4月にMAKIKYUが沖縄へ足を運んだ際には、往路は奄美海運・フェリーきかいと、マルエーフェリー・琉球エキスプレスを乗り継いで足を運び、既に「MAKIKYUのページ」でも両船に関して取り上げていますが、鹿児島~沖縄間を鹿児島~奄美諸島間を結ぶ前者と、阪神~奄美諸島~沖縄間を結ぶ後者を乗り継いで移動する事例は、余り多くないと思います。
MAKIKYUがわざわざこんな乗り方をしたのは、鹿児島~沖縄間を往復で違う船を乗り比べたかったのに加え、奄美大島~沖縄間を夜行移動したかったのも大きな動機ですが、一般的には鹿児島~奄美諸島~沖縄間を毎日運航する航路を用いるところかと思います。
鹿児島~奄美諸島~沖縄間を毎日運航する航路は、琉球エキスプレスの運航も行っているマルエーフェリーに加え、マリックスラインも参入しています。
両社共に鹿児島~沖縄航路のフェリーは2艘存在し、通常はどちらか1社の便が出航したら、翌日は他方の便が出航する運航形態(ドッグ時などに変則運航となる事もあり)となっており、鹿児島~沖縄航路では共通乗船制度も存在します。
そのため運賃や設備などは、どの船に乗船しても大きな格差はないのですが、一部の船にしか存在しない客室なども存在していますので、特定の等級利用などに拘りのある方は要注意です。
また鹿児島~沖縄航路では共通乗船制度だけでなく、途中下船制度も存在しており、この制度を利用すれば鹿児島~沖縄間を移動する途中、寄港する奄美諸島の島々に立ち寄っても、通し運賃で乗船する事ができます。
しかしながら途中下船制度を利用する場合は、以下の制約がありますので、この制度を利用して奄美諸島への寄り道を検討している方は要注意です。
・2等客室限定
(それ以外の等級を利用するのは乗船後に空席がある場合のみで事前予約不可、また途中下船後の再乗船予約もできませんので、多客で各等級共に満席となる事もある最繁忙期の利用は、極力避けた方が賢明です)
・乗船券の有効期間は最終寄港地到着まで最大1週間
(基本的には欠航などが生じた場合の救済措置なし)
・途中下船後に再乗船できるのは鹿児島~沖縄航路のみ
(那覇~鹿児島間乗船券で名瀬途中下船した後、再乗船時に奄美海運の喜界島経由航路へ乗船するといった利用方法などは不可)
・船内で途中下船前に事前手続き、書類発行が必要
(JR普通乗車券における途中下車の様に、急に途中寄港地で降りたいと思い、下船時に乗船券を見せて途中下船するのは不可)
MAKIKYUも沖縄本島からの帰路、沖縄~鹿児島航路に乗船した際には、この途中下船制度を活用し、途中徳之島にも立ち寄ったものでしたが、その際徳之島まで乗船したのが、今日取り上げるマリックスラインの「クイーンコーラル8」です。
この船はマリックスラインが運航する2艘中の1艘で、もう1艘は「クイーンコーラルプラス」、2艘共に大きさや外観などは類似していますが、MAKIKYUが乗船した「クイーンコーラル8」は2等洋室(最も割安な寝台)の設備がなく、食堂のメニューも一部異なるなどの差異があります。
「クイーンコーラル8」は建造時期が「クイーンコーラルプラス」に比べると古く、鹿児島~沖縄航路で現在就航中の4艘では最古参となりますので、他の船に比べると若干見劣るする点もあるかと思います。
それでも小さくて古い喜界航路の「フェリーきかい」や、貨物輸送のウエイトが高く、客室設備が簡素化されたカジュアルフェリー「琉球エキスプレス」などに比べれば遥かに上等で、離島航路に就航するフェリーとしてはかなり上等な部類に入る船と感じたものでした。
