こんにちわ。
ばかな戦争を仕掛け、なんと原発施設まで攻撃し、さらには、核の使用までちらつかせるプーチンの顔を見ていて、思わず書棚から取りだした本が”狂ったサル”。
著者はビタミンCの発見でノーベル賞をとられたセント=ジェルジ博士。 国弘正雄 訳の、1972年の初版本(サイマル出版会)。ぼくの悩み多き20代、青春真っただ中の頃に読んだ古ぼけた本だ。みかけは古くても、中身は新鮮だ。なにせ、”狂ったサル”の代表が連日、テレビに現れているのだから。
どんな本か。人間は狂ったサルになってしまったのか、いまわしいナチズムとベトナム戦争に抗してきた体験をもとに、科学者の厳正な目で、自滅の危機にたつ人類の愚かしさを憂慮、痛烈に批判した珠玉のエッセイ集。
人類は20世紀に入り、劇的に変わった。エックス線、電子、放射能、量子という4つの重要な発見があり、その後、相対性理論の発見も加わり、一気に次元の違う時代に入った。それまでは、人間の五感で知り得た世界だったが、その後は、五感だけでは認知できない未知の宇宙的世界にひとりぼつねんと置かれた状態だ。しかし、頭脳は洞窟に住んでいた原始時代とほとんど変わっていない。その頭で考える応用編は愚かなことばかり。核兵器をつくり、それをどんどん貯めこみ、今や(当時)、地球上の全人類を三度も殺戮できる量に達している。
ここでは触れられていないが、原発も同様だ。”トイレのないマンション”に例えられるように、途方もない未来にまで影響が及ぶ核のごみ処分のことも十分考えず実用化した。また、テロリストの格好の標的になることも初めから心配されていた。
1972年、セント=ジェルジが唱えた”狂ったサル”は、ちょうど半世紀後、ますます狂暴になったようだ。
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!