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神奈川中央交通・三太号~イベントなどに登場する希少な代燃車

2007-10-23 | 小田急グループ

  

先日海老名で開催された小田急の「ファミリー鉄道展」は、小田急線開業80周年&ロマンスカー運行開始50周年にあたる節目の年という事もあって、内容はかなり豪華なものとなりましたが、今回は小田急グループのバス事業者の内4社(神奈中・東海・箱根登山・立川)のバスが1台ずつ展示されたの注目すべき点で、その中でもMAKIKYUが最も注目すべき存在であると感じた車両が、今日取り上げる神奈川中央交通(神奈中)の「三太号」で、実際に目にするのは今回のファミリー鉄道展が初めてでした。

MAKIKYUが最も注目すべき存在と感じたのは、他の展示車両は日頃営業運行で使用される車両で、各々が運行しているエリアへ赴けば乗車や撮影も可能ですし、それも箱根登山バスや立川バスの展示車両は塗装を別とすれば、日本国内各地で見られるありふれたタイプの車両ですが、この三太号は営業で使用される車両ではない事が大きな要因として挙げられます。

その上三太号は昭和56年(1981年:この年式のバスでも充分希少ですが…)に神奈中60周年を記念して復元したものとはいえ、戦時中~終戦直後の極度に燃料が不足した際に活躍した代燃車(燃料に石油や天然ガスなどではなく、木炭や薪などを代用した車両)という点では、国内で現存するバスでは他に類を見ない貴重なものですし、昭和25年製の見るからに古めかしい風貌の車両というだけでも相当な価値のあるものです。

三太号は一応物理的には自力走行も可能(とりあえず動くという程度で、現代における営業使用には程遠い状況ですが…)ですが、走行可能な状況になるまでに相当な時間を要する事や、排ガス規制の関係などで現在公道を走行するのは難しい事もあって、日頃収蔵されている厚木営業所から、ファミリー鉄道展の会場(海老名)までの間もさほど距離は離れていないにも関わらず、自力走行ではなくトラックに載せて輸送した模様ですので、薪を用いて蒸気を発生させるシーンなどは見れなかったのは残念でしたが、それでも車内の公開も行われ、現代のバスとは大きく異なる様子なども観察できたのは嬉しいものでした。

車内は座席がロングシートと最後部座席の組み合わせ、俗に「三方シート」と呼ばれる座席配置でそれもビニール張り、床は黒い油が塗られた板張りとなっており、復元車とはいえ如何にも昔のバスといった感じはなかなかのもので、全線通して乗っても35円などという金額(今でも金額表示を10円単位としており、「35」などの金額表示が見られる事業者は山梨などにありますが…)が出ている随分昔の運賃表(三角表:今でも神奈中のバス車内には掲示がありますが…)の掲示なども良い感じです。

また客席だけでなく運転席に座る事も出来たのも嬉しい点で、MAKIKYUもせっかくの機会という事で運転席にも座り、見るからに簡素な印象を受ける運転席はサイドブレーキの位置などが特徴的でしたが、運転席の座席位置は調節できませんし、車体長が短い事もあってか左右のミラーは随分小さいなど、現代のバスに比べるとかなり扱い難そうな感を受けました。

この三太号は通常、厚木営業所に収蔵されて非公開となっており、時折イベントなどで姿を現すだけですのでなかなか目にする機会もない車両ですが、かなり希少な車両ですのでファミリー鉄道展における来年以降の再登場をはじめ、様々なイベントでの登場に期待すると共に、機会があればMAKIKYUも自走する場面を是非見てみたいものです。

写真はファミリー鉄道展会場に展示された三太号と特徴ある蒸気発生装置、簡素な印象を受ける運転席の様子です。