豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

直井明「87分署のキャレラ エド・マクベインの世界」

2025年02月12日 | 本と雑誌
 
 きのう(2月11日)の東京新聞朝刊の死亡欄に直井明氏が2日に亡くなったという記事が出ていた。
 福島重雄弁護士(元札幌地裁判事)の死亡記事(享年94歳)と並んで載っていた。福島氏は、長沼ナイキ基地訴訟の裁判長でとして自衛隊を違憲とした判決内容だけでなく、裁判の過程で地裁所長が判決に介入したいわゆる「司法の危機」の当事者として有名である。

 ぼくは一時期エド・マクベインの「87分署」シリーズにはまっていた。「はまった」といっても、ぼくの場合はそのシリーズなり著者なりを10冊も読めば「はまった」ことになる。「87分署」シリーズも早川ポケットミステリとハヤカワ文庫で合計15冊くらい読んだだけである。その後、直井明「87分署のキャレラーーエド・マクベインの世界」(六興出版、1984年)という本を古本屋で見つけて買った。ただし、この著者ほどにはマクベインやキャレラ(87分署の主人公の刑事)自体には興味が湧かなかった。小説それ自体を読んで、ストーリーの背景になったアイソラ(ニューヨーク)の雰囲気を味わうだけで十分だった。
 同書の表紙裏に、同じ直井氏の「87分署インタビュー エド・マクベインに聞く」、「87分署グラフィティ」「87分署シティー・クルーズ」(すべて六興出版)の新聞広告が挟んであった。本書の著者紹介によると、氏は1931年東京麻布の生まれ、東京外語大インド語学科卒業の商社マンで、本書執筆当時は商社(会社名はない)のヒューストン支店長、南達夫のペンネームでミステリ小説の受賞歴もあるとのこと。昨日の死亡記事によると、享年93歳、肩書は「海外ミステリー研究家」で、「本名非公表」となっている。記事によると、「87分署グラフィティ エド・マクベインの世界」で1989年に日本推理作家協会賞評論その他部門賞を受賞したとある。
 シャーロック・ホームズの原典を「研究」する「シャーロキアン」にちなむなら、氏はさながら「キャレリアン」とでも言えようか。  

 この本も断捨離候補の山積みにした本の中に積んであったが、もうしばらく置いておこうか。

 2025年2月12日 記