昨日MAKIKYUはJR常磐線で運転された臨時快速列車「お座敷うつくしま浜街道」号に乗車する機会がありました。
この列車は福島県浜通り地方一帯の観光キャンペーンにあわせ、期間限定で主に土曜日に上野~相馬間を運転している臨時快速列車で、列車名の通りお座敷車両で運転しています。
JR東日本では交直流両用の485系電車を改造したお座敷電車が数本存在しており、MAKIKYUも以前千葉支社の「ニューなのはな」に2回程乗車した事がありますが、この車両は畳敷きのお座敷と座席(ボックス配置)の双方に対応可能な構造となっており、MAKIKYUが乗車した時は座席での運用でした。
そのためお座敷車への乗車は昨日が初めてで、今回乗車した「お座敷うつくしま浜街道」号は、主に水戸支社管内を走る事もあって、勝田電車区所属の「ゆう」と呼ばれる車両での運転でしたが、MAKIKYUは何度かこの車両の姿を見た事はあるものの、実際に乗車するのは初めてでした。
「ゆう」は数あるJR東日本の485系改造お座敷車両の中でも、485系本来の用途から団体臨時列車用のジョイフルトレインに改造される際、お座敷車両として登場したのではなく、リクライニングシートが並ぶ車両として登場した後、外観などはほぼそのままで更にお座敷車両に再改造されたという異色の経歴を持っている事が特徴です。
そのため「ニューなのはな」をはじめとするJR東日本におけるお座敷電車の典型スタイルとは、内外共に大きく異なっており、6両編成中の4号車はドーム状の展望座席や、ディスコを思わせる派手な照明に折り畳み座席を備えた空間、それに軽食類など調理・販売可能なカウンター(乗車時には無人状態で不使用)が設けられています。
この車両は車両定員には含まれず、「サロ」(中間付随車)で車両構造的にも抜き取った編成(残り5両)での運転も可能かと思いますが、雰囲気は「和」のイメージを抱くお座敷列車には程遠いものがあり、如何にも後にお座敷電車に改造された電車と言う雰囲気を強く感じるものです。
ドーム状の展望座席は、一人掛けのリクライニングシートが並び、雰囲気は結構豪華そうに見えるのですが、リクライニングの角度は比較的浅く、また座席自体も足元が詰まった旧式で足を大きく伸ばせないなど、長時間ゆっくりとくつろぐ雰囲気ではありません。
その上階段を使って昇降し、床が高くなっている展望座席は、中央ではなく山側(常磐線での運転時基準)に階段を昇降せず前後を行き来できる通路を設けているため、こちら側の座席からは車窓展望にも難があります。
そのため独特の雰囲気があるとはいえ、個人的には余り感心できないポジションと感じたものでした。
そして4号車を除く各車両は畳敷きのお座敷となっており、TVやカラオケ装置、ポットなどが備えられた車内は、貸切の団体臨時列車で使われる事が多い車両ならではの雰囲気があります。
各テーブルに備えられた背もたれの付いた座布団付きの座席こそ、決して高級なものではないものの、定員が少ない事もあって体をゆっくりと伸ばせるのは、一般的な座席車では堪能できない贅沢さを存分に感じる事ができ、非常に快適な一時を過ごす事が出来たと感じたものでした。
鉄道と水面を航行する乗り物以外で、この様な空間を確保できる公共交通機関はまずない事も考えると、もっとお座敷電車の活用余地があるのでは…と感じたもので、この様な車両がもっと走っていても良い気がしますが、天井高に制約のある2階建て車両にでもしない限り、定員が確保できない事はネックと言えます。
また「ゆう」は畳敷きの客室と、異質な空間と言える4号車だけでなく、両先頭車に展望室が設けられているのも特徴で、ここにはロングシート配置となったソファーが8人分並んでいます。
ロングシートとは言えども非常にゆったりとしており、ここにずっと座っていても…と感じる程ですので、通勤電車の狭く硬い低級座席とは大違いの居住性を誇っています。
この展望室は側面窓が大きい上に、ガラス張りの運転席を通しての最前部or最後尾の車窓も楽しめますので、それだけでもレールファンには見逃せない空間ですが、「ゆう」は2両ユニットの電動車2組にモーターなし車両を2両含んだ4M2Tの6両編成ながらも、中間に「サロ」を挟んだ編成だけに、仙台方(常磐線運転時基準)は先頭電動車の「クモロ」になっているのも大きな特徴です。
MAKIKYUは「クモロ」と言う車種自体、他にはもうまもなく終焉を迎える「リレーつばめ」号の787系や、現在はJR線からは退いて「クモロ」の称号を持たない富士急行の「フジサン特急」程度しか乗った事がありませんので、「クモロ」に乗車する機会と言うだけでも貴重なものですが、これに加えて非常に見晴らしの良い展望席ともなれば最高の空間と感じたものです。
