことを、コラムニストの小田嶋隆は「般若みたいな笑い方をするタレント」って、ファンが聞いたら激怒しそうな表現していたが、ここではそのハンニャ顔を遺憾なく現わしている。
(☆☆★★★)