新・根津美術館展”国宝那智瀧図と自然の造形”は、見ごたえのある展覧会であった。ぼくは、もともと瀧の絵が好きで、今回の主役、”那智瀧図”(絹本着色、鎌倉時代)の前では、しばらく佇んでしまった。一度、熊野巡りをしたときに実物の大滝も観ている。
いろんなことを考えさせてくれる絵があるが、この絵もそのひとつであった。ぼくは、この那智の大瀧を人の一生にみたてた。滝口から、少年期、青年期は細く長く流れ落ち、それが壮年期になり太く、でも短く轟々とうなりをあげて落ちてゆき、最後は岩陰に隠れるように静かな晩年を迎える。そんな自分の人生に重ね合わせて観ていた。それによくみると、右上に月が半分、昇ってきている。たぶん満月だろう、その月明かりで、瀧は白く照らされているのだ。月は、静かに人の生き様をみている。もっとゆっくりみていたい絵だった。
そして、”吉野瀧田図”屏風(江戸時代)も良かった。右双に吉野山の満開の桜、そして、左双に龍田の紅葉が画面いっぱいに、絢爛と咲きほこり、あるいは染まっている。文句なく、考えるまでもなく、ただただ、うつくしい。桜も紅葉も好きなぼくにはこたえられなかった。所々に、和歌の短冊が描かれていたが、これは”古今和歌集”と”玉葉和歌集”におさめられた吉野と龍田の、桜と紅葉の名所を詠んだ和歌なのだそうだ。
こんなふうに、書いてゆくと、いつまでも、どこまでも続きそうなので、いくつか、気に入ったものをノートしておこうと思う。野々村仁清作、色絵山寺図茶壷、光悦筆、和漢朗詠抄、四季花鳥図(伝狩野元信)等である。それとこの美術館が誇る古代中国の青銅器にもいいのがあった。双羊尊(BC13-11世紀)や饕餮(とうてつ)文方盉などの酒器を憶えている。展示室6(展示室が6室もあるのだ)では”初陣茶会”のテーマで、いろんな茶器が並んでいた。茶碗、ぐい呑み等、”そこそこ”いいなと思うものもあった。
次回は、11月18日から、第2部”根津青山の茶の湯”が始まるということだ。鼠志野茶碗銘山端やノンコウの黒楽茶碗銘雪峰なども展示されるらしい。また、来てみたいと思う。
吉野瀧田図
根津美術館八景のひとつ、月の石舟
根津美術館庭園の美女ふたり
。。。
今日から数日間、旅行に行ってきますので、その間、ブログは休ませてもらいます。
いろんなことを考えさせてくれる絵があるが、この絵もそのひとつであった。ぼくは、この那智の大瀧を人の一生にみたてた。滝口から、少年期、青年期は細く長く流れ落ち、それが壮年期になり太く、でも短く轟々とうなりをあげて落ちてゆき、最後は岩陰に隠れるように静かな晩年を迎える。そんな自分の人生に重ね合わせて観ていた。それによくみると、右上に月が半分、昇ってきている。たぶん満月だろう、その月明かりで、瀧は白く照らされているのだ。月は、静かに人の生き様をみている。もっとゆっくりみていたい絵だった。
そして、”吉野瀧田図”屏風(江戸時代)も良かった。右双に吉野山の満開の桜、そして、左双に龍田の紅葉が画面いっぱいに、絢爛と咲きほこり、あるいは染まっている。文句なく、考えるまでもなく、ただただ、うつくしい。桜も紅葉も好きなぼくにはこたえられなかった。所々に、和歌の短冊が描かれていたが、これは”古今和歌集”と”玉葉和歌集”におさめられた吉野と龍田の、桜と紅葉の名所を詠んだ和歌なのだそうだ。
こんなふうに、書いてゆくと、いつまでも、どこまでも続きそうなので、いくつか、気に入ったものをノートしておこうと思う。野々村仁清作、色絵山寺図茶壷、光悦筆、和漢朗詠抄、四季花鳥図(伝狩野元信)等である。それとこの美術館が誇る古代中国の青銅器にもいいのがあった。双羊尊(BC13-11世紀)や饕餮(とうてつ)文方盉などの酒器を憶えている。展示室6(展示室が6室もあるのだ)では”初陣茶会”のテーマで、いろんな茶器が並んでいた。茶碗、ぐい呑み等、”そこそこ”いいなと思うものもあった。
次回は、11月18日から、第2部”根津青山の茶の湯”が始まるということだ。鼠志野茶碗銘山端やノンコウの黒楽茶碗銘雪峰なども展示されるらしい。また、来てみたいと思う。
吉野瀧田図
根津美術館八景のひとつ、月の石舟
根津美術館庭園の美女ふたり
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今日から数日間、旅行に行ってきますので、その間、ブログは休ませてもらいます。