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南海7100系「めでたいでんしゃ」~今春に運行開始した加太線向け改装車両

2016-09-11 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

先日「MAKIKYUのページ」では、和歌山電鐵で6月に稼働開始した改装車両「うめ☆電車」に関して取り上げましたが、和歌山市内では南海から経営分離された和歌山電鐵(貴志川線)だけでなく、現在も南海が運行している支線・加太(Kada)線でも、観光客向けに改装された車両が今春運行を開始しています。

加太線で今春運行を開始した改装車両は「めでたいでんしゃ」と称する電車で、日頃MAKIKYUは首都圏を生活拠点としている身ですので、和歌山は近場とは言い難く、「めでたいでんしゃ」も先月ようやく乗車、また加太線自体も滅多に利用機会のない路線だけに、久々の乗車となりました。

加太線で現在活躍する車両は、現在は専ら支線用となっている2扉中型車の2200系(通称角ズーム)と、古参車ながら南海本線でも主力となっている4扉大型車の7100系の2種類が存在、後者もワンマン運転対応改造を施行した2両編成に限定され、どちらが運用される場合でも現在は基本的にワンマン運転となっています。

角ズームは高野線山岳区間の座席指定制有料観光列車「天空」に改造された車両をはじめ、貴志川線向けに改造された車両が経営移管と共に和歌山電鐵に移籍、その中には先日取り上げた「うめ☆電車」の様に大改装を施した編成が何本も存在、これに加えて遠く九州へ移籍してドアの増設改造を施行された編成も存在するなど、製造両数こそさほど多い車両ではないものの、今日では多様なバリエーションが存在する車両の一つになっています。

この角ズームを加太線向け改装車両に改造すれば、角ズームの更なるバリエーション充実が…と思った方もいると思いますが、「めでたいでん」に改装されたのは角ズームではなく7100系です。


改装車両目当てで混雑する際の収容力を見込んだか、加太線の宣伝目的で今後他の7100系と併結して南海本線で運用→なんばなど大阪都心部に姿を現す事を意図して、7100系を敢えて選択したのなら喜ばしい話という気もしますが、どんな動機で7100系を改造種車に選定したのかも気になる所です。

この「めでたいでんしゃ」では、加太の名産にもなっている「鯛」をイメージし、車体には無数の鱗が描かれた非常に特徴的な装いとなっており、運転席背後の客窓は鯛の目玉をデザインしたラッピングが施されているのも大きな特徴ですが、このラッピングのお蔭で特等席とも言える最前部座席からの車窓はやや犠牲になっていますので、これは賛否両論が分かれる所かと思います。


車内に足を踏み入れると、側面や天井の化粧板こそ従来通りながら床材が貼り換えられ、座席モケットやブラインドなども「鯛」をデザインしたものに交換されるなど、観光向けの改装車両らしい雰囲気に仕上がっています。


座席モケットは一般席が同柄で色違いの2種類、優先席は両柄を市松模様で組み合わせたものとなっており、ブラインドも鯛の鱗をデザインした独特のデザインに改められ、車内はさながら鯛ずくしと言っても過言ではない状況になっています。

これに加えて客ドアも内側が真っ赤な装いになり、つり革も交換、吊り輪が木製に改められているのも大きな特徴です。

木製の吊り輪自体は近隣の和歌山電鐵をはじめ、和歌山電鐵の車両改装を手掛けたデザイナーが関与する車両などで近年目にする機会も多いですが、吊り輪は鯛を模った独特な形状となっており、これは和歌山電鐵の発展に大きく寄与した「故たま駅長」でも仰天するのでは…と感じた位です。


この吊り輪は形状だけでも特徴的ですが、これに加えて吊り下げる高さを変えて不均等とする事で、鯛が泳いでいるかの様に見せる演出までされており、これに加えて車両内に1箇所は今流行の吊り輪が♡形となったつり革も存在しています。


そして無数の鱗が描かれた外観塗装も、♡が描かれた鱗が僅かに存在するなど、至る所に観光向け改装車両ならではの遊び心が感じられ、南海もよく考えたな…と感心したものでした。

「めでたいでんしゃ」は貴志川線の改装車両を参考にしながらも、幾つもの改装車両が活躍する貴志川線とは異なった雰囲気に仕上がった改装車両に仕上げられ、普通列車として特別料金なしで乗車できるのも有難いと感じたものです。

貴志川線が南海→和歌山電鐵移管後に相次ぐ活性化策が功を奏し、外国人観光客も多数来訪する路線にまで変貌した事を見ると、加太線の車両を活用した活性化策実行開始は随分遅いとも感じますが、「めでたいでんしゃ」運行を機に加太線の活性化、更には他支線でも同種の取組みが出て来れば…とも感じたものでした。



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