ちなみにMAKIKYUは、昨日佐貫→上野間で「お座敷うつくしま浜街道」号に乗車したのですが、全席指定席とはいえども快速列車で、乗車距離・時間も短いだけあって、グリーン料金は750円で済んでいます。
同区間の自由席グリーン車土休日事前料金(550円)よりは200円程割高(車内料金よりは50円程安くなります)になるものの、設備の豪華さに加え、乗車機会の限られるユニークなお座敷列車「ゆう」に乗車できた事も考えると、差額200円以上の価値があったと感じたものでした。
また快速列車のグリーン車とは言っても、指定席だけあって期間限定で発売される割安な普通列車用乗車券「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」での乗車は不可能(昨日は設定なし)なものの、指定席グリーン券を購入すれば、「ホリデーパス」「ときわ路パス」「ウィークエンドパス」などの企画乗車券でも有効区間内では乗車可能で、MAKIKYUが昨日「お座敷うつくしま浜街道」号に乗車した際にも、「ホリデーパス」を利用したものでした。
ただホリデーパスの利用区間は、常磐線では土浦以南に限られ、これでも横浜市内からの日帰り往復利用では充分に元が取れるとはいっても、「お座敷うつくしま浜街道」号への乗車可能区間はかなり限られてしまいます。
「ゆう」のお試し乗車程度であるならば、これで丁度良いとは言っても、乗車した際の感想としては、約1時間の乗車時間はあっという間、出来る事なら首都圏~福島県内まで存分に乗り心地を堪能したいと感じたものでした。
今後も「お座敷うつくしま浜街道」号、或いは列車名を変えた同種列車に乗車する機会があるならば、「ウィークエンドパス」などを利用し、全区間を乗り通せれば…と感じたものです。
とはいえ「ゆう」は現段階で引退の話こそ聞かないものの、常磐線ではJR化後に登場した特急「スーパーひたち」号で活躍する651系電車ですら退く事が確定的な状況において、種車が古い485系電車である上に、古参車だけに空調調整など様々な苦労もある様です。
おまけに最近になって485系改造お座敷電車の1編成が、吾妻線リゾート列車用に再改造された事もありますので、いつまで現状の形態で走り続けるのかも気になったものです。
私も、この列車には乗ってみたいのですが…。
水戸支社の車両に大きな動きがあるだけに、同車両の行方も気になるところですね。
この車両,何度か見たことはあるものの(臨時・団体列車の他,勝田駅に留置されている姿をよく目にします),乗ったことはありません。
JR東日本の他のお座敷列車群とは違った内装なんですね。
こんな車両で原ノ町まで帰省してみたいです(笑)
>試運転スー様
水戸支社管内は最近普通列車用の電車・気動車双方で新型車両の大量導入があり、今度は特急用電車と言う状況ですので、ここ数年で車両の顔ぶれが激変と言う状況ですね。
そのため国鉄型はおろか、JR化後に導入された車両でも退役や転属が相次いでいる程ですが、そんな中で「ゆう」は改造車と言えども古い国鉄型、未だに藤代~取手間のデッドセクションで照明が消える電車ですので、いつまで活躍し続けるのか気になる所です。
比較的新しい車両でも平然と廃車に追い込む会社だけに、いつまで活躍続けるかも未知数で、すぐ廃車の報が入ってもおかしくないと思いますので、機会があれば早めに乗られた方が良いかと思います。
あと小田急5000形10両さよなら運転の記事もTB反映致しました。
こちらは2日目に停車中の車両を写しただけですが、そちらは随分本格的な張り込みをされたのですね。
>国仲 涼太様
「ゆう」がJR東日本の他のお座敷列車と大きく異なる雰囲気なのは、元々お座敷でない用途で登場した車両を再改造した事が大きく、特に4号車のディスコ風イベントスペースが「和」のイメージとは大きくかけ離れている事等は、いかにも再改造した電車という事を物語っている様にも感じられたものです。
また「お座敷うつくしま浜街道」号は現段階で3月まで運転設定があり、指定席グリーン車とはいえども快速でグリーン料金は普通列車扱いですので、上野から原ノ町や相馬まで乗り通してもグリーン料金は2000円足らずで済みます。
そのため運転日や時間が上手く合えば、特急普通車より遥かに乗り得かと思いますし、「ゆう」自体が極めて異色の車両ですので、機会があれば是非乗車をオススメします。