DVD版“メグレ警視 聖歌隊の少年”の訂正。
この作品は、『サン・フィアクルの事件』の一部(『サン・フィアクル殺人事件』[創元推理文庫]の第3章)と以前のコラムに書いた。
ところが、またまた長島良三編『名探偵読本2 メグレ警視』(パシフィカ)のメグレ警視もの全作品のリストを眺めていたら、なんと、「聖歌隊少年の証言」という作品がちゃんと存在していることを発見した。
同書では「児童聖歌隊員の証言」という邦題になっているが、原題は“La temoignage de l'enfant de choeur”。1946年5月の執筆で、シムノンのメグレ警部ものの第51作とある。シムノンはメグレ警部ものを102作書いているから、ちょうど折り返し点(前半最後の作品)にあたる、ある意味で記念すべき作品である。
ただし、このコラムはぼくの思い出を書いているので、DVDの“メグレ警視 聖歌隊の少年”を見たときに、『サン・フィアクル殺人事件』の、メグレの聖歌隊少年時代の思い出の部分がよみがえってきたことは、ぼくにとっては事実である。
おそらく、メグレの思い出はシムノン自身の思い出でもあり、シムノンは冬の早朝の教会に向かう少年のことを、1931年執筆の『サン・フィアクル殺人事件』で書き、さらに1946年の『聖歌隊少年の証言』で再び描いたのだろう。
・・・と言い訳まで。
* 写真は、DVD版“メグレ警視 聖歌隊の少年”から、犯人宅を包囲するメグレ警視と部下たち。
フロント・グリルに大きな二重歯車マークのついたシトロエンのパトカー(フランスでは「パトカー」というのかどうか分からないが)がとまっている。