晴、18度、87%
「ポピー」が咲きました。毎年種を蒔くのに咲かせることができなかった「ポピー」です。植物にも相性があるらしく咲かせることができないかと思っていました。それでも毎年種を蒔きます。「ポピー」の花はか細い茎の先にふわっと薄衣を重ねた様な姿で咲きます。「ポピー」が広い土地に陽を受けて咲く姿は夢の様です。雨が上がり、蕾が膨れ切って開いた「ポピー」を庭に見つけました。 空が晴れた様に私の気持ちもスッと晴れて来ました。
裏地が「ポピー」の花模様のスーツを持っていました。母がまだこの家に住んでいた頃、その服で戻ると、「真奈さん、いい服ね。ポピーの花が好きなの。」と母が言いました。会うとすぐに私の服の話をします。「そういう安っぽいものはやめなさい。」と言われることもあれば「いいものは一目でわかるわ。」と褒めてもらえることもありました。間違いない審美眼だったと今は思います。庭に咲いた「ポピー」を見ながらそんな母のことを思い出していました。
私が高校の頃ですから昭和40年代の後半です。母は「マリメッコ」の布をどこからか求めて来ました。今の様に「マリメッコ」の店などなかった時代です。そしてその奇抜な布でジャケットを仕立ててもらいました。一重の春秋向きのジャケットでした。柄は「ウニッコ」と呼ばれるマリメッコで一番有名な柄です。今のものとはデザインも色合いも違いました。「ウニッコ」が北欧の言葉で「ポピー」だと知ったのは随分後のことです。母がそのジャケットを着て歩く姿が記憶をよぎります。似合っていました。私も欲しいと思いました。今思うと母はあの当時から「ウニッコ」が「ポピー」だと知っていたのでしょう。その小さな布切れを今も私は持っています。
「ポピー」の花の様な母ではありませんでした。花を庭で育てる人でものありませんでした。でも花の名前や花のことをたくさん教えてくれました。好きな花が「ポピー」だったと「ポピー」を見るたび思い出すことでしょう。
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