先月「MAKIKYUのページ」で新常磐交通の旧型車に関する記事を公開した際、写真の車両には残念ながら乗車できなかったものの、「この日は他事業者で、モノコックボディの路線車乗車というリベンジを果たしたのですが…」と記しましたが、MAKIKYUが3月にリベンジを果たして乗車したモノコックボディの旧型路線車は、岩手県内では最大手、東北でも有数の規模を誇る国際興業グループのバス事業者・岩手県交通のバスで、今日はこの車両に関して取り上げたいと思います。
この車両は1980年代前半に導入されたいすゞ製のCJMシリーズと呼ばれる車両(これもエンジンの種類などで、更にCLMなど数種類に分別されます)で、岩手県交通で活躍している同車は専ら親会社の国際興業から移籍した車両ですが、いすゞ車ばかりを導入している国際興業では一時期主力として活躍した車両です。
首都圏では排ガス規制の影響などもあって90年代中頃には姿を消し、国際興業で使用されていたこのタイプのバスは多数が系列事業者に移籍しています。
その中でも岩手県交通は規模が飛びぬけて大きく、また非冷房車をはじめとする古参車両が多数使用されていた事や、盛岡の都市圏輸送の中核を担い、大型車を多数要する事などから、国際興業からは最も多くCJMシリーズの車両が移籍しており、一時期は盛岡市内をはじめ、県内の主要都市(岩手県北バスエリアの宮古などは除外)へ足を運べば嫌でも姿を見かけるほどゴロゴロ走っていました。
この状況は首都圏ではモノコックボディを見かけなくなり、地方でも割合珍しさを感じるようになった21世紀に入った頃(2000年辺り)でもまだ続いており、そこそこの規模を誇る都市圏輸送で多数の路線バスが街中を行きかう盛岡市内では、まるでタイムスリップしたかの様な錯覚を覚える程で、MAKIKYUも岩手へ足を運んだ際にはCJMシリーズのバスを選んで乗車していた程でした。
しかしここ2~3年は排ガス規制の更なる強化などで大都市圏で使用している路線バスの代替が著しく、MAKIKYUが現在居る横浜をはじめ、大都市圏ではこの車両より10年は新しい1993~94年式の車両が次々と退役している状況ですので、岩手県交通でも親会社の国際興業をはじめ、大都市圏で退役を余儀なくされたまだまだ使える車両を次々と購入しています。
割合最近には日本で最後まで残ったBUと呼ばれるCJMシリーズより更に古い車両(これも一時期岩手県交通では多数が走っていました)が全車退役した他、CJMシリーズも急速に代替が進み、一時期は街中で嫌というほど姿を見かけた盛岡でも絶滅する程の状況ですので、現在では岩手県交通でも風前の灯、老朽化も進行していますので、ラッシュ時間帯などに輸送力を要するスクール輸送用などに少数が残存している程度になっています。
CJMシリーズがゴロゴロしていた頃を知る者としては、この車両がやって来るまで数十分も待ち続ける様な現状は信じがたいのですが、それでも3月にMAKIKYUが東北を訪れた際には、北上駅で一時間程度の列車待ち時間に駅前に出ていると、運よく北上市役所(バスは少々回り道しますが、まっすぐ歩けば北上駅との間は徒歩10分程度です)行きとして姿を現し、短い時間ながらも僅か140円(岩手県交通の現行初乗り運賃)で味わいあるこの車両の乗り心地を堪能する事が出来ました。
個人的にはまだまだ走り続けて欲しい車両ですが、老朽化の進行やサービス面、それに運転に要する労力の大きさなどを考えると、既にCJMシリーズ路線車が絶滅している秋北バスなどの国際興業グループ他事業者と同じ道を辿り、そう遠くない内に全車退役となる事はほぼ確実ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も岩手へ足を運ばれ、幸運にもこの車両に遭遇する機会がありましたら、是非乗車されてみては如何でしょうか?