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お座敷客車「くつろぎ」~碓氷峠鉄道文化むらの休憩車両ですが、このグレードは…

2007-10-06 | 博物館・保存施設等

   

「MAKIKYUのページ」では先月も何度か碓氷峠鉄道文化むらに関係する記事を公開しましたが、今日は鉄道文化むら内の休憩車両として使用されているお座敷客車「くつろぎ」に関して取り上げたいと思います。

この車両は12系と呼ばれる急行形客車を改造したジョイフルトレイン(主に団体列車や特定の臨時列車で使用される特別仕様の車両)で、1980年代前半の国鉄末期にジョイフルトレインに改造された車両ですが、国鉄からJRに継承された後もずっと高崎に配属され、車両の老朽化もあって99年に現役を退いていますが、塗装は87年に茶色系のシックな塗装になって以来、引退までずっとこの塗装で活躍し、退役後もこの塗装で残存しています。

編成は両端に車掌室を設けた車両を組み込んだ6両で、車内はゆったりとした畳敷きのお座敷でグリーン車扱いとなっていますので、形式は種車の「スハフ」「オハ」から「スロフ」「オロ」に改められており、各車両には配属先の群馬県やその周辺地域にちなんだ地名(赤城・榛名・妙義・浅間・秩父・男体)が付けられているのも特徴です。

現在は6両の内4両が解体されてしまったものの、2両が鉄道文化むらで休憩車両として活用されて第二の車生を送っていますが、これもスロフ12 822(赤城)・オロ12 841(榛名)と各形式を1両ずつとしている点も評価できるかと思います。

車内を見ると、照明や空調関連などは鉄道用をそのまま使うのは難ありなのか、家庭用のモノが別個に設置されていたり、一部が取り替えられたりしており、車外にも家庭用エアコンの室外機が目に見える状態で設置されていますので、この点は一般の静態保存車両と異なり、第一線から退いたとは言え、休憩用として活用されているが故の特徴とも言えます。

これは休憩施設として活用されている事に歓迎すべきなのか、それとも原型を損ねるという点で難ありなのか評価が分かれそうで、また他の静態保存車両に比べて車体の色褪せなどが激しく感じられてしまう(他の保存車両の状態が物凄く良好ですので、こう感じてしまうだけかもしれませんが…)のも難点です。

ただそれでも今月中に大宮に開館予定で、保存車両の両数も同程度の「鉄道博物館」でも休憩用車両も2両が用意されるものの、こちらは仙台近郊などで晩年はローカル輸送に活躍した元急行形(455系・リニューアル車)で、この車両は普通列車の普通車として活躍していましたので、敷地内の展示内容の優劣(まだ鉄道博物館を訪問した事はありませんので、評価はできませんが…)はともかくとして、休憩用車両のグレードは鉄道文化むらの方に軍配が上がりそうです。

日本の鉄道関連展示施設としては格段の広さを誇る鉄道文化むら内を廻って疲れたら、豪華な設備でゆったりと過ごせるのは有難く、ここで名物の「峠の釜飯」を味わうのもなかなか良いものですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も鉄道文化むらを訪れる機会がありましたら、是非この休憩用車両「くつろぎ」にも立ち寄られてみては如何でしょうか?
(ちなみに「くつろぎ」車内への入場・休憩には、入場料以外の別途料金は要しません)

写真は車外(エアコンの室外機にも注目)と車内(天井の写真にも注目)の様子です。


JR北海道 781系電車~過酷な気候に耐えながらの活躍も…

2007-10-02 | 鉄道[北海道]

 

昨日から10月に入り、MAKIKYUも私事ながらこの日は非常に大きなイベントがあったのですが、1日にはJRでも北海道の札幌~旭川間で「スーパーカムイ」号と呼ばれる新名称の特急列車が運行を開始し、これに伴って青函トンネルを通る特急「スーパー白鳥」号で使用されている789系のマイナーチェンジ車(789系1000番台)が運行を開始しています。

