5年前に故宮博物院を訪れたときには、あの”翠玉白菜”も”象牙球”も問題なく、ゆっくりと鑑賞できたのだけど、ここ、2,3年、大行列で、1,2時間待ちだとかいううわさが聞こえてきていた。大陸から中国人がどっと押しかけているそうなのだ。心配していたけれど、ぼくらは、故宮博物院ガイドのベテランさんがついていたので、実に能率よく廻ることができた。もちろん、開館と同時に入場。大行列はすでにあったが、別ルートがあるらしく(笑)、いきなり、翠玉白菜、肉形石、象牙球の”三点セット”を鑑賞することができた。その部屋には一定の人数しか入れないので、人の肩越しにみるようなことはない。ゆっくり見物できた。
一番人気の”翠玉白菜”。家内はもっと小さかったと思った、という。ぼくは、逆の感想。高さ18.7センチメートルで、幅が9.1センチメートル、厚さ5.07センチメートル。翡翠の天然の色を生かした、鮮やかな緑と白が輝く白菜そっくりの彫刻。葉の上には繁殖力の強いキリギリスとイナゴが乗っている。白菜は清廉潔白、キリギリスは子孫繁栄を象徴しているとのこと。
何度、みても素晴らしい。

これと並ぶ、清朝時代の傑作。”肉形石”。おいしそうな赤身と脂身の混じった豚の角煮にそっくり。皮表面の毛穴まで全てが揃っている。す、すばらしい。

いずれも清代玉器。このふたつと、昨年、大行列をつくった”清明上河図”(これは北京だけど)が、故宮博物院の三大至宝という説もある。
食べてみたいほど好きという人のために、博物院を出てすぐのレストランで、白菜と豚の角煮が食べられます。
ほらね。

このレストランです。建物の壁面デザインは、青磁の貫入(ヒビ)をイメージしているそうです。

この神業の彫刻も見逃すことはできない。
”象牙球”1本の象牙から17層にもなる球体をつくり、それらひとつひとつに細かい彫刻を施し、かつ回転する。親子3代かけて作成された。恐ろしいほどの技と忍耐。

陳祖章作 ”彫橄欖核舟”。僅か3センチのオリーブの実を舟に。舟内には8人の人物、テーブル、杯まで精密に彫刻されている。陳祖章は広東省出身の牙彫職人だったが、この作品をつくってから、月給が銀三両だったが銀十二両に上がったという。

そして、忘れてならないのが、西周晩期の青銅器”毛公鼎の金文”。3本の足に支えられた35キロもある容器、中を覗くと497の文字がみえる、漢字の原型となった文字。故宮博物院所蔵品の中で最高の学問的価値がある。

まずは、故宮博物院の大スターたち。来年、東博で開催される予定の”台北故宮博物院展”に、このうち、ひとつは目玉展示としておいでいただきたい。できれば、白菜。でも、これは出せないでしょう。ぼくは、象牙球か肉形石のどちらかが来られると予想していますが、どうでしょうか。
(つづく)
一番人気の”翠玉白菜”。家内はもっと小さかったと思った、という。ぼくは、逆の感想。高さ18.7センチメートルで、幅が9.1センチメートル、厚さ5.07センチメートル。翡翠の天然の色を生かした、鮮やかな緑と白が輝く白菜そっくりの彫刻。葉の上には繁殖力の強いキリギリスとイナゴが乗っている。白菜は清廉潔白、キリギリスは子孫繁栄を象徴しているとのこと。
何度、みても素晴らしい。

これと並ぶ、清朝時代の傑作。”肉形石”。おいしそうな赤身と脂身の混じった豚の角煮にそっくり。皮表面の毛穴まで全てが揃っている。す、すばらしい。

いずれも清代玉器。このふたつと、昨年、大行列をつくった”清明上河図”(これは北京だけど)が、故宮博物院の三大至宝という説もある。
食べてみたいほど好きという人のために、博物院を出てすぐのレストランで、白菜と豚の角煮が食べられます。
ほらね。


このレストランです。建物の壁面デザインは、青磁の貫入(ヒビ)をイメージしているそうです。

この神業の彫刻も見逃すことはできない。
”象牙球”1本の象牙から17層にもなる球体をつくり、それらひとつひとつに細かい彫刻を施し、かつ回転する。親子3代かけて作成された。恐ろしいほどの技と忍耐。

陳祖章作 ”彫橄欖核舟”。僅か3センチのオリーブの実を舟に。舟内には8人の人物、テーブル、杯まで精密に彫刻されている。陳祖章は広東省出身の牙彫職人だったが、この作品をつくってから、月給が銀三両だったが銀十二両に上がったという。

そして、忘れてならないのが、西周晩期の青銅器”毛公鼎の金文”。3本の足に支えられた35キロもある容器、中を覗くと497の文字がみえる、漢字の原型となった文字。故宮博物院所蔵品の中で最高の学問的価値がある。

まずは、故宮博物院の大スターたち。来年、東博で開催される予定の”台北故宮博物院展”に、このうち、ひとつは目玉展示としておいでいただきたい。できれば、白菜。でも、これは出せないでしょう。ぼくは、象牙球か肉形石のどちらかが来られると予想していますが、どうでしょうか。
(つづく)