今日12日から、九州の熊本市内を走る熊本市交通局の路面電車(市電)の運賃が改定され、今までは初乗り130円の区間制運賃(整理券方式:最高金額200円)だったものが、150円均一に変更されます。
これは分かり易さという点では大いに評価でき、区間制運賃→均一運賃への変更事例は、近年でもカードシステム導入に伴って阪神電気鉄道の路線バスや京福電車(嵐電)などで行われていますが、今回の運賃改定は比較的乗車距離の長い利用者からすれば歓迎できる話であるものの、一方で短距離(2km以下)の利用客からすれば値上げになりますので、そのため全体としてはやや値下げになるとはいえ、今回の運賃改定に対する評価は大きく分かれそうです。
また初乗り100円・熊本駅~交通センター(市内中心部に立地しており、近くに市電の停留所もあります)まで乗車しても130円と、近距離では割安な運賃設定としており、九州産業交通(産交バス)や熊本電気鉄道(電鉄バス)をはじめ、交通局自体も同区間を運行している路線バスに比べて運賃が高くなってしまうのも気になる所です。
これは敢えて近距離客を分離する施策であれば理解できなくもない話なのですが、市電と市内を走る各事業者路線バスのいずれも熊本県内共通バスカード(To熊カード)が利用可能な状況ですし、短距離利用客の逸走が生じないのかも気になる所です。
とはいえ驚異的な安さとも言える長崎(長崎電気軌道)の100円均一には適わないものの、同じ九州の鹿児島(鹿児島市交通局)の市電運賃は160円均一となっている事などを考えると、運賃水準自体は妥当な所だと思いますし、また冷房車両やVVVFインバーター制御車、超低床路面電車などの導入で日本全国の路面電車の中では先駆け的な存在で、今後も更なる超低床車の導入や、JR豊肥本線新水前寺駅から約130m程離れた水前寺駅通電停を同駅付近に移設するなどの計画もある様ですので、MAKIKYUは遠方という事もあってまだ数度しか乗車した事がない熊本市電ですが、今後のサービスや利便性の向上にも期待したいものです。
写真は熊本市電の最新形式で象徴的存在ともいえ、ヨーロッパのLRTで普及しているタイプの車両(彼の地でも様々なタイプが存在しており、この車両はアドトランツ(現ボンバルディア)製)を日本(新潟鉄工(現新潟トランシス))でライセンス生産を行った日本初の超低床路面電車でもある9700形です。
MAKIKYUも従来車とは大きく異なり、モダンな外観と真っ白な車体が特徴的なこの形式には2回程乗車した事がありますが、導入時期により行先表示(字幕/LED)や下回りなどに差異(走行音も編成によって異なります)が見られるのが特徴ですが、外来品の車両という事もあるのか、座席の硬さが少々気になった事を記憶しています。