ちなみに沖縄発の鹿児島航路は、起点は那覇港ですが、出航時刻が朝7時とかなり早い事や、沖縄本島は日本国内の離島の中では格段の大きさを誇り、南部の那覇から北部へ足を伸ばした後にまた那覇まで戻るのは結構な労力を要する事から、MAKIKYUは沖縄本島でも途中寄港地となる本部(Motobu)港から乗船しています。
本部港の出港は朝9時過ぎ、沖縄本島北部の中心都市・名護市の中心部を8時過ぎに出発する本部半島循環線の路線バスを利用すれば、丁度良い時間に本部港へ到着でき、朝も少しゆっくりできますので、沖縄本島へ足を運ぶ際、北部を廻る予定があれば、旅程次第では本部港で上下船した方が便利です。
この本部港での乗船時は、ターミナルとフェリー着岸場所はさほど離れておらず、まして国際航路でもありません(乗船時間・距離は国際航路に劣らない長丁場ですが…)ので、徒歩移動でも特に差し支えない気もするのですが、ご丁寧にもわざわざ移動用のバスが仕立てられていました。
このバスは小型車ながらも、マリックスラインのロゴが描かれた専用の観光車が仕立てられており、このバスでターミナル~フェリー間を移動した旅客は指の数にも…という状況でしたので、余りに上等過ぎる感を受けたものでした。
そしてフェリーに乗船する際には、フェリー備え付けの可動式タラップを利用してまず案内所の前へ、そして各等級の客室へと向かう事になりますが、奄美大島・名瀬港など一部寄港地ではボーディングブリッジが設けられており、その際はこの可動式タラップは跳ね上げられたままとなります。
タラップを上がり船内へ入ると、まもなく出航となり、MAKIKYUにとっては初上陸となった沖縄本島に別れを告げる事になりますが、船内や途中寄港地の様子などは、近日中に続編記事で取り上げたいと思います。
(追記)MAKIKYUの乗船時点では存在していた途中下船制度は2015年に廃止され、現在は途中の島々で一旦下船する際は乗船区間毎の乗船券購入が必要となっています。
平成27年7月1日ご乗船分より「途中下船制度」は、廃止されることになりました。
www.marix-line.co.jp/cgi-bin/09news/?mode=detail&number=00138
こちらがマリックスラインとマルエーフェリーを利用して奄美・沖縄方面へ足を運んだ際に利用した鹿児島~沖縄航路の「途中下船制度」、この記事の公開時はまだ残存していたもののその後廃止されてしまい、奄美の島々を巡りながらの船旅が少々不便になってしまったのは残念な気がします。
本州・九州~沖縄本島を直接移動するだけなら、近年はLCCや事前購入割引などで航空機の優位性が高まっているだけに、奄美の島々を巡りながらの船旅という事で差別化を図るにも絶好の制度だったと思いますが、複数事業者運航による手続きの煩雑さや、途中下船制度利用者の少なさが災いしてしまったのかもしれませんね。
また途中下船制度は現在廃止されている事も考慮し、この記事の最後に制度廃止の旨も追記したいと思います。
早速の丁寧なご対応いたみいります。
奄美空港へのLCCのW乗り入れによって、LCCで那覇入りして観光後、船で与論、沖永良部、徳之島…で6日消化で名瀬入り、奄美滞在後宅配便で増えた荷物を送りつけ、LCCで帰京もしくは帰阪というプランが一番安上がりに堪能できるのかなぁと思っていましたので、使えなくなっていて残念でした。
また個人的には該当しませんが、バイカーや輪行者の皆様には厳しい廃止なのかなぁと思いました。
沖永良部島や(別航路ですが)喜界島は見通しもよく一周しやすくて輪行者の満足感高そうだなぁ…と思っていましたので。
今現在は奄美群島振興交付金による運賃割引で住民以外の方にも奄美・沖縄交流割引や奄美群島間割引が~H30.3.31まで適用されますけど、それ以降どうなることやら…