ただその一方で国鉄時代から走り続けてきた特急「ライラック」号は消滅し、この列車で長い間使われて来た781系と呼ばれる車両は現役を引退しています。

MAKIKYUはここ3年程、北の大地・北海道へは足を踏み入れていませんので、「スーパーカムイ」号乗車どころか、この列車で使用される新型車両の姿を見たことすらなく、この列車への乗車機会も当分なさそうですが、先日退役した781系には一度だけですが乗車した事があり、今日はこの車両の長年の活躍に対する労いも兼ねて、記事として取り上げたいと思います。

この車両は寒さの厳しい北の大地・北海道での使用に備えて多少は酷寒地対策を施したものの、汎用特急形車両のマイナーチェンジ車であるが故に酷寒の北の大地ではトラブルが多発し、内地の撤退(転配)を余儀なくされた・485系1500番台の後継にあたる酷寒地専用の特急形車両として1979年に試作車が運用開始していますが、北海道専用の車両である事から、交直両用ではなく交流専用車として登場しており、国鉄時代に導入された在来線用の交流専用特急形車両は、この形式が唯一の存在となっています。

そして翌80年に量産車が稼動し始め、この年に特急「ライラック」号も運行を開始していますので、80年から本格的に稼動し始めた車両と言えますが、運行区間が比較的短い事もあって、当初からグリーン車なしの6両固定編成で登場しています。

国鉄民営化(87年)直前の86年には短編成化による増発を行うために4両編成へ短縮・編成組み換えが行われ、以後退役までの間は後にイベント列車・「ドラえもん海底列車」として一時期運行された車両を除き、この編成で活躍する事になります。

JR化後は全車両がJR北海道へ継承され、後に塗装の変更などが行われると共に、一部区間で一時期快速(エアポート)として運用された「ライラック」号用の車両は後に乗降性を高めるために乗降扉の増設(片側1扉→2扉へ)や、指定席車両のグレードアップ(uシート導入)が行われ、uシートの車両のみ塗装も変更された事から、外観もその違いは一目瞭然となっていました。
(札幌~室蘭方面の特急「すずらん」号用の車両は一部車両の扉増設は行ったものの、uシート設定やこれに伴う塗装変更はなし)

しかしそれでもJR化後に導入された785系電車に比べると性能は大きく劣り、停車駅数が同一でも所要時間は余計にかかっている状況でしたし、また車内のグレードも格差があるなど、一般客の目から見れば近年は陳腐な印象が否めなくなっており、MAKIKYUも以前北海道を旅行した際に短距離ながら「ライラック」号でこの形式にも乗車したものの「同じ運賃・料金を支払うのであれば785系の方が…」と感じてしまう状況でした。

またJR化後に導入された785系とは編成両数なども異なり、運用上の難点もあった事から、今月のダイヤ改正で第一線とも言える札幌~旭川間の特急運用から退くと共に、すずらん号での運用も785系に譲る事で、完全に退役となっています。

現に北の大地の厳しい気候故に内地への撤退を余儀なくされた485系1500番台車ですら、今でも一部がJR東日本で活躍しており、一部は最近「彩(いろどり)」と呼ばれるジョイフルトレインに改装されて今後も暫くの間は活躍が期待できる状況ですし、北海道専用の一般型電車として、この781系よりも以前から走り続けている711系電車も、まだ一部が現役の状況ですので、781系の完全退役はまだ少し早過ぎる感があり、高速バスなどとの競合も激しく北海道第一の都市・札幌~第二の都市・旭川を結ぶ第一線からの撤退は止むを得ないにしろ、車両の導入年次なども考えるとすずらん号も含めた完全退役は少々早い感もあります。

ただ冬の寒さが厳しい過酷な気候の北海道において、先月までずっと特急列車として第一線で活躍し続けてきた事を考えると、車両の傷みも大きいでしょうし、引退も止むを得ないのかもしれませんが、最後まで北の大地で活躍し続けた同車の活躍を労うと共に、その活躍ぶりをいつまでも記憶に留めておきたいものです。

写真は2003年にMAKIKYUが乗車した際に撮影した「ライラック」号と、2004年に他の列車の待ち時間に偶然撮影した「すずらん」号で運用中の781系電車です。


山北町内循環バス~ボンネットバスも活躍するコミュニティバス

2007-10-01 | バス[首都圏]

