4枚目は映画“追憶”のサントラ盤。
“The Way We Were -- Original Soundtrack Recording”(CBS-SONY SOPM 89)。
第46回アカデミー賞“歌曲賞・作曲賞受賞作品”。
1973年公開の映画らしいが、これまた懐かしい。
ぼくはジャズは嫌いだけれど、いわゆる“スイング・ジャズ”は嫌いでない。
むしろ好きなほうで、グレン・ミラーやベニー・グッドマンは、同時代の人間よりも聞いたほうだと思う。
戦後のダンス・ホール世代だった母親がこの手の音楽が好きだったらしく、家にけっこうレコードがあった。
だから、映画の“追憶”の中で流れる“夕日に赤い帆”や“In the Mood”などといった挿入曲も懐かしい感じがした。
レコードの解説によると、“夕日に赤い帆”は1937年の曲だが、1960年代後半のぼくの高校生の頃は、ビリー・ボーンの演奏で、ラジオのリクエスト番組で流れていた。
“In the Mood”も1939年の曲だそうだが、これも、映画“追憶”で流れてきた時、懐かしい思いがした。
映画“グレン・ミラー物語”でももちろん流れるし、高校時代にブラスバンドをしていた息子の演奏会でもやっていた。
先輩から後輩にペットやサックス、トロンボーンなどの技術が継承されるブラスバンド文化も、捨てたものではない。
バーブラ・ストライザンドが歌う“The Way We Were”もいい。
そういえば、バーブラ・ストライザンドの役も、離婚して子どもを抱えながら反戦活動する女性だった。
そういう女性にリアリティーが感じられる時代だったのだ。
別れたロバート・レッドフォードのことを忘れてはいないが、“we simply chose to forget ・・・ ♪”と歌うバーブラの声が哀切だった。
偶然街角で再会した時に、バーブラは「再婚した」と嘘を言い、「新しい夫は子どもを大事にしてくれる」と嘘を言う。
“It's good.”と言って、レッドフォードが去っていく。
カメラが徐々に引いて、ニューヨークの街角で反戦ビラを配るバーブラの姿が小さくなっていく。
そしてエンディングの“The Way We Were”が流れる。エンディングでは、インストロメンタルにバーブラのハミングが入るだけである。
同じころ、日本でベ平連のデモに参加していたポロシャツにチノパン、サドル・シューズなんか履いていた女の子は、今頃何をしているのだろうか。
きょうは東京都議会議員選挙。
ぼくは何とかネットワークの同じ年の女性に投票してきた。きっと、べ平連のデモの隣りで腕を組んだ女の子だと思って。
* 写真は、“The Way We Were”(CBS-SONY SOPM 89)のジャケット。