気ままに

大船での気ままな生活日誌

速水御舟展をみて

2009-10-29 13:45:52 | Weblog


千鳥ヶ淵から広尾に移転し、”新装開店”した山種美術館へ行ってきた。千鳥ヶ淵の最終展は上村松園、そして広尾では、速水御舟展となった。安宅コレクションから105点の御舟作品を一括購入し、計120点を所蔵し、”御舟美術館”の異名をもつそうだから、お披露目展としては当然、”御舟展”となるのであろう。

国の重要文化財に指定されている作品が、ふたつある。ひとつはポスター絵に使用された、”炎舞”と”名樹散椿”である。これらが、本展の目玉であるが、もうひとつの目玉として本邦初公開、個人蔵の未完の、”婦女群像”がある。

以上の三つを見ただけでも、画風が常に変化している、と感じる。たとえば東山魁夷、平山郁夫、棟方志功の絵は、一目みて、すぐ彼の作品だということがわかる。御舟は、野球界であれば、イチローに似ていると思った。イチローも、毎年のように打撃フォームを変えている。そのままでも、十分、高い評価を得ているにも関わらずなのにである。大胆な進化を目指さなければ、心が満足しない、そういうタイプの天才なのであろう。

晩年、奥さんに自分の絵に主張がなくなった、これからは儲からない絵を描くようになるが、我慢してくれ、と話したそうである。40歳の若さで夭折したが、60歳まで、あるいは80歳まで生きていたら、どんな絵に進化していただろうか。そんなことを思いながら、未完の大作、婦女群像を観ていた。この絵が完成していたら、その後の日本画が変わっていただろう、と音声ガイドがささやいていた。

それぞれ、進化している絵の中で、ぼくとしては”名樹散椿”を好ましく思ったが、各作品から受ける感動よりも、むしろ御舟の生き方そのものに、なんだか、とても感動してしまった。

名樹散椿

あけぼのの春の宵のうち


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