 

先日MAKIKYUが小田急線で走り始めたばかりの新型通勤車・4000形に乗車し、その記事も公開しましたが、MAKIKYUはその後県西方面を廻っており、今日はその際に乗車した山北町を走る循環バスに関して取り上げたいと思います。

山北町を走る路線バス(東名高速道路を走る高速バスを除く)は、その殆どを富士急湘南バスが運行しており、一般路線は松田~山北間を結ぶ路線が割合頻繁に運行(以前より本数は減便されていますが、それでも時間帯によっては並行するJRより本数が多いです)され、その一部は山北から更に谷峨を経て西丹沢方面にも足を伸ばしており、この路線は観光利用なども見込まれる事から、全国版の時刻表にもダイヤが取り上げられる程です。

ただ山北周辺のバス路線は廃止も相次いでいますし、現存している路線も朝夕のみ運行といった最小限の運行となっている路線が幾つも見受けられ、最近ダイヤの整理・減便も行われるなど、割合路線バスが健闘している神奈川県の中では余り芳しくない状況です。

こうなると日頃自家用車を運転する方々は何とかなるにしろ、学生や高齢者といった交通弱者の移動手段確保には難がありますので、山北町では山北駅を基点に町内南部(概ねJR線の南側)を廻るコミュニティバス(山北町内循環バス)を走らせています。

運行はこの地域で路線バスも運行している富士急湘南バスに委託しており、この様な事例は山北に限らず地方の過疎地域などではよくある事なのですが、ルートは毎日運行(但し年末年始は運休)の南部循環と称するメインルート(東回り・西回りの双方が設定されており、両者を合わせた運行本数は一日10本以上あります)の他に、学校への通学対策として平日の朝夕のみ運行されるルート(東部循環・西部循環)が設定されている事や、整理券方式を用いて概ね3km以上の大人運賃は200円(3km未満は100円)になるにも関わらず、中学生は全線100円の特例運賃(小学生は全線50円)が設定されているなど、通学対策に重点が置かれている点も大きな特徴です。
(南部循環も平日と土日で運行時刻が変わります)

使用車両もレトロ調の特注車両が使用されており、それも2台の内1台は新造とはいえボンネット車両となっている事も特徴的ですが、このボンネット車両はトラックをベースとしている様で、ボンネットはダミーではなく実際にエンジンなどが格納されているのですが、狭路の走行も考慮して小型車両となっているにも関わらず、前頭部をボンネットとしている事もありますので、客室空間は非常に狭くなっており、収容力の点ではかなり劣りますし、ステップ高さも決して低いとはいえませんので、乗降性という観点でも今一つの様です。
(それでも後部に扉が設けられ、車椅子乗車に対応しているのは現代のバスらしい点ですが…)

またボンネットバスの運転士氏から伺った話によると、一般のバスは運転席後部に前輪が来るのに対し、この車両は運転席より前に前輪が来る事もあってハンドルの操作感覚が大きく異なり、またハンドルも昔のバスを模したのか(?)重いなど運転も結構大変な様で、決して使い勝手の良い車両ではありませんので、独立採算制の一般路線バスではとても考えられない車両と言えます。

ただ奇抜な外観故に通学で利用する小学生などからは、このボンネットバスはなかなか人気がある様ですし、また一般のマイクロバス(日野リエッセ)を特別仕様にしたもう一台(これでも充分存在感ありですが、強烈なボンネットバスと並べば地味な印象を受けてしまいます)も含め、車内は木目を用いた特別仕様となっていますので、一見の価値は充分あるかと思いますし、MAKIKYUが乗車した南部循環線は一周の所用約30分・運賃200円(大人)と手頃な割には、狭路走行も含めなかなか乗り応えのある路線ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も山北へ行かれる機会がありましたら、是非一度町内循環バスに乗車されてみては如何でしょうか?

写真は山北駅前で並ぶ2台の循環バス車両とボンネットバス車内の様子、南部循環乗車中の狭路走行シーンです。