旅先、山形からの投稿です。三日目は、茂吉記念館を見て、かみのやま温泉で、のんびり。さて、今朝の話題は、映画の感想について。たしか、この映画も山形と関係があるので、ちょうどいいかも。
地元、鎌倉が舞台というので、封切りを楽しみにしていた映画、”海街diary”。先日、家内と湘南の海街、辻堂のシネコンに見に行ってきた。まるで小津作品のような香りのする、とてもいい映画だった。
その後、家内が江ノ電の鎌倉駅で、この映画の原作コミックス、吉田秋生作”海街diary"の試し読み小冊子を手に入れてきた。早速、ページをめくってみた。ちょうど、下記のネットの”作品紹介”の場面までの、60ページほどの小冊子である。
鎌倉で暮らす三姉妹、幸、佳乃、千佳の元に、15年前家を出ていった父の訃報が届いた。長い間会ってもいなかった父の葬儀のため山形に向かった三人はそこで異母妹すずと初めて会う。身寄りのなくなった彼女が、葬儀の場でどうしようもない大人たちの中で毅然とふるまう姿に、長女・幸は別れ際とっさに口にする。「すずちゃん・・・鎌倉にこない?いっしょに暮らさない?4人で」。そうして鎌倉での4姉妹の生活が始まる。
最初のページを開くと、朝早く、りりりりとケイタイが鳴る。まだ夢の中の佳乃がケイタイを取る、山形にいるお父さんが亡くなったという。実は、映画でも同じシーンから始まる。
そして、そのあとも、映画のシーンがほぼ、コミックの通りになっていたのである。これには、ちょっと驚きだった。言ってみれば、このコミックは、絵コンテつきの脚本みたいなもの。最近、コミックを原作とした映画が多いが、やっぱり映像化しやすく、映画化に向いているのだろう。
小津安二郎は、映画の出来不出来は脚本の良し悪しで7、80%決まると、どこかで述べていたっけ。
江ノ電の極楽寺駅近くの大きな古い家に住む四人姉妹の生活が、鎌倉の桜、紫陽花、紅葉のうつくしい四季の中で、ていねいに描かれる。
四姉妹を綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが好演。大船の叔母さん、樹木希林も面白い。すずちゃんもすっかり馴染み、それぞれの人生をけなげに生きてきた四姉妹が由比ヶ浜に並んで立つラストシーンにはつい胸がつまる。
エンドマークが出てから映画が始まる。
小津さんの言葉が久し振りに聞こえてくるような映画だった。是枝裕和監督。